昔、新人がCMOSで動いていた回路をTTLに替えたら動かないと言っていた。
見たらFFの空き出力をGNDにつないでいた。
CMOSはバッファ出力だから内部動作に影響ないけど、TTLはダメだ!
空きピンは処理しろと言ったけど、入力だけだ!
と言うツイートしたら、こんなリプが来ました。

はて?LS以降バッファされたなんて聞いたことがありません。
ちょっと調べてみましょう。
そう言う時役に立つのが規格表ですね。

FF(フリップフロップ)と言えば D-FFとかJK-FFですが、CMOSのJK-FF 4027を見てみましょう。

しっかりバッファ(赤矢印)がありますね。

ではTTLのJK-FF 7473を見てみましょう。

バッファは有りません。もちろんLS73にも有りません。

当時、どんな回路を作ったのか、もう記憶に無いのですが、FFを使った回路として実際に3進カウンタを作ってみましょう。
と言うのもJK-FFを使うと余分なゲート回路無しで3進カウンタが作れるからです。

詳細はMAZE12を見てください。
こちらが4027の3進カウンタです。

そして74LS73を使った3進カウンタです。

クロック発振回路は555を使いました。

RA,RBを100KΩ、Cを4.7μFにすると約1Hzのパルスになります。
これも詳しくはMAZE付録を見てください。
そして作ったのがこれです。

では、動かしてみましょう。
ちゃんと動きました。
CMOSとTTLでクロックのアクティブエッジが違うので注意してください。
では、前段のFFの空き出力のQバーをGNDにつないでみましょう。
CMOSの方は動作に支障がありませんが(いやいや、出力から電流が…)、LS-TTLの方は前段は停止してしまって後段しか動いていません。
D-FFとNORゲートでも3進カウンタが作れます。
こちらも前段のFFの空き出力のQバーをGNDにつないでみましょう。
やはりCMOSは動きますがLS-TTLの方は停止してしまいます。
と言うことで、LS-TTLに出力バッファは有りません。もちろんそれ以外のTTLにもバッファなんてありません。
そもそも、CMOSは高速化するために微細化して電流が小さくなって出力ピンが駆動できなくなったので、バッファを付けた訳で、もともと駆動能力のあるバイポーラにバッファなんて必要なかった訳です。
バッファなんて付けたら遅くなるだけですし。
実は、この話、最初から分かっていました。
昔の話と言ってもCMOSが一般に出回り出した1980年代前半の話です。この頃には既にTTLはLS-TTLに置き換わっていました。
動かないと言っていたTTLはLS-TTLだったのですから。
結論:確証のないツイートは控えた方が良いと言う話でした。w