法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

『理詰めの営業』- サービス業の営業力強化 - 選定基準に基づいた競合分析を行う

2021-05-17 23:10:17 | ・・価値基準で競合を分析する
ゴールデンウィーク中も一向に時間が取れずブログの更新が滞っていました。久々の『理詰めの営業』の解説です。

『理詰めの営業』の競合分析ツールは、マーケティングでいうところの競合分析とは異なります。

一般的なマーケティングでは、目的により以下のような各種分析手法を使い分けます。

競合探索ための分析方法:マクロ環境分析、バリュー分析、5フォース分析
競合調査のための分析手法:4C分析、4P分析
戦略策定のための分析手法:SWOT分析

『理詰めの営業』の中では、「顧客の選定基準に基づいた競合分析」を行います。

競合分析の詳細に入る前に、私が発注側として行ったRFPの記事をご覧ください。

3/17/21 Coffee Break:RFPの結果 ------> 「営業コラム」の二番目にあります。


このような評価基準の設定は、ベンダー選定の公平性を確保するために必要ですし、どう選定したかを関係者に説明するためにも必要です。

さて、本題に戻ります。

1.選定基準を設定する
詳しくは「購買行動と営業活動」- 第四段階「競合分析・選定基準の明確化」で述べていますが、営業は、サプライヤーの選定基準が何なのかを慎重に調査します。デモ結果、サービスサポート体制、納入実績、価格等、どのような選定基準があり、どの項目にどのように比重を置くのかを調べます。

これが、定まっていない場合は、どんなにデモで良い結果を出しても失注する可能性があります。例えば、顧客に意中のサプライヤーがある場合です。たとえデモ結果が優れていても、意中のサプライヤーに有利な選定基準に重きを置いた選定をするからです。

選定基準については顧客のコミットメントを取っておくほうがよいでしょう(なかなか日本企業相手には難しいですが)。理想的には、第三段階までの間に、営業は自社に有利な選定基準を設けるように顧客を誘導すべきです。





2. 競合会社の特定と比較
選定基準が決まったら、競合他社がどこなのか推定し、競合他社の製品やサービス、強み・弱み等を調査します。

例えば、あなたの会社がこのRFP(Request For Proposal:提案依頼)の説明会で初めて呼ばれたのなら、少なくともすでに1社はもっと早い段階から顧客と話し会い、懐深く入っています。それがどの会社か分かった上で、その会社と顧客の人間関係、評判をまず調べましょう。この案件に関して、その会社以上に、強い人間関係をあなたが持っているか、相手の弱点に気づくことができるかそこが一つのポイントになります。

3. 自社ソリューションの分析 
「選定基準」に対する自社のソリューションとその問題点、懸念事項等を記入し、その上で代替ソリューションとの比較を行います。代替ソリューションには、競合他社の製品やサービスに加えて、現存装置やサービスの改良、現状維持も含まれます。この情報を分析し、プレゼンテーションで強調すべきポイント、新規開発の必要性等を検討します。

代替ソリューションとの比較は、カタログ値ではなくデモデータ等の実測値であることが望ましく、自社のエンジニアも含めたチームとして人間関係を活用し情報収集に努めます。 
各項目を記入し、優位性のある項目をグリーン、最善ではないが問題なしを黄色、問題のあるところを赤にして、比較し、自社の強み・弱み・問題点を明確にします。



事例の場合、三つの選定条件が示され、「装置性能に関しては今のところ問題はないが、中古装置の確保という課題が残り、また、サポート力がセールスポイントである」ことが分かります。

ここでは、価格については、色をつけていません。何故か。

価格はデモを実施し、装置の実力が判明してから検討すべきものだからです。合理的な金額であれば、デモ結果やROIが良ければ価格が他社よりも高くても問題はありません。

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