重陽のやさしくなりぬ日のひかり 沖山智恵子
よく引き合いに出される「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる 藤原敏行」はもう少し前の8月後半頃が相応しいと思います。
しかし今年は8月の後半はおろか9月に入っても猛暑が続き、敏行を感じさせませんでした。
昨日の台風接近でようやく異常な残暑も一段落した感じです。
そして今日の日のひかりには掲句のように一昨日までとは違うやさしさが感じられます。
今日9月9日は、1月7日(七草)、3月3日(桃)、5月5日(端午)、7月7日(七夕)とともに五節句の一つ「重陽の節句」です。
陽数の九が重なるので重陽といい、奈良時代より宮中では観菊の宴(重陽の宴)が催され臣下には「菊の酒」を賜ったといわれていますが現在はどうなのでしょうか。
というのも古くは非常に盛んだった「菊の節句」も明治以降急速に廃れ、今では五節句の他の四節句に比べても一般の人には非常になじみの薄いものになってきているからです。
唯地方によっては農事にかかわる行事としてその名残をとどめている所もあるようです。