7月11日(木)に、福岡歯科大学で特別講演が行われ、
院長の市丸、副院長の山口、歯科医師の松下、内藤、衛生士の小川、高橋、長澤の7人で参加しました。
「インプラント周囲炎の診断と治療プロトコール」という題目で、ベルン大学歯周病学講座教授のGiovanni Salvi(ジョヴァンニ・サルヴィ教授)が講演されました。
近年、インプラントの普及に伴い、インプラント治療後の偶発症(トラブル)が増加しています。その中で最も多いとされるインプラント周囲炎は、インプラントの周囲の粘膜や骨に炎症が起こるもので、最悪の場合、周囲の骨がとけて、インプラントが脱落してしまう疾患です。簡単にいえば、天然歯に起こる歯周炎のインプラントバージョンといったところです。
また、歯周炎を引き起こすばい菌によって発症することやインプラント周囲炎と歯周炎は互いに伝染しあうことも近年の研究で明らかとなっています。しかしながら、インプラント周囲炎は、病態や原因は類似しているものの、歯周炎と比べて進行が速く、組織(粘膜や骨)の破壊が大きく、治療に対する反応が鈍いといわれています。
インプラント学会や歯周病学会において、インプラント周囲炎をテーマにした講演や発表が年々増えてきており、その様々な対応策が議論されてきましたが、ガイドラインとなりえるだけのデータに乏しいものがほとんどでした。
今回は、インプラント周囲疾患の診断のノウハウと来年公表予定のインプラント周囲炎の予防と治療のガイドラインの概要をいち早く九州の福岡の地において聞くことができました。要点は以下の4点です。(診断と治療法のノウハウを含む詳細は割愛します)
① 発症を予防する為に、口腔清掃を徹底する。
② 喫煙、糖尿病などの歯周炎やインプラント周囲疾患のリスク因子を減らす。
③ インプラント治療前に徹底して歯周炎の治療を行う。
④ 治療後の天然歯、インプラントの定期的なメンテナンスを怠らない。
これらは、当院が10年以上前から徹底してきたことであり、あらためてわれわれの日常の臨床が間違っていないことを実感しました。しかしながら、現在の日本では、上記を無視したインプラント治療が多く見受けられます。
当院では、科学的根拠に基づいた治療を目指し、十分な説明を行ったうえで、安心・安全な歯科治療を提供しております。今後も知識や技術力の研鑽に努めて良質な医療を提供できるようにしていきたいと思います。歯科治療に関して不明な点などありましたら遠慮なくご相談ください。
(医)くらのうえ市丸歯科 新鳥栖インプラント歯周病センター(佐賀県鳥栖市)
副院長 山口 竜亮