はじめまして、現役東大生の布施川天馬と申します。学生生活の傍ら、ライターとして受験に関する情報発信などをしています。
突然ですが、東大生になるためには何が必要だと思いますか? 東大に合格するためには、いったいどんなものが恵まれていればいいんでしょうか? おそらく多くの人は「頭の良さ」と答えると思います。勉強ができて、天才的な頭脳がある人が東大に受かる、と。しかし、それは違います。答えは「金」です。
8/4/2020
実は東大生の9割は、金持ちの家庭出身。金がないと頭が良くても東大に合格できないのです。
東大生の実家の約60%が「世帯年収950万円」
東大が実施している「学生生活実態調査」という資料があります。このアンケートは「学生の男女比率」や「大学に改善してほしいこと」はもちろんのこと、「東大生の実家の世帯年収」までも項目に掲げている、かなり赤裸々な内容です。
その「実家の世帯年収」を見ると、面白い事実がわかります。なんと東大生の実家の世帯年収は、その約60%が「年収950万円」を超えているのです。(2018年度東京大学実施「学生生活実態調査」) 全国の世帯年収の平均額が550万円前後なのに対して、年収900万円以上の世帯はわずか16.1%しかいません。(2018年度厚生労働省実施「国民生活基礎調査」)
裕福な家庭出身の比率が圧倒的に高い東大生
また、全国にわずか3%ほどしか存在しない年収1500万円以上の世帯出身者が東大には3倍以上も存在しています。 この異常さがわかっていただけるでしょうか。東大という非常に狭いフィールドには、全国まわってかき集めたとしても2割にも満たないような上流階級の子供たちが集中しているのです。
幼少期から「重課金」されてきた東大生
では、そこに通う学生たちの意識はどうでしょうか。彼らは意外にも自分たちが恵まれた環境で育てられたとはまったく思っていないようなのです。より正確には「自分たちの家庭は”普通”の環境だった」と、全員が口をそろえて答えます。しかし、実際のところはそうではありません。彼らの経験、暮らしについて聞いていくと、見栄えのいいエピソードばかりが溢れ出てきます。
たとえば、先日Twitter上で、東大から海外の有名大学に進学したということでバズっている方がいらっしゃいました。その方がいうには、「自分は中流家庭の出身」だそうなのですが、話をよくよく聞いてみると「幼少期の頃に外国へ留学させてもらった」というのです。
当然ですが、海外留学には非常にお金がかかります。渡航費、生活費、学費に緊急時の医療費なども考えれば、数百万円は優にかかることでしょう。そんなお金を捻出できるような家庭が「中流階級」といえるのでしょうか。
この例はかなり特殊なものでしたが、「小学生から高校までずっと大手学習塾に通っていた」という人は当たり前のように存在します。
一般的な大手学習塾は、年間で100万円近い費用がかかります。たとえば、河合塾や駿台予備校などの大学受験コースは、年間で70万〜80万円ほどの授業料がかかります。もちろん夏期講習費用などを加算すれば、当然もっと増えていきます。100万円を超えることも珍しくはありません。
加入するコースによって費用は変わってきますが、これを小学校高学年から高校3年まで続けると全体で1000万円近い出費となります。念のため断りますが、これは中学校や高校の学費とは別です。学費とは別の教育費としてこれだけのお金がかかります。
あくまで自分の家庭は「普通」だと認識
また、東大へ実家から通う学生の話を聞くと、実家は広尾や武蔵小杉、白金台などのいわゆる東京や神奈川の一等地エリアの地名ばかり。タワーマンションの高層階に住んでいるという人も多くいました。
一人暮らしの学生はどうかと言われれば、相場にして家賃10万円以上だろうという家に住んでいる場合が多かったように感じます。赤坂某所にある守衛付きマンションの一室を借り切って過ごしているという学生さえいました。
一度、同級生に向かって「君はこんないいところに一人で住んでいるのか」と聞いたことがあるのですが、彼から返ってきた答えは「親が金はいくらでも出すから、住みやすいところに住めと言ってくれた」というものでした。
『キテレツ大百科』の「逆さにすると無限に金が出てくるサイフ」を連想した自分がいました。誰もがみな金持ちであるというわけではないでしょうが、私の周りにはそういった人が多かったように思いました。しかし、そんな彼らに「へぇ、すごいね!」と声をかけると、決まって返ってきた文句があります。 「いやいや、うちなんて全然。普通だよ!」 「普通」とはなんでしょう?
全国的な世帯年収の「普通」をいうのなら、彼らの実家の年収は、むしろ「異常」に当たる数字です。
実家の資産次第で教育に格差が生まれる「階級制度」
私が東大に入学して、一番初めに心を折られたことは、英語の先生に心ないダメ出しをされたことでも、難解な文献を漁ることでもなく、東大生の多くが「自分の実家は普通である」と心の底から信じ込んでいることでした。
おそらく彼らは本心でそう思っているのです。彼らはその水準の暮らしを幼少期から続けてきており、また、ある程度上流階級にいるような人々との交流を通して育ってきたからこそ、「自分たち以下の暮らし」がまったく想像できないのではないかと思います。 昭和、平成、令和と時代は変わりますが、未だに日本の受験界は生家の財産が物をいう実質的な階級制度が残っています。
この現状を一刻も早く断ち切らなければ、「金持ちはいい教育を受けさせられるのでエリートになり、また金持ちになる。貧乏人はいい教育を受けさせることができず、落ちこぼれ、また貧乏になる」という状況が固定化されかねません。
あまりにも馬鹿げた話です。ですから、今を生きる私たちが行うべきは「エリートを伸ばすための高価な英才教育」とは異なる教育を求めることです。大切なのは「いかにお金をかけずに効率よく学ぶか」といってもいいでしょう。そのためには無駄をそぎ落とし、「いかに節約するのか」ということが大変重要になります。
世帯年収300万円台の家庭で育った私は東大ではかなり異色な存在です。そんな私が試行錯誤のなかで見出した「お金を使わず効率よく学ぶ方法」を発信することで、硬直した高等教育の現状を少しでも変えていければと考えています。 布施川天馬
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』が発売中
1 2 3 4
児童のいる世帯の世帯年収は、701.2万円(2018年度厚生労働省実施「国民生活基礎調査」) 。https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/03.pdf
ちなみに、京大生の世帯収入(データは数年前)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/public/issue/hakusyo/documents/hakusyo2015.pdfによると、三分の一は900万円超。
900万円や950万円は、フルタイムの共働きならば、どうにかこうにか超えられる金額。
医学部のある大学ならば、医者の子弟がそれなりにいる。勤務医の俸給は、一千万台後半から。
比較対象として、医学部ない大学、例えば一橋大と比較すべき
それから、大手予備校・進学塾ならば、成績優秀者の学費を減免していたかと。
あと、本郷近辺は、ワンルームマンション建設規制があるため、下宿に手ごろな安い物件に乏しい(学士会会報のバックナンバーを参照)。