「田んぼアート」が、全国ではやっているらしい。実物を見たことがないので、12年7月21日(土)、いつもの歩き仲間と一緒に「日本一」を自認する行田のを見に出かけた。
日本一とは、その面積が2.8haと日本最大だからで、ギネスのワールドレコード認定を狙っている。すでに今年で5年目になる。
それでは「田んぼアート」とは何か。古代稲は、普通の米と茎の葉の色が異なるのに着目、組み合せて植えて、田んぼをキャンバスにして巨大な「絵を描く」ものだ。田植え後2週間くらいから収穫まで約150日間楽しめる。
行田には格好な舞台がある。
「古代蓮の里」に隣接する水田。古代蓮会館には、好都合なことに高さ50mの展望台がついている。キャンバスも上から眺める観覧所もあるのだから、面白い絵のテーマが欲しかった。
折も折り、近くの忍(おし)城を巡って展開された戦国時代末期の戦いを描いた「のぼうの城」の小説が売れに売れ、同名の映画が製作された。
一昨年からこれをテーマに採用した。ところが、水攻めの場面があるので、津波による「東北大震災」の被災者に配慮して公開が一年、今年11月2日まで延期された。
一昔前、「足袋のまち」として全国に知られた行田。その後ひとつパッとせず、起死回生をかけて、この映画製作にも全面協力した。
このような経緯から、今年のテーマはもちろん「のぼうの城」。絵の下に「H24.11.2 公開 GYODA」と黒い古代稲で大書した。
利根川に近いこの界隈は、一面平らで、高いところがなく、この展望台では360度の展望が広がる。
天気が良ければ、遠く「トーキョースカイツリー」も望める。その真下の東側に広がるのが、この田んぼアートである。
図柄は、本のブックカバーに使われた、忍城を預かっていた“のぼう様”こと成田長親と水攻めをかけた豊臣側の石田三成を対峙させたもの。
カット写真は、ガラスの反射でうまく撮れなかったので、展望台の壁の写真で代用させてもらった。
上から見て、どうして黒や黄色の稲ができるのだろうと、不思議に思った。蓮会館の前に古代稲の同色の現物が展示されているので、なるほどと感心した。県の農林公社種苗センター(鴻巣市)が育苗した。
緑や白の稲は、県の奨励品種「彩のかがやき」である。
田植えは、6月9、10の両日、田植えボランティアや一般参加者約660人が実施した。
13年は「古代蓮の精」をテーマにした作品で、縦170m、横165m、敷地面積2・89haの「最大の田んぼモザイク画」としてギネス世界記録に申請したが、惜しくも認定されなかった。
田んぼアートは1993年、青森県田舎館村で始まった。人気を呼び今では全国で100か所くらいで行われているという。
「古代蓮の里」は、広大な公園で、42種類12万株があり、圧倒的に薄いピンクの「行田蓮」が多い。
「行田蓮」は1971年、近くの市の焼却場建設工事の最中、偶然掘り起こされ、2年後に自然発芽・開花した約1300~3000年前の古墳時代の古代蓮だ。
この市には、「埼玉」の名の起こりになった東日本最大の古墳群(大小9基)があり、「さきたま古墳公園」として整備されている。
10万石の忍城には、天守閣こそなかったものの、「忍城御三階櫓(やぐら)」が再建され、郷土博物館の展示室の一部になっている。
この3か所をめぐるコースは、県北の貴重な観光資源になろうとしている。