(「河北新報」平成23年11月13日(日)付け記事より引用)
被災した母親の手記やブログ一冊に
震災を自閉症の子どもと家族がどう乗り越えたか。仙台、石巻両市で被災した母親の手記やブログをまとめた本「大震災 自閉っ子家族のサバイバル」 (ぶどう社)が反響を呼んでいる。7月の出版後2ヵ月で2000部が売れ、版を重ねる。「自閉っ子」の生きる力、家族の絆、メールでの支え合いなど、感動と多くの学びを伝える。
停電、避難支え合う ママ友メール力に
本は仙台市青葉区の高橋みかわさん(48)を編者に、自身と、自閉症児の「ママ友」である石巻市の浅野雅子さん、及川恵美さん、三浦由里香さんが被災後1ヵ月の体験をつづった。「ライフラインのとまった街で」「ブログとメールでつながりあった」「津波に襲われた街で」「地域の避難所で」の4章から成る。
高橋さんはマンション住まい。3月11日の地震の後、重い自閉症があり作業所に通う長男きらくん=愛称、(21)=ら家族と自宅にとどまった。
電気や水が止まり、食事も限られた状況。自閉症の人は環境の変化が苦手といわれるが、きらくんはパニックもなく、刺激を避けるように、よく眠っていた。
石巻の3人は、津波による浸水で自宅が被災。市内の実家や地元の中学校に家族と逃れ、避難生活を余儀なくされた。
浅野さんの長男けいくん=同、小学6年の支援学級=は布団の中でじっと過ごし、及川さんの長男なおくん=同、同=も穏やかで、周囲のがれきの景色には反応を示さなかった。
三浦さんの長女エリさん=同、高校2年の支援学級=は避難所生活で時にストレスが高じたが、好きな衣類で安心した。
「それぞれの行動が、非常事態での自己調整、適応力。つらかった毎日で、彼ら本来の『生きる力』を発揮したのだと思う」と高橋さんは言う。
どの家族も一つに寄り添って支え、きょうだいが自分のことより先に手助けをし、避難所で一緒だった近隣の人々も笑顔で接した。
「そんな日頃の絆もサバイバルの条件でした。自閉っ子自身が生んだ絆でもあります」
孤立しかねない母親たちを応援したのも、メールの絆だった。高橋さんは電話の復旧とともに3月12日の夜、無事を知らせる携帯メールを「ママ友」らに一斉送信した。
たくさんの返信があったが、「みんな頑張りすぎて、深刻な人もいた」と高橋さん。「燃え尽きないよう、『肩の力を抜いて』『1人じゃないよ』と伝えなくては」と、配信メール「みかわ屋通信」を始めたのが16日。
「愚痴、泣き言大歓迎。チマチマ、ゆるゆるいこう」と40日間、約50人に送り、それに日々の悩みや奮闘を書いて返してくれたのが石巻の浅野さんら。高橋さんはブログ「みかわの徒然(つれづれ)日記」でも紹介し,「記録として残そう」と出版話にもつながった。
本は、次の震災が懸念される東海地方や東京で反響を呼び、ネットや会報誌で広まった。「防災と支援の備えの視点からも読め、ぜひ本を活用して」と高橋さん。20日午前10時から、東北文化学園大発達支援教室講演「ひろぱ」で、高橋さんと三浦さんが報告する。
本は160ページ定価1600円。
被災した母親の手記やブログ一冊に
震災を自閉症の子どもと家族がどう乗り越えたか。仙台、石巻両市で被災した母親の手記やブログをまとめた本「大震災 自閉っ子家族のサバイバル」 (ぶどう社)が反響を呼んでいる。7月の出版後2ヵ月で2000部が売れ、版を重ねる。「自閉っ子」の生きる力、家族の絆、メールでの支え合いなど、感動と多くの学びを伝える。
停電、避難支え合う ママ友メール力に
本は仙台市青葉区の高橋みかわさん(48)を編者に、自身と、自閉症児の「ママ友」である石巻市の浅野雅子さん、及川恵美さん、三浦由里香さんが被災後1ヵ月の体験をつづった。「ライフラインのとまった街で」「ブログとメールでつながりあった」「津波に襲われた街で」「地域の避難所で」の4章から成る。
高橋さんはマンション住まい。3月11日の地震の後、重い自閉症があり作業所に通う長男きらくん=愛称、(21)=ら家族と自宅にとどまった。
電気や水が止まり、食事も限られた状況。自閉症の人は環境の変化が苦手といわれるが、きらくんはパニックもなく、刺激を避けるように、よく眠っていた。
石巻の3人は、津波による浸水で自宅が被災。市内の実家や地元の中学校に家族と逃れ、避難生活を余儀なくされた。
浅野さんの長男けいくん=同、小学6年の支援学級=は布団の中でじっと過ごし、及川さんの長男なおくん=同、同=も穏やかで、周囲のがれきの景色には反応を示さなかった。
三浦さんの長女エリさん=同、高校2年の支援学級=は避難所生活で時にストレスが高じたが、好きな衣類で安心した。
「それぞれの行動が、非常事態での自己調整、適応力。つらかった毎日で、彼ら本来の『生きる力』を発揮したのだと思う」と高橋さんは言う。
どの家族も一つに寄り添って支え、きょうだいが自分のことより先に手助けをし、避難所で一緒だった近隣の人々も笑顔で接した。
「そんな日頃の絆もサバイバルの条件でした。自閉っ子自身が生んだ絆でもあります」
孤立しかねない母親たちを応援したのも、メールの絆だった。高橋さんは電話の復旧とともに3月12日の夜、無事を知らせる携帯メールを「ママ友」らに一斉送信した。
たくさんの返信があったが、「みんな頑張りすぎて、深刻な人もいた」と高橋さん。「燃え尽きないよう、『肩の力を抜いて』『1人じゃないよ』と伝えなくては」と、配信メール「みかわ屋通信」を始めたのが16日。
「愚痴、泣き言大歓迎。チマチマ、ゆるゆるいこう」と40日間、約50人に送り、それに日々の悩みや奮闘を書いて返してくれたのが石巻の浅野さんら。高橋さんはブログ「みかわの徒然(つれづれ)日記」でも紹介し,「記録として残そう」と出版話にもつながった。
本は、次の震災が懸念される東海地方や東京で反響を呼び、ネットや会報誌で広まった。「防災と支援の備えの視点からも読め、ぜひ本を活用して」と高橋さん。20日午前10時から、東北文化学園大発達支援教室講演「ひろぱ」で、高橋さんと三浦さんが報告する。
本は160ページ定価1600円。