「地震県」?
海がなく、観光地が少なくても、埼玉県は台風の直撃は少ないし、大地震が起きる確率も東京都より低い安全な県と思い込んでいた。
ところが、政府の地震調査委員会が14年12月19日に公表した14年版「全国地震動予測地図」をよくよく見ると、さいたま市の方が東京都よりその確率が多いことが分かって驚いてしまった。
この予測地図は、「30年以内に震度6弱以上のゆれが起きる確率」を示したもので、東京都が46%なのに対し、さいたま市は51%だった。
都道府県庁所在地の確率の平均値が最も高かったので、その数字が比較されている。この数字は、都庁とさいたま市役所周辺地の確率の比較である。
関東では横浜市が78%、千葉市が73%、水戸市が70%とさいたま市よりはるかに高く、全国では静岡市(66%)、津市(62%)、和歌山市(60%)、徳島市(69%)、高松市(59%)、高知市(70%)、大分市(54%)に次ぐ確率で、全国で11番目、トップ10にあと一つだ。
さいたま市だけではない。県内では、春日部市(77%)、幸手市(72%)、川口市(69%)、越谷市(64%)がさいたま市より高く。全国的にも高率だ(読売新聞調べ)。春日部市の場合、全国最高の横浜市より1ポイント低いだけで、幸手市も全国2位の千葉市よりこれまた1ポイント低いだけだ。
予測とはいえ、全国的に見て埼玉県は「地震県」と呼ばれてもおかしくないほど高い確率である。
この委員会は、05年から予測地図を作成している。東日本大地震がマグニチュード(M)9.0と規模が想定外だったので、相模湾から房総半島に延びる相模トラフ沿いで起きる地震の評価を見直した。
また、首都直下地震で想定される震源の深さを13年版より約10km浅くしたことなどで、関東各地で震度6弱以上の揺れが起こる確率が高まったという。
この結果、さいたま市の確率は、前年より21ポイント増と上昇幅が全国最高を記録したのである。
震度6弱とは、気象庁が定める10段階の揺れの中で3番目に強い。耐震性が低い建物は倒れる危険がある。
震度6強以上の揺れが起きる確率も県内では軒並み上昇した。春日部市(23%)が最高で、幸手市(19%)、川口市(17%)が続いている。
荒川や中川など大きな河川のある自治体の確率が高い。「河川周辺は地盤が比較的軟弱で揺れが増幅しやすい」ためだという。
震度6強の被害想定について、政府の中央防災会議は13年末、首都直下地震が発生した場合、県内では最大約2400~3800人の死者が出て、全壊・消失面積は約9万7千棟に上ると発表している。
県は死傷者・避難者の半減や発生60日以内に電気・ガス・水道の95%以上の復旧という「減災目標」を14年3月に設定した。
問題は、減災に向けた行動計画が大地震の発生に間に合うかどうかである。
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