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「暗殺者の反撃」 目撃しだい射殺指令が出されたその理由は?

2018年01月15日 | もう一冊読んでみた
暗殺者の反撃(上・下)/マーク・グリーニー  2018.1.15

 「おれはまちがいを犯さないからだ」
 「だれでもまちがいは犯す」


どこかで聞いたような台詞ですが、ジェントリーのこの信念が、この物語の原動力です。

 「ワシントン・ポスト」首都担当のアンディ・ショール記者は、顔見知り警官が漏らした、"スパイ"が現場を取り仕切っているという言葉を不審に思った。ショールは"スパイらしき人物----メイズとブルーア----をひそかに撮影して、著名な調査報道記者キャサリン・キングにその画像を見てもらう。キャサリンはメイズを知っていて識別した。CIA関係者が国内のそんな殺人現場にいるのは奇妙だった。ひょっとすると特ダネになるかもしれない (訳者あとがき)

物語のこれからの展開が、ぼくにはすごく面白かった。
ジェントリーのアクション場面もメチャメチャ面白いのですが、こちらのほうがより現実的な気がしました。

暗殺者のジェントリーは、ともかくとして
ぼくは、ハンリー(CIA特殊活動部部長)とザック(CIA特殊活動部のジェントリーの元上官)が気に入りました。

 敵は攻撃するときに、こちらがどういう役割を演じるかを予期する。つまり、逃げるか、隠れるだろうと考える。だが、脅威を攻撃して、形勢を逆転させるのが、もっとも有効な自衛である場合が多い。

 「ホテルの部屋で秘密の会合か。古き良き日々みたいな感じだな、友よ」
 「過去をロマンティックに思わないほうがいい。いまよりよかったわけではない」
 「とにかく、あのころは若かったじゃないか。若さをロマンティックに思っているんだ。たとえむだにしてしまったとしても」


 アメリカ国内でアメリカ国民を暗殺しろと頼まれていることを、ザックはすぐさま理解した。それに気づくと、大きく瞬きをした。

 スーザンは早く出勤し、晩(おそ)く退勤して、この作戦がつづくあいだは、それが彼女の生活そのものになる。終わればまたつぎの仕事をする。だが、ここからどういう部署に行くにせよ、毎回昇進するだろう。どんなときで、得られる情報や同僚を、出世の梯子の段として利用するような人間なのだ。
 必要とあれば、スーザンはザックの頭を踏み台にするはずだった。まちがいなくそうするだろうと、ザックはみている。


 「なあ、ザック……おれはコートに、力になれないといった。じっさいそうだ。しかし、反対の側にはぜったいに加担しない。このあとで物事が落ち着いたら、ぜったいにつけがまわってくる」

それぞれの人間の生き様が、興味深い。

上巻は、導入部ですね。
下巻になると俄然面白くなります。

    『 暗殺者の反撃(上・下)/マーク・グリーニー
                   /伏見威蕃訳/ハヤカワ文庫NV 



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