八雲抄巻第二作法部
一 中殿會
上古者尋常會唯中殿也。自中古為晴儀。二条院花
有寿色。非晴儀仍不入。後冷泉天㐂四年新成桜花。白
川院、應德花契多春、堀川院、永長竹不改色、崇德
院、天承松契 ◯齢近、建保池月久明、以五ヶ度例定之。
尅限出御、平数御座 御直衣 張袴東向母屋御簾本
に立几帳御装束同官奏時但有公卿座
次依天氣頭召 公卿 次公卿自上戸参着
直衣束帯相交
次置管弦具 五位殿上人役之。主上御所作之時頭取
玄象置大臣前。大臣取之置御前建保例。
次御遊畢。撤管弦具 参管弦不参哥人退座。
次置文臺
朝餉御硯筥蓋也 蔵人入柳筥待参、置長押上、一説
には蓋を伏て置。尋常不然。
次置哥
先序者進文䑓下膝行置。以哥方向御所方。次自下
次第置之。右廻退下(大内儀)一揖退下、一説也。普通不然自
簀子参也。俊明は指笏置哥。隆李は侍中殿一揖。嘉
承池上花度、先召切燈䑓後置哥。
次立切燈䑓敷菅圓座
五位役之讀師 講師 座二枚也。本自御座左右有
掌燈。其上立切燈䑓。於講師前或取便宜方掌燈置之。
公卿座掌燈は先例不燃。建保御遊之間依可有便宜、
有沙汰立之。二所如除目。
次人々進哥
上臈両三人又堪能人。又為講音曲人少々。侍臣一両人
進簀子。建保臣中無音曲人以知家 為家召之。
次講師正笏参上
依召参也。殿上四位、五位雖有例普通不然。清輔朝臣
五位也。
次讀師取哥自下重
或有下讀師。座讀師腋重之。下讀師者御氣色あ
らず。私之心寄人也。
次講師讀之 次讀師撒哥
次讀師給御製披置 講畢自御懐中令衣取出給也
次御製講師着
先是講師退下、或臣下講師通用有例。御製講師
は中納言宰相也。通俊説、御製文䑓下に立土高月
一説云々。多は只本文䑓也。
次有公卿禄 有差
臣下哥詠合于御製之時、有別禄云々。但、白河院宗忠
詠合無禄。凡先例未勘之。
次入御 或先入御
仰有女哥事は、中殿時不可然歟。但有例歟。
近代奉行者内々取副我哥加之。哥披講後未講御製重
之。但野行幸之時入柳筥蔵人持参云々。寛治八年月宴女
哥三首自簾中出。書薄様置扇上銀骨畫面 又京極関白七
夕會同自簾中入扇出。右中弁師頼取傳之、置文䑓云々。有
便宜。簾中女房候はん所は、可依此等例歟。康和元年四月
斎院和歌會入扇出書薄様 又蔵人頭は置哥事は侍臣後、重は
随位階。六位不守一臈二臈依官。是先例也。又随臈先
例多。両説也。
※読めない部分は、国文研鵜飼文庫(58コマ以降)を参照した。
※参考 正徹物語
九十五
公宴にて、臣下の哥を皆詠みはつれば、やがて講師は退出する也。また詠じゐるに、其時初めて御製を御懐より取出されて、摂政などに給わるを別の講師参りてする也。
九十八
講師の向座は、主位とて亭主など賞翫の人の居る座也。文臺の上は、主上の御座也。講師の脇には、其外の人々、ひしと居まはる也。