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ジオパーク 秩父

2011年09月15日 17時32分57秒 | 名所・観光

ジオパーク 秩父

最近、秩父の長瀞町が脚光を浴びている。11年9月5日、長瀞を中心とする秩父市、小鹿野、皆野、横瀬の一市四町にまたがる秩父地域が日本のジオパークの一つに認定された。

「ジオ」の語源は「地球、大地」を意味する。それに公園の「パーク」をつけたのが、「ジオパーク」。世界遺産の地質版といえる。英語では地質学は、GEOLOGY(ジオロジー)だ。

日本ジオパーク委員会では「大地の公園」という訳語を使っている。素晴らしい名前ではないか。

秩父地域は秩父山地の誕生から約3億年の歴史を秘めているという。いま地質学に興味が出てきたのは、やはり歳のせいか。

長瀞には何度も来た。学生時代、「瀞」という語の意味が初めて分かったのも、ここに来たおかげだ。「さんずい」は、水のことだから、それに「静」がついて、「水が静かに流れるところ」、もっと言えば、「淀むところ」だ。流れが急な「瀬」の反対語だ。

昔は、名物の藤の花が淵(瀞)の水面に映るので、「藤谷淵」と呼ばれていた。「長瀞」と呼ばれるようになったのは、1911(明治44)年に宝登山神社の宮司が、「長瀞は天下の景勝地」という碑を長瀞駅前に建ててからだという。

長瀞の近くに「玉淀」(玉のような淀み)という風流の極みというべき地名もある。吟行には最適の場所だ。同じ国の名勝・天然記念物の熊野の「瀞(どろ)八丁」を訪ねても、長瀞を知っているのでそれほど驚かなかった。

日本ジオパーク委員会が認定した日本ジオパークはこれまで、南アルプス、霧島、恐竜渓谷ふくい勝山、伊豆大島など14か所。今回、秩父地域を含め6候補がすべて認定されたので、これで20か所になる。

秩父地域は、09年に引き続き「日本ジオパーク」に加盟を申請していた。

これまでの14か所の中で、「世界ジオパーク」に認定されているのは、北海道の「洞爺湖有珠山」、「糸魚川」(新潟県)、「島原半島」、「山陰海岸」の4か所だった。

「世界ジオパーク」は、国連教育・科学・文化機関(UNESCO)が支援する「世界ジオパークネットワーク」(事務局・パリ)が、各国のジオパーク委員会が加盟申請したものを認定する。

9月18日、ノルウェーで開いた会議で、日本の室戸市を含む9か国10地域が新たに認定されたので、全部で34か国87地域になった。

室戸岬を中心とする室戸市は、09年に日本ジオパークに認定され、昨秋、日本委員会が世界ネットワークに加盟を申請していた。

日本委員会は、室戸に続いて隠岐諸島を世界ネットワークに加盟を申請した。

この日本の世界ジオパークに比べて、「秩父地域」は決して引けを取らない。次の目標は、「世界ジオパーク」である。

秩父地域は明治以降、「日本地質学発祥の地」とされ、記念碑もある。地中の奥深くにあったものが身近で見えるので、「地球の窓」という呼び名もある。長瀞の岩畳は、「日本の地質100選」に選ばれている。

長瀞の岩畳は、幅約60m、長さ約500mのわが国有数の岩石段丘。岩畳は地下20~30kmの数千気圧の圧力と200~300度の高温で、約7千万年前に変化した変成岩「結晶片岩」が隆起、露出しているのだそうだ。

「結晶片岩」とは、岩石をつくる鉱物が一定の方向に並び、「片理」と呼ばれる薄く割れやすい性質がある。それに加え、割れ目が格子状に走る「節理」も帯びていたので、畳を敷き詰めたような景観ができたという。

日本一の規模の甌穴(おうけつ)もある。岩のくぼみなどに小石が入って、回転してえぐったもので、直径は上部で1.8m、中、低部で1.4m

深さが4.7m。長瀞オートキャンプ場のすぐ近くの大岩の中腹に位置する。

対岸には絶壁「秩父赤壁(せきへき)」がある。

長瀞に比べアクセスが悪いので。あまり知られていない「小鹿野のようばけ」では、約1500万年前の地層が観察できる。若き宮沢賢治も訪れた。

秩父音頭で有名な秩父盆地は、約1600万年前には「秩父湾」と呼ばれた。この湾に哺乳類の不思議な海獣「パレオパラドキシア」や、巨大ザメ「カルカロドン メガロドン」などがいたという。「チチブクジラ」というのもいたというから面白い。どんな鯨だったのだろうか、想像するだけで楽しい。






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