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秋篠宮家の炎上を招く「生々しさ」とは お金、恋愛問題への忌避感か

2021年07月20日 17時00分15秒 | 皇室のこと

国民のことをまるで考えていない」

皇統は秋篠宮家に……

 秋篠宮さまが皇位継承順位1位であることを内外に宣明する「立皇嗣の礼」は、11月8日に執り行われる。が、長女・眞子さまの結婚問題は暗礁に乗り上げ、ご夫妻や次女・佳子さまのお振る舞いまで論(あげつら)われる事態が続く。なぜ、秋篠宮家は皇室史上かつてないほど批判にさらされてしまうのか。


 【画像】まるでモデルのような美貌の佳子さま  ***


 政府は、立皇嗣の礼が執り行われたのち「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」に関する議論に取り組むとしている。そこでは女性宮家についても論じられることになろうが、現行の皇室典範に則れば、皇統は次代で皇嗣家、すなわち秋篠宮家へと移ることになる。


ところが、 「眞子さまの結婚問題が長引いたこともあり、秋篠宮家は今や、すっかり逆風に晒されています」  とは、皇室ジャーナリストである。

 「金銭トラブルなどの問題を抱えたお相手に見切りをつけられないどころか、かえって固執される眞子さま。そしてそのお振る舞いをお諭しすることができない秋篠宮ご夫妻、さらにはお姉さまの“一途な思い”を手放しで讃えるかのようなお考えを表明された次女の佳子さまにも、世間の批判の目が向けられてしまいました」 

 実際に佳子さまは昨年3月、ICUご卒業にあたり、 〈姉の一個人としての希望がかなう形になってほしい〉 

 そう文書で回答されたのだが、このニュースがネットで報じられると瞬く間に、 〈秋篠宮の御教育が間違っていませんか〉 〈国民のことをまるで考えていない思慮の浅い言葉でした。悠仁様は、大丈夫なのか〉  といった、辛辣なコメントが並ぶことに――。 

「以降、佳子さまは“月に4回しかご公務が入っていない”あるいは“(昨年の)中欧ご訪問は観光名所ばかり”などと週刊誌で報じられ、挙句の果てに昨年秋にはダンスの発表会でお腹を露出して激しく踊られる姿もキャッチされ、物議を醸しました。そしてその都度、ニュースサイトは“仕事も進学もしないのに”“国民の税金で”といった、ネガティブなコメントで埋め尽くされてしまったのです」(同)

たちまち「再炎上」

ビデオメッセージを出された佳子さま

 そうした“アゲインストの風”を十分に感じられてか、佳子さまが学生時代に通われていた都下のダンススクールの発表会が先日行われたのだが、そこにご本人のお姿はなかった。 

「コロナ終息のめどが立たず、皇族方もご活動が制限されている折、さすがに今回はお出ましを控えられたのかもしれません。それでも今なお、SNSを中心とした秋篠宮家への批判は止んでいないのが現状です」(同) 


 今年5月には医療従事者に手作りガウンを贈るべく、ご一家総出で作業に取り組まれたにもかかわらず、 

〈パフォーマンスにしか見えません〉  

などと書き込まれ、また今月1日、ご夫妻が文化庁芸術祭を鑑賞されると、

 〈それよりも全身全霊で娘さんを説得してください〉 〈本当にこの宮家に皇統が移ってしまうのでしょうか〉  そう評されてしまった。

同じ頃、本誌(「週刊新潮」)は佳子さまが手話の大会でお言葉を述べられ、その模様がユーチューブで配信されたことで、ネットに批判が相次いだと報じた。その後にウェブ版で記事を掲載したところ、 

〈比べるのは失礼だと思うが、帝王学を学ばれた陛下と自由奔放な次男坊の差がだんだん出てきていると思います〉 〈これだけ国民から批判を浴びる皇族はかつてあったでしょうか?〉  

などと、たちまち「再炎上」してしまったのだ。  とりわけ深刻なのは「小室問題」の火種が延焼して「佳子さま批判」を招き、ついには「秋篠宮家を天皇家にしてよいのか」といった、畏れを知らぬ非難にまで発展したことである。

