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「自衛隊では日本を守れない」と断言する理由, 東大名誉教授 >法的根拠が曖昧で気球すら撃ち落とせない…

2025年03月18日 09時03分35秒 | 社会のことなど
法的根拠が曖昧で気球すら撃ち落とせない…東大名誉教授が「自衛隊では日本を守れない」と断言する理由
 
 
法的根拠が曖昧で気球すら撃ち落とせない…東大名誉教授が「自衛隊では日本を守れない」と断言する理由(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース 
 
なぜ日本は中国の気球を撃墜できなかったのか。 東京大学名誉教授の井上達夫さんは「気球撃墜の法的根拠があいまいだったからだ。憲法9条で戦力の保有と行使を禁止しているため、戦力を統制する国内法体系を日本は持っていない」という――。 
 
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しかし、彼らは嘘を言っている。 いかに「解釈改憲」や「違憲だけど政治的にOK」という御都合主義でごまかそうと、あるいは9条を温存し自衛隊を明記するだけの「安倍加憲」的改憲でお茶を濁そうと、憲法9条がある限り、「自衛隊はしっかり日本を防衛できる」とは到底言えない。 なぜそうなのか、本当の理由が十分理解されていないので、ここで説明しよう。 
 
■「自衛隊は警察力だ」という嘘  
 
「自衛隊は軍事力ではなく警察力だから合憲だ」とよく主張される。  
 
その根拠にされるのが「ポジティブリスト」と「ネガティブリスト」の区別だ。 
 
 原則的に武力行使を禁じ、一定の列挙された場合に例外的に許容するのがポジティブリストによる統制である。 
 
 逆に、原則的に武力行使を許容し、一定の列挙された場合に例外的に禁じるのがネガティブリストによる統制だ。
 
 簡単に言うと、ポジティブリストは「法律が、できるのはこれだけだとしていることのリスト」、ネガティブリストは「法律が、できないのはこれだけだとしていることのリスト」である。 
 
 武力行使に関し、警察はポジティブリストで統制され、リストにあること以外はできない。それに対し、軍隊は、ネガティブリストで統制され、リストにあることは絶対にやってはいけないが、それ以外はできる。 
 
 軍隊の交戦行動のネガティブリストを定めているのが「戦時国際法」である。  
 
非戦闘員・民間施設に対する無差別攻撃の禁止、降伏した捕虜の殺害・虐待の禁止、中立国への攻撃の禁止などが戦時国際法によって規定されている。  これらの禁止項目に該当しない限り、武力行使は許される。

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警察は、取り締まり対象者が暴力的・破壊的行動を実行し、武器使用しないと警官や第三者の被害を回避できないとみなされるごく限られた場合しか武器使用できない。 
 
 だが、軍事侵攻に対し自国を防衛する軍隊は、相手がこちらに気付かず通り過ぎてしまう場合でも先制攻撃をかけて撃滅できるし、そうすべきだ。 
 
 軍隊を警察と同様にポジティブリストで統制するなら、侵略軍を実効的に撃退することなどできない。だからこそ、国際法は自衛戦争を合法化すると同時に、自衛のための武力行使はネガティブリストで統制している。 
 
 「自衛隊は警察同様に規制されているから合憲」などという欺瞞に満ちた主張が、自衛隊から実効性のある防衛能力を奪ってしまう。
 
 ■防衛出動時の自衛隊は「普通の軍隊」 
 
 そもそも、自衛隊は警察で、軍隊ではないというのは、嘘である。
 
  自衛隊の武装出動には、「治安出動」と「防衛出動」の2種類がある。
 
  「治安出動」とは国内での暴動鎮圧などにおいて、警察を補完するための出動だ。この場合、自衛隊は警察力として使われるので警察と同様にポジティブリスト的統制に服する。  
 
一方、国防上の有事に自衛隊が出動するのが「防衛出動」である。自衛隊法76条に基づき、首相が防衛出動命令を出す。 
 
 防衛出動命令が出されると、自衛隊法88条1項で「自衛隊は、わが国を防衛するため、必要な武力を行使することができる」とされており、自衛隊の武力行使が原則的に許容される。
 
  同条2項が「前項の武力行使に際しては、国際の法規及び慣例によるべき場合にあってはこれを遵守し、かつ、事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならない」と定めている。 
 
 この「国際の法規及び慣例」とは、先に触れた「戦時国際法のネガティブリスト的制約」を指している。 
 
 要するに、自衛隊は防衛出動においては「普通の軍隊」として運用されるのだ。
 
 ■日本には軍法体系が存在しない  
 
しかし、「普通の軍隊」には、「軍法」が必要だ。 
 
 自衛隊法88条2項は「戦時国際法を守れ」と定めているが、万が一、自衛隊がそれに違反するような武力行使を行った場合、それは国内的軍法体系(交戦法規とそれを適用する軍事司法制度)によって裁かれる必要がある。  
 
だが、この軍法体系が日本に存在しないのだ
 
  単に存在しないのではなく、存在できない。  憲法9条が「戦力の保持」と「交戦権」を否認している以上、「戦力=軍事力」とその行使を統制するための国内法体系を持つことができないからだ。
 
  ここに日本の安全保障体制の根本的な欠陥がある。  (後編に続く)

 
 
 
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