天気に誘われて、うかうかと上野動物園へ。
今や身分証明書を示さなくても、シニア料金だ。
「身分証明書は?」と聞いたところ、「結構です」と言われた。淋しいのか嬉しいのか?
いろいろな動物を撮ったが、うまい具合にはいかなかった。
動物はモデルさんより難しい。ポーズをとってくれない。
北極熊はよく動いてくれた。もちろん、動き過ぎだったので、うまくはいかなかった。
こんな言い訳をするのでは、カメラマンとして明らかに失格。
帰る道すがら、大道芸人のパホーマンスにぶつかった。
見物人が少なかった。青い眼のお嬢ちゃんが3人と十分に若くない女性が2人。
写真を撮る魂胆で立ち止まった。
一区切りの芸が終わっても、拍手をする人はいない。ひたすらじーっと見ているだけ。
気の毒になったので、私は芸の切れ目で拍手をした。
それからが問題。そこから離れられなくなってしまった。
離れようとすると、なんのかのと言って、引き留めにかかるのだ。
「もう一つだけお付き合い下さい。これを最後にします」とかなんとか、私は離れそびれてしまった。
いつの間にか30人ほどの見物人となっていた。私はサクラ的な役割を果たしていたらしい。
その内、大道芸人君が大きな升を取り出した。
「私は大道芸人の『太平洋』と申します」と言って升を置いた。
私は大道芸人だと何度も言うので、タダで離れるのでは仁義にもとると思った。
いくら払うべきか?
払うお金は「施し」ではなく、芸を見せてもらった「対価」だ。
寄席ではもっと上手な芸人の芸を見せてもらっている。その芸に比べれば、まだまだ修行中。
「施し」なら「札」もあろうが、「芸の対価」だとすれば「銭」だ。
百円ということもないだろうからと思ったが、その時すでに、千円札が2~3枚入っていた。
面白くもない若い「お笑い芸人」に、キャーキャー言って喜んでいる図と変わらない。
そんなことを思う私は、明らかに時代おくれらしい。
好きなのですよ。
一生懸命さがね。
彼らは後に何を職業とするのでしょうねぇ。
そのようなことを親心のように持ちながら拍手を惜しみません。
またに、チャリンと・・・
素早く視線を走らせて、コントロールしているようです。
だから立ち去りがたくなってしまいます。
いわばテレンテクダが巧みなのでしょうね。