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拾った女/チャールズ・ウィルフォード

2017年03月13日 | もう一冊読んでみた
拾った女/チャールズ・ウィルフォード

謎があるわけでもなく、不可解な殺人事件がある訳でもない。
どちらかと言えば地味なミステリーではあるが、
『2017年版 このミステリーがすごい!』の海外編第4位に入っている。
読み終わって、何故4位と不思議な気がした。
投票した方々は、どこが気に入ったのかとも思う。
と言う、ぼくもこのミステリが読者をつかんで離さないだろうと思われる、何かを多いに感じたのだが。

物語の全体の雰囲気は、ハリーとヘレンの置かれている環境を考えれば、もっと暗い感じになると思われるのだが、何となく明るく、さばさばとして突き抜けている。
そして、終わった。という感じだ。
登場人物の多くが親切で思いやりがある人々ばかりであることも、この雰囲気を醸し出す一助になっているのだろうか。
それとハリーの悩みない青空のような性格と軽いフットワークがこの物語の推進力か。

 ぐいとあおると、たちまち気分がよくなった。これからは悩みごとがあったって、ぐじぐじ落ち込んだりするものか。万事、成り行きに任せれば良い。多少のツキがあればすべてうまくいくだろう。

 「どうせ無意味な言葉よ」
 「そんなことを言う女がいるとは思ってもみなかった。けど、そいつは真実だ。愛とは行動することであって、言うことじゃない。巷のカップルは、『愛している』と何度も唱え合い、毎日を夢うつつで過ごす。.........」


物語の中に出てくる絵画に、絵画好きには、作品のあれこれを思い浮かべては楽しめそうだ。

巻末の解説によれば、一九五〇年代の作品のようである。
こんな言葉も意味を持っていた時代なのだ。

 それが道に背いた暮らしとは思わないけど

この年まで生き延びると、親しかっただれかれを思い浮かべては、呟いてしまう。

 「さようなら、俺の大事な人」 警官には聞こえないよう低い声でささやいた。「すぐまた会おう」俺は椅子に戻った。

 『 拾った女/チャールズ・ウィルフォード/浜野アキオ訳/扶桑社ミステリー 』


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