一 輔仁親王 無品也。後三条ノ皇子。母ハ女御基子。
参議基平女。 一首入
一 みよしのゝおほかはのべの古柳かげこそみえね春めきにけり
増抄云。みよし野とは、郡の名なれば、ひろき事
なり。くまののかたまでなり。そのうちにあるはみな
かくいふなり。花の名所とばかりこゝろへぬるは
たがふなり。古柳とは、かれはてゝある枯木也。
かげのみみえぬとは、葉も生ぜず、はるのかげ
はみえねども、何とやらん冬とはちがひて、色
はみゆるとなり。心からかくみゆるよしなり。
或説ニ云ク枯木も春のものとなれば、木こそ
かれたり。かれならがら春の氣をふくむ道
頭注
めきとはめぐむと
いおふ事となり春
の氣めぐむと也。
まぐむとは出生し
成たる義也。これは
柳の芽が出るを
めむぐといふ事
あればそのえん
にていへり。
理なれば、春めくと云なり。春はかれぬ義也。
あまねく万物春の氣をかふむりて、をの
がさま/"\に差別あるなり。されば枯木も
枯木にて春めくべきとなり。
六田付近の吉野川と柳の渡し
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