新古今和歌集の部屋

源氏物語と新古今和歌集 桜かざしし 須磨


須磨

すまには、としかへりて日ながくつれ/ヾなるに、うへしわか木のさくらほのかにさきそめて、空のけしきうらゝかなるに、よろづの事おぼしいでられて、うちなき給ふおりおほかり。二月廿日あまり、いにしとし、京をわかれし時、心ぐるしかりし人々の御ありさまなどいと恋しく、南殿のさくらさかりになりぬらん、ひとゝせの花の宴に、院の御けしき、うちのうへのいときよらになまめいて、わがつくれるくをずじ給ひしも、おもひいできこえ給。

いつとなく大宮人のこひしきにさくらかざしゝけふもきにけり


第ニ 春歌下
題しらず          山部赤人
ももしきの大宮人はいとまあれ櫻かざして今日もくらしつ
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