JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

映画 「裏切りの季節」

2008-03-29 | 映画(DVD)
今回の特集で2回鑑賞。
1回目は「壁の中の秘事」との2本立て。この時は体調が悪く辛くて2本目の本作の77分が長くてしょうがなかった。家に帰ると熱が7度6分であった。熱に弱い者にとっては大変な事。途中何度も意識が途切れ眠ったのだけど、後半の映像を見てこりゃ勿体無いぞと思ったので再挑戦。

「裏切りの季節」1966年 監督:大和屋竺

ベトナム帰りの報道カメラマンを主人公にした、戦場で死んだ友人(長谷川)が最後に撮ったフィルムを巡るミステリー。

大和屋竺の監督デビュー作。
この人は何とすごいフィルムを撮ってしまう人なんでしょう。
冒頭、2人の男がベトナム戦争の大写真パネルを持ち渋谷の町を運ぶシーンから、夜の空港に到着した日本航空ジェット機、迎えの車が夜の街を走るなか戦場からの帰りに疲れ寝込む男、新橋で降りて狭いアパートの階段を昇り女の下へ、強引な情事の後のけだるい空気の中、ベッドで女が男の軍服の跡をなぞり、軍服の着こなしをなじる。と・・・・延々と続く映像の魅力。
明かりの少ないモノクロの世界での緊縛拷問シーン。ここでもモノクロの女体は美しい。
拷問の部屋の中、男(立川雄三)と女(谷口朱里)の背後に浮かび上がるベトナム戦争写真パネルの各部分。
街で長谷川に似た男を拾う和装の谷口朱里も良かった。

そして、ラストのこうもり傘がつつつつつ・・・と動くシーン。これは作為的なものではなく偶然撮れた産物であると言う話。俄かに信じ難い。
そのようなエピソードがより大和屋竺の天才伝説を強める事となるのは決して悪い事ではないと思う。

音楽は佐藤允彦。だけどドラム・パーカッションが印象的、富樫雅彦っていう認識でいいね。

映像イメージの魅力にすっかり嵌る作品ではあるけど、体調充分でも少し睡魔が襲ってきてしまい一瞬意識途切れる・・・・

時をおいてまた観たくなるような作品。

シネマヴェーラ 「若松孝ニ 大レトロスペクティブ」

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