緊急事態宣言解除1カ月、東京都の感染高止まり 全国の過半数
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言の全面解除から25日で1カ月がたち、この間の東京都の感染者数は788人に上り、約1500人だった全国合計の過半数を占める。24日に解除後最多となる55人、25日にも48人で高止まり状態が続く。「夜の街」関連以外に職場内のクラスター(感染者集団)という新たな問題も発覚。隣接する埼玉県も増加傾向がみられ、通勤などに伴う感染の広がりの恐れがあり、警戒感が高まっている。
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都内の25日の感染者48人のうち7人は集団検査を行ったホストクラブの従業員。24日にも別の2店舗で12人の感染者が出た。新宿エリアでは今月に入り、この3店舗を含む8店舗で集団検査が実施され、計80人の感染者が確認された。
夜の街関連では感染経路不明の中にもホストクラブやキャバクラの従業員らが散見。ホストクラブが協力的な一方、キャバクラでは集団検査が進んでいない。「夜の街の女性たちは昼の仕事を兼務していることがあり、夜の街を飛び越え、感染が広がっていないかという不安はぬぐえない」。都関係者はこう指摘する。
クラスターが発生した職場では計16人の感染を確認。他県で判明した年齢不明の2人を除く14人が20代だった。同じフロアで事務仕事をしているが、複数で飲み会を開くなどしており、職場と夜の街双方が感染経路とみられる。他にも20~30代の感染者には、会社の同僚や感染者と会食したケースが目立つ。
感染者が再び増加傾向にあるものの、「重症者数は横ばい。急激に市中感染が広がっているともいえない」と都の担当者。小池百合子知事も「専門家から第2波という状況ではないとの見解をもらっている」と冷静に受け止める。
一方、11日の「東京アラート」解除後に新規感染者の増加に拍車がかかっているのは気がかりといえる。解除前の2週間(5月29日~今月11日)が252人だったのに対し、解除後の2週間(12~25日)は500人と倍増。7日間平均の感染経路不明率も22日以降、45%以上が続いている。
東京医科大の濱田篤郎教授(渡航医学)は「積極的な検査の結果とはいえ、この2日間の感染者数は多い。宣言解除後のアラートである程度自粛されたが、その後の気の緩みが数字に反映されており、特に経路不明のケースには警戒が必要だ」と話している。