「宮内庁」も打つ手なし
 言うまでもなく皇室は広く国民から敬い親しまれ、「お手本」とされてきた方々である。皇統を受け継ぐご一家とこうした世評とは本来、決して相容れないはずなのだが、先のジャーナリストは、 

「ネット上の書き込みとはいえ、かつてこれほどまで批判的な意見を寄せられた皇族方は記憶にありません。振り返れば、皇太子妃時代の雅子さまは、ご病気のためにご公務もままならなかった。そのことで批判的な書き込みがなされたこともありましたが、SNSの進化もあり、今とは規模が違いました。そもそも、現在は圧倒的にそのなさりようを称賛する声に転じているのです」 

 けだし世間の風とは移り気である。が、それを差し引いてもなお、容易ならざる事態であるのは言うまでもない。皇室制度に詳しい小田部雄次・静岡福祉大名誉教授が言う。

 「コロナ禍で失業者だけでなく、精神的な不安定さを感じる人も増えているといったニュースもあります。昨年、宮内庁の記者会に所属する若手女性記者が会見で『佳子さまは普段、何をされているのか』と質問したことが報じられ、佳子さまをバッシングする声がネットに溢れたことがありましたが、確かに現在、佳子さまの同世代でも正社員になれず、非正規雇用に流れていく人も多いことでしょう。国民は苦しい状態にある中、就職せず、たまに行事にだけ出席なさるといったスタイルに疑問を持つ人が出てくるのも、致し方ないとは思います」  ネットでは、目に余る記述も散見されるのだが、

 「匿名で建前がない分、厳しい言葉が並んでしまいます。ですが、それでも国民の声であることに変わりはありません。すべてではありませんが、そこには国民の本音が潜んでいるでしょうし、そうした局面と向き合われるご姿勢もまた、大切ではないでしょうか」(同) 

 この由々しき事態をどうすべきか。ご一家をお支えする宮内庁もまた、こうした事態を十全に把握しているとは言い難く、それゆえ手を拱(こまぬ)くしかないようだが、そもそもの根源は、平成の代から尾を引く結婚問題である。仮に小室さんがひとこと「私が働いて返済します」とさえ言えば、状況は大きく動くことだろう。


「人間的な生臭さ」

「眞子さまと小室さんの問題は、お金と恋愛という非常に“生々しい”要素を抱えています」  

そう指摘するのは、皇室に詳しい名古屋大学大学院の河西秀哉准教授である。 「その人間的な生臭さが、かえって国民からの忌避意識に繋がってしまっている。皇族が身近に感じられるのは良いことですが、人間臭さが出すぎると、今度は国民との距離感を保つことができません。平成の御代はそれが実にうまくいっていたのですが、今回、秋篠宮家は過剰に表出してしまったのではないでしょうか」 

 結果、容赦のない批判を招いてしまったというのだ。

 「小室さんは文書でコメントしましたが、その後はずっと雲隠れを続けています。言葉がないからこそ疑念が生まれ、それがさらなる疑念を生む。遅きに失した感はありますが、今は国民への丁寧な説明が不可欠です」  

その“生臭さ”は一方で、

 「ご年齢相応の豊かな感情を持ちつつ懊悩を抱える一人の女性が、同時に国民統合の象徴の一員として多大な重責を担っていることの表れでもあります。そうした眞子さまの葛藤が最も表れているのが今回の結婚問題。だからこそ文書ではなく、眞子さまご自身が肉声で、しぐさや表情も伴いながら思いを述べられるのが最良だと思います。そうすれば国民にはお気持ちが伝わり、納得する人も必ず出てくるはずです」 


 もっとも、小室さんや宮内庁にそうした覚悟があるかといえば、甚だ心許ないのだが……。 「週刊新潮」2020年10月22日号 掲載



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本当は日本で働きたい…」中国「千人計画」参加者の本音 ノーベル賞・本庶教授も日本の現状に警鐘

