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恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

2024年09月19日 09時06分20秒 | お金のこと

銀行や保険会社の中には「日本人、特に70代以降のかたは金融機関のことを疑わない」という傾向を悪用して、本人のライフプランには不要な保険や金融商品を売りつける会社もあります。

3・12・2021

このようなことが起きているのかをファイナンシャルプランナー・安田まゆみ氏の『そろそろ親とお金の話をしてください 』(ポプラ新書)より解説していきます。なぜ


知識のない高齢者に金融商品は売るってどうなの?

もったいない、損をしたくない。これは私の口ぐせですが、お金のプロとしてはやはり、誰かが「しなくてもいい損」をしているのを見るのはつらいものなのです。 最近、気になっているのは、生命保険も含む金融商品です。2019年に、かんぽ生命保険が高齢の契約者に不適切な販売を繰り返していたことが発覚した時は、大きな憤りを覚えました。 

日本人、とくに70代以降の人たちは金融機関をあまり疑わないようですし、とくにもともと郵政の事業は国営だっただけに「かんぽ生命なら安心」と思っていたでしょう。そういう「信用」を利用したやり方に、他人事ながらとても腹が立ちました。

 実は、このかんぽ生命のような手口での販売方法は以前にもあり、初めてのケースではありません。そして、今回のようなことが今後も起こらないとは言い切れないと思います。 私は何も、金融商品がすべて悪い、高齢者を騙していると言いたいわけではありません。ただ、たとえ生命保険であっても「金融商品」を購入する際には、それについてのリスクを知って、慎重に検討してほしいと思うのです。 金融機関は、金融庁が認可した商品しか扱えないので、基本的に人を騙すような商品はありません。


ただ、万人向けの商品というものはないのです。投資に対して、的確な判断ができる人と、金融リテラシーが低く投資の判断力が弱い人がいます。購入する人に見合う商品かどうかによって、商品の持っているリスク以上のリスクを被る場合があるわけです。 残念ながら、その憂き目に遭うのはやはり、お金を持っている高齢者。 

たとえば、長年続けてきた定期預金が満期になるからと銀行の窓口に行くと、「定期預金の代わりにこういう商品があるんですよ」と投資信託や保険商品を勧められたりすることがあります。 投資信託は、基本的に元本保証のない金融商品です。金融リテラシーの高い人が自覚的に買うならいいでしょう。

しかし、金融知識もなく「ハイリターンだから」と勧められるまま(ハイリターン商品はハイリスクを伴う商品でもあることを知らずに)投資に手を出せば、1円も増えないどころか、元本割れする可能性は大いにあります。定期預金の代わりにはなりません。

銀行だって無条件に信用していいわけじゃない

ある相談者Nさんのケースです。銀行で、金利の高い定期預金と投資信託を抱き合わせた商品を勧められました。「100万円を定期預金にし、もう100万円で投資信託を始めれば、定期預金の金利を上げる」という「投資信託セットプラン」の商品です。

 「金利が上がる」と聞けば、誰だって「お、いいな」と思いますよね。Nさんも心が動きました。それでも大切な虎の子を預けるにあたって、本当に増えるのかどうか心配になり「投資信託がセットになっているのが気になって」とご相談に見えました。 その金融機関が配布しているチラシをNさんと一緒に精査してみることにしました。 定期預金は投資信託の購入金額以内になること、そして「円定期預金3か月もの年3.6%」と書いてありました。

Nさんは、「3.6%」だけを見て、100万円預ければ1年で利息が3万6000円になると思っていたのです。 チラシには、銀行の税引き後の利息計算も小さく表示されていました。 100万円を預け入れた場合の計算式として、

 ●100万円×3.6%×92日÷365日=9073円(税引き前利息) 
●9073円-1842円(税金)=7231円(税引き後利息) 

Nさんは、勘違いしていたものの、100万円預けて3か月で7231円の利息が得られるのであれば、やはりお得なのでは…と、この時点では心が傾いていました。


銀行や証券会社が手数料で儲けているということは…

チラシには「投資信託の購入金額には購入時手数料、消費税を含みます」とあります。つまり、100万円で投資信託を購入したとしても、100万円が投資額になるわけではないのです。さらに投資信託は保有している間ずっと「信託報酬」が引かれます。それも計算に入れなければなりません。 定期預金とセットで販売される投資信託の手数料は高く設定されている傾向があり、チラシには「購入手数料(最大)は、3.24%、運用管理費用(信託報酬)は最大年率2.052%程度」とありました。 

最初の1年間で考えれば、単純計算で100万円×(3.24%+2.052%)=5万2920円が、経費としてかかるということになります。つまり、最初に手にする7231円の利息収入などは、この時点で吹き飛んでいるわけです。

知識のない高齢者がうまく運用できるはずもなく…

(写真はイメージです/PIXTA)

運用成績が良ければいいじゃないかと思うかもしれませんが、毎年2%もの「信託報酬」を払って購入した投資信託でプラスになるような投信商品を見つけるのは、そう簡単ではありません。ましてや投資経験のない高齢者にとっては、トータルでプラスにすることは非常に難しいはず。その上、もし投資信託の分が元本割れしてしまったら、目も当てられません。

 投資ですから、気長に持ち続けていたら儲かることもあるでしょう。でも、本人は高齢者。いくら人生100年時代といっても、全員が100歳まで生きられるわけではありませんし、その途中で認知症を発症するかもしれません。そうなれば、お金を使う楽しみがなくなってしまいます。 繰り返しますが、はなから人を騙そうという違法な商品を、銀行で販売することはありません。ただ、こうした「定期預金+投資信託」といった商品が、はたして高齢者に「勧めてもよい商品」なのかは、はなはだ疑問です。商品自体は合法だったとしても、高齢者には、誤解を生むような複雑でリスクの見えない商品は、アンマッチではないか、というのが私の考えです。

 また、ここ最近は、銀行などの金融機関が、高齢者に貯蓄性の高い生命保険を積極的に勧めているような気がします。ご相談の中でもその話はよく出ます。 先日、姪御さんと一緒にお見えになった90歳のシングルの女性Sさんが、5000万円を超える一時払いのドル建て生命保険に、銀行で勧められるままに入っていました。ドル建ての商品は、銀行利息よりも確実に増えるという説明があったようですが、それはあくまでドルベースでのこと。 円に換えると為替の状況次第では元本を割り込んでしまう可能性があります。ドルベースで増えたからといって、為替をにらんで、「このタイミングで解約すれば保険料として払い込んだ原資は増える…」というような細かなことをやれる金融リテラシーがある方ではありません。


 Sさんはほかにも資産があり、その保険で増やさなくても、保険に払い込んだ資金を合わせれば、生涯使いきれないほどの資産の持ち主です。ですから、この加入した保険は、彼女にとって何も意味をなさないものなのです。Sさんの場合は、保険に入るのではなく、行き届いた介護を受けられる老人ホームへの入居金などに、その資金を使うべきでした。 そんな彼女の事情を顧みずに、銀行の保険代理店部門が販売したわけです。

「手数料稼ぎ?」という言葉が頭をよぎりました。 こうしたカラクリをすべて承知の上で、投資信託や保険商品を購入するのならいいのです。ただ、それが高齢者にとって理解しづらいものであったり、今後の生活にとって優先順位の低いものであれば、それはアンマッチであり、大切な貯えが目減りする危険をはらんでいるということを、知っておいていただきたいと思うのです。 安田 まゆみ



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