(「河北新報」令和6年12月1日付け記事より引用)
県が障害者雇用のモデル地区とする亘理町で構築する「わたり・みやぎ障害者雇用推進企業ネットワーク」が成果を挙げつつある。昨年6月の発足以降、勉強会などの取り組みが実を結び、参加企業平均の障害者雇用率が2・06%から2・75%にアップした。県は近く、利府町でも同様のネットワークを設ける。
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亘理町の社会福祉法人ユニケアは、昨年12月にあったネットワークの合同面接会を通じ、2人目となる視覚障害者の職員を採用した。あん摩マッサージ指圧師の資格を生かし、高齢者施設で働く。
障害者雇用率は4・94%となり、従業員40人以上の企業に達成義務がある法定雇用率2・5%をクリア。佐藤真紀施設長(39)は「面接会や支援学校の情報が入るのは良い」とネットワークの効果を語る。
ネットワークには現在、町内の対象18社中、15社が参加する。うち9社が法定雇用率を達成済みで、15社の平均雇用率は2・75%(6月時点)。発足当時は参加12社の平均雇用率が2・06%(2022年6月時点)で、当時の法定率2・3%にも届いていなかった。
県は昨年8月の採用担当者らの勉強会を皮切りに、合同面接会や県立支援学校岩沼高等学園(岩沼市)の見学会などを相次いで開催。参加企業が障害者と接する機会を増やしながら、新規採用を促してきた。
亘理町の食品製造「馬上かまぼこ店」は現在、障害者を雇っていない。馬上昌和社長(55)には数年前、知人の紹介で精神障害者を採用したが、受け入れ態勢が不十分で退職させてしまった苦い経験がある。
馬上社長は「障害者を採用するための土台づくりが必要」と強調。県の助言を受けながら、かまぼこ製造に使うヘラや金枠の洗浄など障害者に担ってもらう仕事の切り出しを進める。
ユニケアも5年前に1人目の視覚障害者を採用した当時は不安があったという。佐々木誠主任(48)は「障害者と働いた経験がなかったので非常に構えたが、軌道に乗ると『いてくれて良かった』という気持ちが大きくなる」と語る。
県雇用対策課は「同じ町内の企業の取り組みが見えることもネットワークの効果」と指摘。今後、第2弾の利府町のネットワークも加わることで、さらに雇用率アップにつなげていく。