2021年07月20日 15時30分14秒 | 教育のこと


中国政府が推進する「千人計画」は、世界中の優秀な研究者を好待遇で集めるプロジェクト。米国をはじめとする各国は科学技術を盗まれる懸念から警戒を強めているが、実は日本人研究者も多く参加している。その背景には、我が国の研究環境の劣悪さがあるという。実際に計画に参加する日本人たちの本音とは――。  ***


 中国政府は現在、学術研究に圧倒的なカネを投下している。科学技術の予算は、2016年度の時点で22兆3988億円と日本の6倍以上。20年前は、日本と中国は共に約3兆3千億円前後と拮抗していたのに、破竹の勢いで予算を投入し始めたのだ。 


 中国トップ10に入る最難関大の一つである浙江大学で、サルなど霊長類の遺伝子を研究する高畑亨教授(43)によると、

 「論文が掲載されたら報奨金を出すなど必死なのは、習近平国家主席が科学大国になると宣言していて、面子をかけて“論文掲載数世界一”を目指していることが背景にあります。そのこだわりは非常に強く、外国人の論文でも、中国の研究所や大学発の論文として発表させようという取り組みをしている。一方で、米国や日本の研究者は自分の研究結果が論文になればいいと思っているので、どの国から発表される形になろうが、その点はあまり気にしていません」  とはいえ、

「千人計画」に選出されると課せられるノルマは厳しいとも話す。


 「論文を出さなければいけないプレッシャーはキツイですよ。自分の場合、与えられた研究費は5年分だけですから、それ以降は中国で企業や省のプログラムに応募しないとゼロになってしまう。自分を含めて中国に来た若手の研究者は、働けるなら日本にいたいというのが本音です。給料や研究費が高いから中国に行くのではなく、日本に研究者としてのポストがない。だから中国へ行くしかなかったのです」

中国からノーベル賞が続出? 

 止まらない人材流出の影響はすでに表れ始めた。ニッポン人の受賞ラッシュが続いたノーベル賞で、今年はまさかのゼロ発表も決して偶然ではない。 

「中国はいま、ほとんどノーベル賞の受賞者がいませんが、これから先は基礎科学の分野においても、どんどん出てくると思います。あと10年もしたら、目に見えて結果が出てくるんじゃないですか」 

 と懸念を示すのは、16年にオートファジーの研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した、東京工業大学栄誉教授の大隅良典氏(75)である。

 「このままいけば、日本で活躍の場がないからという理由で、基礎科学者が中国に流出することが、今以上に増えていくと思います。中国は基礎科学の分野においても、お金の使い方、スピード感が違いすぎる。実際、私もお声がかかることがありましてね。年間で1億円の予算を確保しますとか、そのくらいの予算は我々の分野では使うものなので、ものすごく高額というわけではありませんでしたが、学生はヤル気も能力も高いでしょうから、魅力的ではあったけどお断りしました。日本でもそれなりに仕事ができていましたし、齢をとってから北京の汚い空気の中で生活すると思うと……」 


 そう明かした上で、こんな警鐘を鳴らすのだ。 「私はかつて東大の理学部で植物学を研究していたから分かるのですが、20年ほど前なら中国は稲の研究など、作物の増産に結びつくような研究ばかりにしか予算がついていなかった。だから、言い過ぎかもしれませんが科学者として脅威を感じることはありませんでした。でも、今はまったく違います。基礎科学を大事にしており、何をやってもいいような

お金が貰えないと困る」
 対して日本はといえば、 「コロナの問題でも、感染症対策や創薬の話をする以前に、ウイルスって何ぞやという研究をするにもお金が要る。ところが、日本ではウイルスがどのようなメカニズムで増えるかなど、基礎的な研究をするのが非常に難しい。ベーシックなサイエンスに予算が下りないわけです。これはとってもまずいことだと思います」  

背景には、04年の国立大の独立行政法人化で、交付金が減らされたことがある。深刻なのは、日本の若い科学者たちの中に、予算がつくような研究をしなければいけないという意識が沁みついてしまったことだと、大隅氏は嘆く。

