100%自分が悪いと言われて納得いかない」大津保育園児死傷事故 新立文子被告が法廷で語った言葉とは?
滋賀・大津市の16人死傷事故に新展開
2019年5月、滋賀・大津市の交差点で保育園児の列に車が突っ込み、園児2人が死亡、保育士を含む14人がケガをした事故。
【画像】被害者感情を逆なで?インタビューで驚きの内容を語った新立被告
対向車を確認しないまま右折して事故を起こしたとして、新立文子被告(53)が過失運転致死傷罪に問われており、裁判では禁錮5年6カ月が求刑。その判決が1月16日に言い渡される予定だった。
2019年5月の事故から8カ月。この裁判中には、異例の事態が発生していた。
2019年7月に行われた初公判で新立被告は、起訴内容を認めながら被害者への謝罪を口にせず。そして、初公判後、新立被告はストーカー規制法違反などの容疑で再逮捕された。保釈中に出会い系サイトで知り合ったという40代男性を脅迫、執拗に迫った疑いが持たれているのだ。
さらに、新立被告はすべての審理が終わった後に、民放テレビ局の取材に応じていた。そのなかで新立被告は、事故についてこう語っていた。
<新立被告のインタビュー内容>
「不運が不運を呼んだ事故」
「子供がいるので(刑期が)短くなればいい」
新立被告は、裁判のなかで主張しなかった発言をテレビのインタビューで行ったのだった。
それを受け、被害者側の弁護団は「このまま(判決前に)何も言わずに放っておく状況ではなくなった」とし、本来判決公判であったはずの1月16日の裁判は異例の展開となる。
被告人質問で語った驚きの言葉とは?
「直撃LIVEグッディ!」は注目の集まる裁判の様子を速報で伝えた。
広瀬修一フィールドキャスター:
今日の新立被告は、非常に地味な服装をしていて、白のトレーナーにベージュのチノパン、マスクをしていました。黒い髪が肩まで伸びていて白いスニーカーでした。受け答えは非常に弱々しかったです。入廷時は被害者の方々に一礼し、着席時も一礼しましたが、その後は体調が悪いからなのかあるいは精神的なことが原因なのか、目をつぶって法廷を過ごしていました。メイクも薄く、これまで報じられていた様子とは一転して、弱々しい印象でした。
16日の被告人質問で新立被告は、テレビインタビューに答えた理由についてこう語った。
Q.なぜ法廷ではなくテレビで思いを語ったのか?
新立被告:事故のことは100%自分が悪いと言われて納得いかないところがあった。弁護士と話してて「100%自分が悪いということでいきましょう」ということだったが、自分で伝えないといけないと思った。
Q.「不運」といったことについては?
新立被告:言葉の使い方を間違えた。「不運」とはそういう意味ではなく、(直進車の運転手が)ハンドルを左に切られたが電信柱などちょっとずれていればという思いで「不運が不運を」と言った。
判決言い渡しは延期に...今後の審議はどうなる?
広瀬修一フィールドキャスター:
先ほど16日の公判が終わりましたが、判決が出ませんでした。今後もまだこの裁判を続けていくことになりました。検察側としましては、きょう被告人質問をこのまま続けて、きょうのうちに判決を出したいと主張していました。ただ、このあと午後3時から同じ法廷で別の審議があるという点と、弁護側が主張するには本人の体調がよくないと。頭が働かない状況で整理して話せないので、きょう被告人質問を受けることはできないと主張しました。裁判官は「主張を改めるならこれまでも時間があった。」「私選弁護士なので十分に時間を使って、これまでの審議の中で主張するべきであったのに、そのことをしなかったのが残念だ」と、戸惑いの声を上げていました。きょうはスケジュールを合わせて、被害者の家族の方が多く参加しています。被害者の家族に対して裁判所側から謝罪があり、裁判所も戸惑いながらし、両方の言い分を飲んだ結果、今後の審議ということになりました。
安藤優子:
裁判長もおっしゃったように、自分の主張をする機会は今までいくらでもあったわけですよね。なぜこの判決の日に突然このような形になったのか、とても不思議です。
田村勇人弁護士:
新立被告がインタビュー受けたせいで被害者の方の感情が当然激化して、今回の被害者家族の意見陳述をもう一回やるという手続きになったわけです。裁判所も、そこまでやって今日は判決の予定だったんです。なのに、これは新立被告の弁護士もかわいそうだと思うんですけど、おそらく新立被告があれこれ言うんですよ、打ち合わせで。「私ももう一回言いたい」とか、「こういう風に争いたい」とか。そういわれると弁護士も無視して進めるわけにはいかないので。
尾木直樹(教育評論家):
裁判って、こんなに被告に振り回されるものなんですか?
田村勇人弁護士:
振り回されてはいないんですけど、手続きをしっかり経ないと。刑事裁判は結論よりも手続きに正義があるという建前があるので、そこは裁判所もちゃんとやらなきゃいけない。今回は、もう一度被害者の方が意見陳述されたという新しい材料が出てきちゃったから、そこで(被告人に)「反撃させろ」と言われてしまうと、裁判所としてはやらないとは言えないんですよ。
安藤優子:
なるほど、機会を与えることは拒否できないと。しかし今回、この判決を聞くためにいらしていた被害者のご家族の方たちのことを考えると、いま一度意見陳述の機会を与えてほしいというくらいのお気持ちなんじゃないかと思えてなりません。