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まさに理想的ピンピンコロリ?……ゾウが長寿なのに「ガンにならない」ワケ

2024年01月11日 20時03分21秒 | 生き物のこと
まさに理想的ピンピンコロリ?……ゾウが長寿なのに「ガンにならない」ワケ(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース 




まさに理想的ピンピンコロリ?……ゾウが長寿なのに「ガンにならない」ワケ
1/4(木) 7:03配信


現代ビジネス
PHOTO by iStock


 哺乳類は一般に、体が大きいほうが長生きだ。


 からだの大きさと寿命には何か関係性があるのだろうか? 
 ハツカネズミとゾウを比較して、その秘密を探ってみよう。


【画像】日本人の死因の特徴は「ヨボヨボダラダラ」


 (本記事は小林武彦『なぜヒトだけが老いるのか』から抜粋・編集したものです。)


哺乳類の体の大きさと寿命の関係
 瞬時に老化するサケや、何が原因で死んでいるのかわからない穴蔵暮らしのハダカデバネズミは、ちょっと極端な例かもしれません。私たちヒトも含まれる大型哺乳類の例を見てみましょう。


 哺乳類は一般に、体が大きいほうが長生きです。これには理由があると私は考えています。体が大きい生き物は、そもそも成長に時間がかかります。これ自体も長生きの理由です。加えてその長い成長の間、親が養育しないといけません。その分も親が長生きでないといけません。


 進化の過程で体が大きくなると同時に、それに付随して長生きの親が選択されてきたのでしょう。進化は目的ではなく結果なので、この「長寿化」もまた、「たまたま」です。


 逆に体が小さい動物は、一般的に寿命も短いです。前にお話ししたように、食べられて死ぬことが多いので、そもそも長寿化にメリットはありません。どちらが有利か不利かは、その生きている環境によるのです。


 ちなみにヒトの場合は、体の大きさと寿命は関係ありません。統計的にはざっくりと言って中背でやや太り気味の人が長生きです。


ハツカネズミには長生きに関わる遺伝子がない
PHOTObyGettyImages


 話を元に戻します。まずは小さいほうから見ていきましょう。


 よく例に挙げられるのはネズミの仲間です。ハツカネズミは妊娠期間が20日(はつか)のため、そのように名前がつけられました。生まれて成熟するまで2ヵ月なので、約3ヵ月で世代交代します。寿命は数ヵ月から1年で、鳥や他の動物に捕食されて死ぬ場合が多いです。ですので、慌てて子供を作るようにも見えますが、実際には進化の「選択」、つまり食われる前に子供を残せる「早熟」な種だけが生き残ってこられたのです。


 実験室で人工飼育した場合は、捕食される心配はないのですが、やはり同じサイクルで子供を産みます。人工飼育では2年以上生きるものもいて、最終的にはがんで死ぬことが多いです。また後ほど詳しくお話ししますが、がんは遺伝子の変異で起こります。長く生きていればいるほど徐々に遺伝子に変異が蓄積してきて、がんになるリスクが高くなります。


 もともとネズミは数ヵ月で食べられて死んでしまい、何年も生きることはないので、がんを抑制したり長生きに関わるような遺伝子はそもそも必要ではなく、あっても働きが弱いのです。たとえばp53というがんを抑制する遺伝子を、ゲノム編集でがんを発症しているマウスに導入すると、2週間足らずというすごい勢いで全身からがん細胞が排除されます。


 p53遺伝子は、DNAの傷を感知し、傷が少ない場合は修復し、多い場合はその細胞を殺して発がんを防ぐ働きがあります。このようながんを防ぐ遺伝子の働きが弱いのです。

ゾウが長生きでガンにならない理由
PHOTO by GettyImages


 今度は大きい動物です。ヒト以外の陸上哺乳類で最も寿命が長いのはゾウです。ゾウは60年以上生きるものもいます。ゾウのような大型哺乳動物は、元々食べられて死ぬ個体は少ないので、人の手で飼育しても寿命は延びません。逆に、狭い檻暮らしによるストレスのために、寿命が短縮する場合もあるのかもしれません。


 興味深いのは、ゾウはあれだけ体が大きくて細胞の数も多く、寿命も長いのに、がんにはほとんどなりません。言い方を換えれば、がんにならないから長生きだとも言えます。ゾウががんにならない理由を調べた研究があります。結果として見つかったのは、先ほどのp53の遺伝子の数です。なんと20個もあることがわかりました。加えて、リフシックス(LIF6)というp53の働きをさらに助ける遺伝子もゾウにだけ存在します。


 ゾウの細胞を試験管に取り出して紫外線や放射線などを当て、DNAの傷に対する感受性(どのくらい死にやすいか)を調べた研究もあります。結果は意外なことに、DNAの傷に非常に弱いことがわかりました。つまりゾウの長生きの理由は、傷ついたDNAを持つ細胞を修復して生かすのではなく、容赦なく殺して排除する能力に長けているためと考えられます。


 老化して傷ついた細胞も同じように排除されるため、ゾウは基本的には老化症状を示さず、死ぬときには心筋梗塞などの循環器系の不具合が原因で、ピンピンコロリというわけです。結果的に、「老いたゾウ」は存在しないのです。


 私たちヒトにとって少しずつ老いていく「老化」はごく身近なものですが、自然界の生物を見渡すと、とても珍しい現象だったのです。


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