 「日本は財務省の役人に分かって貰えるような研究なら何とか予算がつく状況。お金が貰えないと困るという感覚が叩き込まれてしまっていて、この研究が“面白いからやります”という申請書が作られない。今の日本のやり方は、研究にお金を出したらその分の見返りがなくてはいけないというもので、これでは絶対に上手くいかないと思います」  いったいどういうことか。 

「そもそも科学というものは、見返りを求めたら成り立ちません。長い目で見たら1億円の研究から100億円が生まれるかもしれないけど、短期間の結果だけをみたら0円かもしれない。日本では評価のタームが数年単位とあまりに短すぎるんです。何も無駄なことをさせてくれと言っているわけではなくて、数年で成果が上がりますという研究は科学じゃない。私が政治家で本気で国力を上げようと思ったら、20年、30年後に花が咲くようなお金の使い方をしますよ」
「日本は先頭集団の最後尾にいる」


 18年にノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑・京都大学特別教授(78)も、 

「私が免疫の研究を志したのは1972年のこと。オプジーボの基になったPD-1という分子を発見したのが92年で、それをがんの治療に使う原理を見つけたのが02年。製薬会社が薬にして認可されたのが14年ですから、トータルで40年かかった。もっとも生物学のような分野では、そのぐらいのタイムスケールは当たり前なのです」  


そう指摘した上で、 「研究者になる上での最大のメリットは、若いうちから好きなことができること。サラリーマンなら30代までは会社の使い走りですが、実力のある研究者なら35歳にもなれば好きな研究に打ち込める。私も東大で研究を始めた頃は30代でしたが、年間500万円ほどの運営費交付金という自由な研究費をいただけたことで、なんとか生き延びることができました。けれど、今の日本では40代以下の研究者は大変つらい思いをしていると思う。彼らの環境を整えなければいけません」

 加えてこう提言する。 「マラソンにたとえるなら、今の日本は優勝争いを繰り広げる先頭集団の最後尾にいる状況。一度でも脱落すれば、挽回には大変なエネルギーが要りますから、今がまさに、我が国の科学技術政策を見直すラストチャンスなのです」

  図らずも「千人計画」のベールを剥いで見えてきたのは、我が国の目を覆いたくなる構造的な惨状だった。 「週刊新潮」2020年10月29日号 掲載



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続々と!メキシコの五輪野球チーム、メンバー2人が新型コロナ検査で陽性

2021年07月20日 14時15分52秒 | 社会のことなど

[東京 20日 ロイター] - メキシコの五輪野球チームのメンバー2人が新型コロナウイルス検査で陽性反応を示したことが分かった。検査は、五輪に向けて出発する前にチームが滞在するホテルで実施された。

 メキシコ野球連盟の声明によると、陽性となったのはヘクター・ベラスケス、サミー・ソリス両選手で、今月18日に検査を実施した。両選手を含めチームメンバー全員が隔離措置を取っており、PCR検査の結果を待つことになるという。

 同連盟は「東京五輪に参加するメキシコ代表野球チームのメンバー全員の健康を守るために、メキシコ・オリンピック委員会が制定した全てのルールに従う」と表明した。 

メキシコ代表は7月30日に横浜で行われる初戦でドミニカ共和国と対戦する。 日本にいる五輪の選手や関係者のうち58人が、今月にコロナ検査で陽性と判定された。


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「もはや大義なし」五輪中止求める署名「45万筆」、バッハ会長らに提出

2021年07月20日 10時00分57秒 | 社会のことなど
「人間の尊厳とは命です。(新型コロナの感染拡大で)命が失われようとしているとき、五輪の開催は人間の尊厳を無視する行為です。このことが問われている大会だということを、肝に命じてほしいです」


東京五輪の開幕まであと8日と迫る中、新型コロナ感染拡大への懸念などから、五輪中止を求めるオンライン署名が45万筆を突破した。 署名を呼びかけてきた元日弁連会長の宇都宮健児弁護士は7月15日、IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長や小池百合子都知事らに署名と五輪中止を求める要望書を提出した。

