泉区生活支援ネットワーク

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自販機農福連携の拠点に 天童・王将果樹園、コーナー設置

2022年04月08日 | 施設情報
(「河北新報」令和4年4月8日(金)付け記事より引用)
障害者が生産リンゴや加工品販売
就労支援、収入アップ図る


 「ノウフクじはんき」。天童市の観光果樹園「王将果樹園」に、見慣れない名称の自動販売機コーナーがある。果樹園運営会社「やまがたさくらんぼファーム」(天童市)が、障害者の就農を推進する「農福連携」の拠点として設置した。社長の矢萩美智さん(46)は、障害者が生産に携わった農産物や商品の販路を広げ、就労支援と労働環境の改善につなげたい考えだ。

 王将果樹園は宮城、山形両県を結ぶ国道48号沿いにあり、園内の10平方メートルほどの小屋が自販機コーナー。ロッカー型3台、常温と冷蔵に対応できる最新型1台が並ぶ。障害者が育てたリンゴなどの農産物やジュース、就労継続支援の事業所が作った菓子など15品ほどを取りそろえる。

 矢萩さんは「人とのコミュニケーションが苦手な方も多く、無人で常時販売できる自販機が必要と考えた。農福連携の取り組みを広く知ってもらう機会にもなればいい」と設置の意図を説明する。

 同社は20年ほど前から障害者を雇用してきた。現在は全社員とパート計約20人のうち3人が従事し、果樹園の草刈りや収穫、荷造りなどを担う。収穫期には、他の障害者の農作業体験も積極的に受け入れる。

 「農業は繰り返しの作業が多く、根気が大切。対応しやすい職業だ」と強調する矢萩さん。農林水産省から農福連携技術支援者の認定を受けて指導に当たり、そう実感している。障害者が生産工程に関わった食品の農林規格「ノウフクJAS」も、山形県内で2番目に取得した。

 一方、就労継続支援B型事業所で利用者に支払われる月額工賃は、山形県が1万1691円(2020年度)で全国最下位になるなど取り巻く環境は厳しい。

 矢萩さんは「障害者支援の機運が広がれば、購入する人も増える。売り上げを伸ばし、収入を少しでも増やしたい」と意気込む。 

 まだ雪の残る3月の王将果樹園。社員が刈り取った枝を拾い、芽吹きの季節に備えていた。国連が採択した持続可能な開発目標(SDGS)の理念「誰一人取り残さない」の実現を、天童の里山から目指す。
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