新古今和歌集の部屋

鴨長明方丈記之抄 世の有にくき事1 立居につけて



らず。立居につけて恐れおのゝく、た

とへば雀の鷹の巣に近づけるがご

とし。もしまづしくして冨る家の隣にを

るものは、朝夕すぼき姿を恥てへつ

らひつゝ、出入妻子僮僕のうらやめるさま

を見るにも冨る家の人の、なひがしろ

なるけしきを聞にも心念〃にうごき

て、ときとしてやすからず。もしせばき地

に居れば近く炎上する時其害を

のかるゝことなし邊地にあれば往

反わつらひおほく、盗賊の難はなれ

 
 
らず。立居につけて恐れおののく、例えば雀の鷹の巣
に近づけるが如し。もし、貧しくして、冨る家の隣に居
る者は、朝夕、すぼき姿を恥て、へつらひつつ、出入。
妻子・僮僕のうらやめる樣を見るにも、冨る家の人の
なひがしろなる気色を聞にも、念々に動きて、時とし
て安からず。もし、せばき地に居れば、近く炎上する時、
其害を逃るる事なし。邊地にあれば、往反わつらひ多く、
盗賊の難、離れ
 

(参考)前田家本
らず、立□につけて、恐れおのゝく、例えば雀の鷹の巣
にくけるか如し。もし貧しくして富める家の隣に居
るものは、朝夕すぼき姿を恥ぢてへつらいつつ出で入る。
妻子、僮僕の羨める様を見るにも家の人を
ないがしろなる気色を聞くにも、念々に動きて、時とし
て安からず。もし、狭き地に居れば、近く炎上ある時、
を逃るヽ事なし。もし辺地にあれば、往反にわづらひ多く、
盗賊の難も甚
 
注:□はかすれにより見えなくなったもの。

(参考) 大福光寺本
ラスタチヰニツケテ ヲソレヲノゝクサマタトヘハスゝメノタカノス
ニチカツケルカ コトシ。若マツシクシテトメル家ノトナリニヲ
ルモノハアサユフスホキスカタヲハチテヘツラヒツゝイテイル。
妻子僮僕ノウラヤメルサマヲミルニモ家ノ人ノ
ナイカシロナルケシキヲキクニモ心念々ニウコキテ時
トシテヤスカラス。若セハキ地ニヲレハチカク炎上アル
ソノヲノカルル事ナシ。若辺地ニアレハ往反ワツラヒヲホク
盗賊ノ難ハナハ

 
寶あればおそれおほく
 荘子曰、尭觀乎華。々
 封人曰嘻聖人。請祝
 聖人使聖人壽。尭曰
 辭。使聖人冨。尭曰辭。
 使聖人多男子。尭曰
 辭。封人曰壽冨多男
 子人之所欲也。汝独
 不欲何邪。尭曰多男
 子則多懼冨則多事
 壽則多辱是三者非
 所養徳也。
白波の恐 ぬす人の異名
 をしらなみといへれば、川
 近きあんにそのすゞろ
 をふくめてかきたり。
 
 
 
風俗博物館 曲水宴 
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