 宇都宮弁護士は同日午前、都庁で会見し、「もはや五輪に大義は失われています。今なぜ五輪なのか」とあらためて中止の必要性を訴えた。 

●「人間の尊厳に重きをおく五輪憲章にも反する」 

東京五輪の中止を求める署名キャンペーンは、「Change.org日本版」で5月にスタート。7月11日に45万筆を突破し、同サイトとしては史上最多を記録している。 

宇都宮弁護士は会見で、「東京では4度目の緊急事態宣言が発令され、世界的にも感染者がまた増えている中、もはや『復興五輪』や『新型コロナに人類が打ち勝った証としての五輪』という大義も失われてしまっています」と指摘した。 

また、今年1月から3月にかけて、東京都や大阪府など都市部で感染者数が増え、一部で医療崩壊が指摘されたことに触れ、「このままでは五輪期間中にも感染が拡大して、医療崩壊を招く可能性があり、救える命も救えなくなります。そうした事態になったとき、誰が責任を取るのか」と危機感を示した。

 IOCが五輪憲章でその目的を「人間の尊厳を保つことに重きを置く平和な社会の確立」としていることについても、「五輪開催はこの根本原則に反している」と批判。次のように述べた。 

「人間の尊厳とは命です。(新型コロナの感染拡大で)命が失われようとしているとき、五輪の開催は人間の尊厳を無視する行為です。このことが問われている大会だということを、肝に命じてほしいです」

 宇都宮弁護士は、7月14日夕方までに集まった45万1867筆とともに、中止を求める要望書をIOCのバッハ会長や国際パラリンピック委員会にメールや郵便で送付したほか、小池都知事に提出した。バッハ会長は来日中であることから、宿泊先のホテルにも郵送したという。

 また、15日午後には、菅義偉首相や丸川珠代五輪相、大会組織委員会の橋本聖子会長にも提出する予定。宇都宮弁護士は、オンライン署名は今後も、民意を表明する場として継続していくとしている。


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ノーベル賞受賞者は未だゼロ なぜ「東大医学部」から“本当の天才”は出てこないのか?

2021年07月20日 09時00分34秒 | 医学部と医師の育成のこと


受験エリートが軒並み“ダメ医師”に…OBが明かす「東大医学部」の残念すぎる実態  から続く 

【写真】この記事の写真を見る(5枚) 

 日本の医学界の頂点に君臨する「東京大学医学部」。

だが、iPS細胞の山中伸弥教授やオプジーボの本庶佑特別教授を擁する京都大学に対し、東大医学部からはいまだにノーベル医学賞受賞者が出ていない。
 

「世界に認められる研究を行うには、東大教授を5年に1度は総とっかえすべきだ」と東大医学部OBで受験のカリスマとしても知られる精神科医・和田秀樹氏は主張する。東大医学部が変わるためにはどうすべきなのか。

『 東大医学部 』(ブックマン社)の共著者、ジャーナリストの鳥集徹氏と語り合った。(全3回の2回目/ #3 に続く)

 ◆◆◆
東大教授は「偉い」?

鳥集 なぜ、東大医学部が既成の概念をぶっ壊すのではなく、むしろ時代と逆行するような組織になってしまったのでしょうか。

 和田 それは教育が悪いんです。つまり、東大教授は「偉い」ということになっているから。ほとんどの学部が権威主義に陥り、東大教授になることが目標になっている。ただ、物理とか数学だけは例外で、宇宙や数の真理を探究することが目的で、本当にできる人たちが集まっている。彼らの目的は東大教授になることじゃないんですね。

だから、東大でも医学部からはノーベル賞学者は出ないけど、物理学からは出るんです。研究の雰囲気が医学部とはまったく違う。上が下に特定の考え方を押し付けたりしない。変なことを言う人のほうが、おもしろいと言われる。 


