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寝た犬を起こすな 海千山千の狷介な老刑事と石部金吉の監査官の友情は

2017年07月03日 | もう一冊読んでみた
寝た犬を起こすな/イアン・ランキン  2017.7.3

海千山千の狷介な老刑事リーバスと石部金吉の内部監査室(苦情課)の警部フォックスの友情は成り立つのか。

他人の墓の中に立ち』 に続き、イアン・ランキンの 『寝た犬を起こすな』 を読んだ。
このふたつの小説の主な登場人物は、同じ。
今起こった事件と過去から追いかけてくる疑惑、それが絡み合って話は進む。
真実を掘り起こせば、昔の仲間を裏切ることになりかねない苦しい立場のリーバストと、それを追求し、協力を求めてくる真面目でコチコチ頭の苦情課警部フォックス、ふたりの間に育ちつつある友情をベースに、地味だが読み応えのある面白いミステリーだった。
それにしても、リーバスとペイジの因縁の対立(二作とも)は笑ってしまう。

 「とにかく、これであなたは好きなようにいくらでも掘り起こせるわ」
 「ときにはそうやって金塊を掘り当てるもんだ」
 「今回はどんな金塊を期待しているの?」シボーンは挑むように腕を組んで見せた。
 「掘り起こす過程がおもしろいんだよ」リーバスが言った。「とっくに知っているはずだのに」


 フォックスはスープに白胡椒を振った。「警官が勝手な振る舞いをしないよう、誰かが監督しなきゃならない---こんなふうに勝手に味を変えちゃいけないんだ」

 彼のためなら自分はジェイムズ・ペイジに嘘をつくし、もしばれたら叱責も甘んじて受ける。なぜならリーバスのような人種は警官としてもはや存在しないと思われる、絶滅危惧種なのだから。
 彼のような人種がいなくなれば、淋しい限りであるが---いずれ必ず世の中から消えてしまうのだ。


 「え?」
 「どうなったかと思うと---わたしたちにもう少し勇気があったら」


 でも人って、過去としっかり結ばれていたいって思うもんじゃないかしら?

 「新しいものも、姿を変えた古いもんだってわかる場合が多いんだよ」

 事件のあとの現実を語っているにすぎない。誰かが死ぬと、その余波がでる---多くの人生に影響が出る。

 フレイザーは記者のアルバート・スタウトにちょっとした情報を流していたが、あんたやステファンやその他の仲間たちに関する情報は一度たりとも漏らさなかった。あんたのどんな悪事を知っていても、それは墓場まで持って行ったんだ。

ミステリーの面白さを満喫させてくれるすぐれた逸品です。是非、ご賞味有れ。

 『 寝た犬を起こすな/イアン・ランキン/延原泰子訳/ハヤカワ・ミステリ 』


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