「薄桜鬼」の二次創作小説です。
制作会社様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
土方さんが両性具有設定です、苦手な方は閲覧なさらないでください。
「総司、近藤さんと土方さん知らねぇか?」
「知らないよ。」
「本当に?」
「しつこいなぁ、知らないったら!」
試衛館道場へと戻った総司は、平助達からそう尋ねられ、苛立った様子でそう叫ぶと、自室に引き籠った。
「総司、どうしたんだ?」
「変だよなぁ~。」
平助と永倉がそんな事を言いながら味噌汁を啜っていると、そこへ歳三が帰って来た。
「二人共、今まで何処に行ってたんだよ!?」
「す、済まない・・少し、散歩しながらトシを探していたら遅くなって・・」
「そ、そうか。」
「あれ、二人共なんで泥だらけなんだ?」
「あ~、それは・・」
「あ、それに近藤さんの着物から何で土方さんの白梅香の匂いがすんの?」
「おい平助、それ以上聞くのは野暮だぜ。」
原田はそう言うと、平助の頭を拳骨で殴った。
「痛ぇな!」
「ごめん、手が滑ったぁ~!」
「ひでぇ~!」
何とか周囲を誤魔化すと、原田は二人が風呂場へと向かっていくのを見送った。
「済まないなトシ、無理をさせちまって・・」
「いや、いいんだ。それよりも、総司に見られちまったのかもしれねぇ・・俺達の、
まぐわいを。」
「何だって!?」
「あいつと、目が合っちまったんだ。」
「そうか・・」
「これから、あいつとどんな顔をして会えばいいんだよ・・」
「いつも通りにあいつに接していればいいさ。大丈夫だ、トシ。」
「そうだな・・」
「今日は泊まるんだろう?」
「あぁ・・」
その日の夜、歳三が、勇が用意してくれた部屋で寝ていると、そこへ誰かが入って来る気配がした。
(総司か?)
歳三がゆっくりと寝返りを打つと、そこには闇の中でも煌く金髪を揺らしながら真紅の瞳で自分を見つめる千景の姿があった。
「何で、てめぇがここに居るんだ?」
「夜這いに来たのだ。」
「は!?てめぇには朔が居るだろうが?」
「あれは俺の子を宿している。」
「だから、俺があいつの代わりになれと?ふざけるな!」
「・・明日、俺の家へ来い。」
千景はそう言うと、部屋から出て行った。
翌日、歳三は朔の好物の団子を持って風間家を訪問した。
「あら兄様、いらっしゃい。」
そう言って自分を出迎えた朔は、髪を丸髷に結った女子姿だった。
「朔、これ・・」
「まぁ、僕が好きなお団子ね。ありがとう。」
「どうだ、身体の具合は?」
「それがね、悪阻はすぐに良くなったのだけれど、貧血が酷くて・・桜馬が作ってくれた薬湯を飲んだら少しはマシになったの。」
「薬湯?」
「えぇ。何でも西洋の鬼の血を薄めたものですって。純血の僕達にとっては良薬だけれども、人間が口にしたら毒にしかならないのですって。」
「そうか・・」
「失礼致します、若奥様。雪村先生がお見えになられました。」
「お通しして。」
「失礼致します。」
すっと襖が開き、部屋に禿頭姿の男が入って来た。
「雪村先生、こちらは僕の兄の、歳三です。兄様、こちらは僕の主治医の、雪村綱道先生です。」
「はじめまして。」
「おや、朔様は双子でしたか。やはり、純血の鬼というのは、双子が多いのですね。」
「まぁ、それでは雪村の名を持つ双子が?」
「えぇ、居りますよ。兄妹で、名前は千鶴と薫といいましてね。千鶴はわたしの診療所を良く手伝ってくれますよ。」
「一度、お会いしたいものだわ。」
「では、近い内に娘を連れて参りますね。」
「朔様、薬湯をお持ち致しました。」
「ありがとう。」
歳三は、器に入れられた真紅の液体を見た。
「これが、例の薬湯か?」
「はい、変若水といって、人間が口にすれば超人的な力を持つ事が出来ます。」
「まぁ、副作用は飲んだ人間の寿命を縮めるだけではなく、化け物にしてしまうのに・・そんな薬を、幕府が開発に乗り出すなんて、正気の沙汰ではないわ。」
「欧州の列強諸国に打ち勝つ為には、強い兵力が必要なのです。」
「人間というものは、いつの時代も愚かなのね。」
朔はそう言って薬湯を飲み干した。
1863(文久3)年、2月。
勇と歳三達は、江戸から京へと出発した。
「これからだな、勝っちゃん。」
「あぁ・・」
同じ頃、雪村綱道も京へ向かう事になった。
「気を付けてね、父様。」
「では、行って来る。」
こうして、運命の歯車は静かに回り始めた。
