泉区生活支援ネットワーク

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揺れる障害児放課後ケア(「河北新報」から)

2018年05月26日 | 母親支援
(「河北新報」平成30年5月26日(土)付け記事より引用)
「報酬改定」で多くの事業所赤字」
 障害のある子どもが放課後などを過ごす放課後等ディサービス事業所の現場が、4月実施の国の障害福祉サービス報酬改定(=?=)によって揺れている。改訂前の報酬単位は障害の程度と関係なく一律だったが、障害の重い利用者が多いほど高くなる仕組みに変わり、多くの事業所が本年度減収、赤字となる見通しになったからだ。障害の程度を判定する方法を疑問視する声も上がる。関係者は「人件費が削減され、支援の質の低下につながる」と危機感を強める。(生活文化部・越中谷郁子)

 仙台市内の74事業所が加盟する「放課後ケアネットワーク仙台(放ケネ)」は4月下旬、緊急の全体会議を開いた。「減収を補う解決策が分からない。この先やっていけるか不安だ」。

 「懸命に支援しているからこそ軽度の子が多いのに、収入を削られるのはおかしい」。参加者から切実な声が相次いだ。

程度判定に疑問の声

 放ケネが2017年度の平均的な事業収支を基に本年度の収支をシミュレーションした結果、区分2の事業所(1日平均利用者8名・年260日開所・児童指導員3人以上常時配置)の場合、事業収入は約2125万円で前年度比250万円減となり、赤字に陥る。区分―の場合でも収入が約150万円減る。

 放ケネの会員アンケートによると、8割の事業所が区分2に該当するという。熊谷秀典代表は「非常に厳しい。元々余裕がない状態で運営する事業所がほとんど。続けるには支出の7割を占める人件費を削らざるを得なくなるのではないか」と危惧する。

 全体会議では、障害の程度を判定する方法や行政の対応に不満の声も上がった。ある事業所の職員は「判定は家庭での様子で決まる。事業所で全然違う姿を見せる子もおり、判定結果とは隔たりがある」と話す。別の関係者は「事業所や学校での様子も合わせて総合的に評価しないと、子どものためにならない」と強調した。

 保護者の中には、判定を受けた理由や内容を理解していない人も多く、事業所に問い合わせが来るという。「なぜこの判定になったのかと聞かれても、こちらは分からない。行政がきちんと説明すべきだ」。対応に追われる事業所の職員はこう話した。

 熊谷代表は「支援の質が落ちるのは本末転倒。行政も事業所も、誰のため、何のための事業所なのか、もう一度原点に立ち返って、それぞれの役割を果たしていく必要がある」と語った。

 仙台市によると、市内に放課後等デイサービス事業所は102ヵ所あり、約1700人が受給者証を持っている。

放ケネ 仙台市と協議窮状訴え

 「放課後ケアネットワーク仙台」は、仙台市と協議会を開き、4月の報酬改定に伴う事業所の窮状を訴えるとともに、今後の対策について話し合った。

 協議項目は (1)報酬改定の内容と利用者の判定内容について保護者に説明する(2)判定方法と項目を見直しする など。市によると、4月上旬までに、利用者の障
害の程度を点数化し、13点以上を「指標該当」、未満を「指標非該当」と記載した新たな受給者証を、利用者に簡単なちらしとともに送付した。

 熊谷秀典代表は「『該当』『非該当』の意味を理解していない保護者が多い。行政が統一した説明をきちんとしてほしい」と要望。仙台市の伊藤秀晴障害者支援課長は「詳しく説明した文書の配布を検討したい」と述べた。

 参加した会員の1人は 「運営が厳しくなり、事業停止する所も出てくるだろう。子どもにとって大事な学童期の支援が不足することになる」と訴えた。

 伊藤課長は「利用者のサービスの低下は避けなければならない。今後も協議を重ね、市ができることはやっていきたい」と述べた。

※?・・・報酬改定 
 自治体の判定員が利用者の障害の程度について、大声を出す、多動など15項目の観点で保護者に聞き取り点数化。13点以上の障害が重い子どもが半数を超える事業所は区分1、超えない場合は区分2に分類、報酬単位を変えた。
 改定前と比べると、平日一人当たりの実質の報酬単位は区分1は4%、区分2は10%減る。
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