県産業技術総合センター(川口市)は18年5月15日、さいたま市岩槻区に工場がある「藤倉ゴム工業」(本社・東京都江東区)と共同で、スマートフォンやノートパソコンなどの小型機器に使われるマグネシウム蓄電池の試作品を開発したと発表した。次世代電池と期待される。
充電して繰り返し使えるもので、室温で実用できるマグネシウム蓄電池の試作品は世界で初めて。現在使われているリチウムイオン電池に代替する可能性があるが、電池容量は今のところ同サイズのリチウムイオン電池に比べて大幅に劣っており、商品化にはさらに容量増や小型化が必要で、今後は県内企業を中心に複数のメーカーと共同開発を進める。
リチウム電池は電池容量の拡大が限界に近づいており、原料のリチウムは高価で、水に触れると発火する危険性があるなど安全性でも課題がある。
マグネシウムはリチウムに比べて資源が豊富で、価格もリチウムの25分の1~30分の1程度。水に触れても危険性が低く、リチウム電池よりも2倍以上の容量が見込めるメリットがある。
試作品は「ラミネート型」と「コイン型」の2種類だが、ラミネート型はサイズや形状を自由に変えられるため、眼鏡やスマートウオッチなどのウェアラブル機器への搭載に向いている。コイン型は、補聴器やIOT機器などへの搭載が考えられるという。
今後は県内を中心にメーカー15社に試作品を提供し、マグネシウム蓄電池を使った機器の共同開発を進める。
本年度は試作品を機器に実装して性能を評価、20年度から安全性や性能安定性を確認、22年度から商品化に向けた開発に移行する予定。製品に搭載して使うには、まだ形状や重さの改良が必要だという。
県は先端産業創造プロジェクトの一環としてマグネシウム蓄電池の研究開発を推進してきた。15年度に電極や電解液に関する技術を確立、実験室レベルでは十分な性能を確認、世界で初の実用化にめどをつけた。
電池工業会の統計によると、17年の蓄電池全体の販売額7868億円のうち、リチウムイオン全体の販売額は約4224億円。経済産業省蓄電池戦略プロジェクトの報告によると、世界の小型民生用電池市場規模は20年に1.5兆円に達すると見込まれる。この記事は埼玉、読売新聞による。
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