鳥集 物理や数学はすごい発見があっても凡人には理解できません。相対性理論が応用されているGPSや高度な数学が応用されている暗号技術などは別として、すぐに社会に還元できる研究は多くないかもしれない。たとえば物理学に「超ひも理論」というのがありますが、素粒子が実はひもでできていて、11次元に折りたたまれていると言われても、チンプンカンプンです。 


 それでも、そういう宇宙の真理を追究する学問は大学でやるべきだと思うんですが、

それに比べて医学はダイレクトに社会に貢献できる研究が多い。

国民に平等にマスクを配るシステムを迅速につくった台湾のIT大臣オードリー・タンさんのような天才が、東大医学部から出てきてほしいと思うんです。そういう社会に貢献できる人を育成するのが、東大医学部の一つの目的であるべきだと思うんですが。


課題の出し方が悪すぎる

和田 これだけ合格者の最低点が高いことから見れば、課題の与え方さえよければ、いい答えを出せると思いますよ。そもそも東大医学部の教授は、本来は研究のプロデューサーであるべきだと私は思ってるんです。ところが、それができていない。たとえば故スティーブ・ジョブズはIT技術者でもなんでもなくて課題を出す人なんです。

「こんな電話つくってよ」とか、「こんなオーディオつくってよ」と。そうすると優秀な技術者たちは、与えられた課題がおもしろければ、チャレンジするわけです。

 鳥集 優れた教育者やリーダーというのは、最初から答えのある課題を与えるのではなくて、答えはないけれど「これを解いたら、ものすごく面白いよ」と後進を鼓舞できる人なんでしょうね。 

和田 そうだと思います。ところが、今の日本の医学では、確実に「有意差」が出るような研究をしないと博士号がとれない。それでは、いいアイデアなんて出るわけがないんです。


鳥集 「有意差」というのは、「二つ以上のデータを比べたときに、偶然とは言えない確率で差があると言える」という統計学上の概念です。医学研究では、たとえばAとBという薬を動物実験や臨床試験で試して、「Aのほうが、効果が優れていた」と言うためには、有意差が出なくてはなりません。こうした統計学的な考え方は大切ですが、一方で博士号を取るには有意差が出るような研究が必要だとなると、確実に結果が出そうな研究ばかりをすることになりそうですね。


さっさと海外へ留学したほうがいい

和田 そう、大胆な仮説なんか出るわけがない。世界的に権威のある医学専門誌である「ネイチャー」や「ランセット」に載る論文は、後で「間違いだった」と否定されることも多いんですが、そのかわり大胆な仮説が提示されて、多くの人を惹きつけます。そうした画期的な研究というのは、既存の考え方を壊さないと出てきません。 

 たとえば、ノーベル賞をとった京都大学の山中伸弥教授の何がすごいかというと、それまで万能細胞をつくるには、受精卵をクローン化するしかないと思われていた。しかし、人間に育つ可能性のある受精卵を実験や治療に使うのは、倫理的な問題がある。そこで山中さんは、受精卵からスタートするという考えを捨てて、ヒトの組織の細胞を初期化すればいいと思いついた。もしそれを実現できなかったとしても、思いつくだけですごいんです。

 鳥集 灘、開成、筑駒といったエリート高校で東大理Ⅲをめざす人は、そういう発想を持ち続けて、大学に入ってほしいですね。 和田 だけど、東大医学部の中で出世を目指している限り、それはとても難しいんです。なぜなら、医学部教授に一度なったら、その医局に10年も20年も居座ることになるから。もし教授がプロデューサーとしてダメな人だったら、画期的な発想が生まれるはずがない。 

 東大医学部にしがみつくよりも、さっさと海外へ留学したほうがいい。海外に行くと、ものの考え方が変わります。そもそも、東大理Ⅲに入る学力があったら、世界中のどのメディカルスクールに行っても、優等生になれます。東大理Ⅲは、入るのは世界で一番難しいと思います。ただし、医学部が優秀かどうかは別の話ですが。

以下はリンクで


コメント (2)
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