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「総司、近藤さんと土方さん知らねぇか?」
「知らないよ。」
「本当に?」
「しつこいなぁ、知らないったら!」
試衛館道場へと戻った総司は、平助達からそう尋ねられ、苛立った様子でそう叫ぶと、自室に引き籠った。
「総司、どうしたんだ?」
「変だよなぁ~。」
平助と永倉がそんな事を言いながら味噌汁を啜っていると、そこへ歳三が帰って来た。
「二人共、今まで何処に行ってたんだよ!?」
「す、済まない・・少し、散歩しながらトシを探していたら遅くなって・・」
「そ、そうか。」
「あれ、二人共なんで泥だらけなんだ?」
「あ~、それは・・」
「あ、それに近藤さんの着物から何で土方さんの白梅香の匂いがすんの?」
「おい平助、それ以上聞くのは野暮だぜ。」
原田はそう言うと、平助の頭を拳骨で殴った。
「痛ぇな!」
「ごめん、手が滑ったぁ~!」
「ひでぇ~!」
何とか周囲を誤魔化すと、原田は二人が風呂場へと向かっていくのを見送った。
「済まないなトシ、無理をさせちまって・・」
「いや、いいんだ。それよりも、総司に見られちまったのかもしれねぇ・・俺達の、
まぐわいを。」
「何だって!?」
「あいつと、目が合っちまったんだ。」
「そうか・・」
「これから、あいつとどんな顔をして会えばいいんだよ・・」
「いつも通りにあいつに接していればいいさ。大丈夫だ、トシ。」
「そうだな・・」
「今日は泊まるんだろう?」
「あぁ・・」
その日の夜、歳三が、勇が用意してくれた部屋で寝ていると、そこへ誰かが入って来る気配がした。
(総司か?)
歳三がゆっくりと寝返りを打つと、そこには闇の中でも煌く金髪を揺らしながら真紅の瞳で自分を見つめる千景の姿があった。
「何で、てめぇがここに居るんだ?」
「夜這いに来たのだ。」
「は!?てめぇには朔が居るだろうが?」
「あれは俺の子を宿している。」
「だから、俺があいつの代わりになれと?ふざけるな!」
「・・明日、俺の家へ来い。」
千景はそう言うと、部屋から出て行った。
翌日、歳三は朔の好物の団子を持って風間家を訪問した。
「あら兄様、いらっしゃい。」
そう言って自分を出迎えた朔は、髪を丸髷に結った女子姿だった。
「朔、これ・・」
「まぁ、僕が好きなお団子ね。ありがとう。」
「どうだ、身体の具合は?」
「それがね、悪阻はすぐに良くなったのだけれど、貧血が酷くて・・桜馬が作ってくれた薬湯を飲んだら少しはマシになったの。」
「薬湯?」
「えぇ。何でも西洋の鬼の血を薄めたものですって。純血の僕達にとっては良薬だけれども、人間が口にしたら毒にしかならないのですって。」
「そうか・・」
「失礼致します、若奥様。雪村先生がお見えになられました。」
「お通しして。」
「失礼致します。」
すっと襖が開き、部屋に禿頭姿の男が入って来た。
「雪村先生、こちらは僕の兄の、歳三です。兄様、こちらは僕の主治医の、雪村綱道先生です。」
「はじめまして。」
「おや、朔様は双子でしたか。やはり、純血の鬼というのは、双子が多いのですね。」
「まぁ、それでは雪村の名を持つ双子が?」
「えぇ、居りますよ。兄妹で、名前は千鶴と薫といいましてね。千鶴はわたしの診療所を良く手伝ってくれますよ。」
「一度、お会いしたいものだわ。」
「では、近い内に娘を連れて参りますね。」
「朔様、薬湯をお持ち致しました。」
「ありがとう。」
歳三は、器に入れられた真紅の液体を見た。
「これが、例の薬湯か?」
「はい、変若水といって、人間が口にすれば超人的な力を持つ事が出来ます。」
「まぁ、副作用は飲んだ人間の寿命を縮めるだけではなく、化け物にしてしまうのに・・そんな薬を、幕府が開発に乗り出すなんて、正気の沙汰ではないわ。」
「欧州の列強諸国に打ち勝つ為には、強い兵力が必要なのです。」
「人間というものは、いつの時代も愚かなのね。」
朔はそう言って薬湯を飲み干した。
1863(文久3)年、2月。
勇と歳三達は、江戸から京へと出発した。
「これからだな、勝っちゃん。」
「あぁ・・」
同じ頃、雪村綱道も京へ向かう事になった。
「気を付けてね、父様。」
「では、行って来る。」
こうして、運命の歯車は静かに回り始めた。
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