お浄土があるかないかより、死んだらどうなるかよりも、今をどお生きるかが問題です。法話会でもお浄土の話の時は居眠りをされている方が、生き方の話になった途端、急に目を覚まされます。みんなどう生きればいいのか悩んでおられます。なぜなら、この世は迷いの世界だからです。生き方に関する本は、たくさん出ています。きっと売れるからに違いありません。
私は、自分が他人にあげたものは忘れないが、もらったものは忘れます。他人にあびせた悪口は、すぐに忘れますが、言われた悪口は心に刻まれます。そうやって他人にした事はいつか自分に返ってくるのです。古来より、浄土真宗では生き方は説きません。なぜなら、良い行いをしてくださいと言ってもできないのが私です、その私の姿を見抜いた仏が、阿弥陀如来です。だから生き方は問いません。救いに条件はありません。1つでも条件を出されたら、救いからもれる人間が出てくるからです。しかし、阿弥陀如来の救いをいただいた方の人生は、今までの生き方とは変わっていくのですという、お説教が流行ってます。隣人を愛しましょう。隣人に親切にしましょう、家族を大切にしましょう、親孝行しましょう、周りの人のお役に立ちましょうとお説教するのは簡単です。しかし、心の中を覗いてみれば、してあげたんだから、お返しを求める心が私です。それは、仏教では、善行ではなく、全部悪行なのです。世の中は全てギブアンドテイクなのです。仏様の世界とは真逆です。でも、やはり世の中のニーズは、お浄土の話はもうそれぐらいで結構です。どう生きればいいのか教えてください。それが、今の世の中なのだと思います。でも、浄土真宗の教えに出会えて、私は救われました。生き方は問わないとは言われても、やはりいつの間にか気づかぬうちに、生き方は変わっていっているのかもしれません。
