ださいたま 埼玉 彩の国  エッセイ 

埼玉県について新聞、本、雑誌、インターネット、TVで得た情報に基づきできるだけ現場を歩いて書くエッセー風百科事典

関東一の提燈祭り 久喜市

2012年07月20日 15時24分28秒 | 祭・催し



「関東一」の触れ込みに魅かれて、12年7月18日に、「天王様」と呼ばれる久喜市の提燈祭りを、昼と夜の二度も見物に出かけた。

「天王様」とは、旧久喜町の鎮守「八雲神社」の祭礼のことである。

昼間の山車は、日本の神話などをテーマにした人物を飾り付けた「人形山車」。それが夜には四面に約五百個の提燈をつけた「提燈山車」に“大変身”する。

人形から提灯への早変わりは、富山県高岡市の「伏木曳山祭」でも行われているそうだが、例は少ないという。

十段の飾り付けをした、高さ約7.5m、重さ約4tの「提燈山車」8基が、それぞれの町内を引き回した後、JR久喜駅の西口広場に集う姿が「関東一」なのだという。

「人形山車」の人形は、「素戔嗚尊(すさのおのみこと)」「日本武尊(やまとたけるのみこと)」「神武天皇」「神功(じんぐう)皇后」「武内宿禰(たけのうちのすくね)」と日本神話の主人公に、なぜか織田信長が混じっているのが面白い。

山車の中では、女性や子どもたちもお囃子をたたいている。

昼間は、「久喜まちの駅」前の「八雲神社御仮屋」に集結して、町内を巡行する。この後、人形を取りはずし、2時間ほどかけて山車の四面に400個以上の提燈を飾りつけた、提燈山車に早変わりする。

夜8時半ごろから駅前広場に集結する前には、広場の周囲や広場を取り囲む歩行者デッキには黒山の人だかり。おまわりさんも整理に声を枯らしている。

提燈山車が8基終結するとなかなか壮観。ぐるぐると回転したり、山車同士がぶつかり合うと、歓声が上がる。

それぞれの提燈には、「本一」「本二」「本三」などと山車が所属する町の名前が書いてあるだけで、コマーシャル色がないのに感心する。

起源は、1783(天明3)年、浅間山の大噴火で、桑を始めとする夏作物が全滅、生活苦や社会不安を取り除くため、豊作を祈願したのが始まりと伝えられる。

後で聞いて驚いたのは、この提燈の明かりは電気ではなく、ろうそくだという。走ったり、回転したりするのに、提燈に引火して火が出ないのが不思議なくらいだ。

何か特別な工夫でもあるのだろうかと、聞いてみたら、ろうそくの受けがネジ式になっていて、揺すっても倒れないようになっているのだという。

久喜市は、栗橋や菖蒲、鷲宮と合併したので、人口は15万人になった。18日は13万人の人出があったという。