中央公論が14年6月号に掲載した「消滅する市町村523全リスト」は、市町村名が列挙されているので、人口急減に直面している全国の市町村に衝撃を与えた。
企業や労働組合の幹部らでつくる有識者の研究機関「日本創生会議」(座長・増田寛也元総務相)の「人口減少問題検討分科会」が、40年までに全国の市町村の約半数49.8%に当たる896市町村で、20~39歳の出産適齢の若年女性が半分以上減るとの試算に基づき、「消滅する可能性がある市町村」523の名前を公表したからである。
本県関係では、63ある市町村の中で秩父地方などの21、つまり3分の1が「消滅する可能性がある市町村」に該当し、うち人口が1万人を切る9町村は「消滅の可能性が高い」とされた。
若年女性が半分以上減る市町村は当然、総人口も減るわけで、社会保障の維持が困難になり、雇用も確保しづらくなるので、消滅の可能性が出てくると予測されている。
県内では、「消滅する可能性がある」とされる21市町村の中に、市でも東部の幸手、北部の行田、中部の北本、東南部の三郷、比企地方の飯能、秩父地方の秩父の6市が含まれている。
「消滅する可能性が高い」とされる1万人を切る9町村には、秩父郡の横瀬、長瀞、皆野、小鹿野町、東秩父村、比企郡の鳩山、ときがわ町、児玉郡の美里町、入間郡の越生町が入っている。
上田清司知事は「この予測は、地方から大都市への人口流出が現状のまま続くと仮定している。人口流出は落ち着きつつあり、正しいかどうかは疑問」と語っており、県計画調整課が自治体間の人口移動のデータを精査して検証する。
人口の増減には、移動による「社会増減」と出生と死亡の差の「自然増減」がある。この予測は「社会増減」の人口流出に伴う若年女性の人口減にスポットライトを当てたものだった。
県では、社会減とともに自然減も始まっている。
総務省が発表した住民基本台帳に基づく人口動態調査(13年3月末)によると、自然減は2356人だった。出生者5万6881人に対し、死亡者は5万9237人である。
一人の女性が何人の子供を産むかという合計特殊出生率は、全国平均を下回る状態が続いている。
他県からの転入者が転出者を差し引いた社会増が9076人あったので、かろうじて人口増を支えた。
この調査では外国人人口も初めて対象になった。11万6081人で、加須市の人口とほぼ同じ数だというから驚きである。
市町村別では、川口市が2万1682人で最も多く、さいたま、川越市が続いた。今後転入者という場合、日本人と外国人を分けて考える必要がありそうだ。
消滅の危機をすでに肌で感じている市町村は、存続のために転入者を呼び込み、現住民を留めるためのあの手この手を考え出そうとしている。
県がまとめたその対策によると、行田市では、若い世帯が市外から転入して1年以内に住宅を取得すれば最高60万円、施工業者が市内なら特別割引、エアコンの無償設置などの特典もあり、最大で100万円の補助になることもある。
川島町では、町内で住宅を購入した40歳未満の人は固定資産税を減免、ときがわまち町では、若者に売買や賃貸可能な空き家を紹介する「空き家バンク事業」を始めているという。(産経)。
市町村が存続をかけて頭をしぼる時代が到来したのである。
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