新古今和歌集 巻第十羇旅歌
天王寺に参りけるに難波の浦にとまりてよみ侍りける 肥後
さよふけてあしのすゑこすうらかぜに
あはれうちそふなみのおとかな
旅哥とてよみ侍ける
大納言經信
旅ねしてあかつき方の鹿の音に
いな葉をしなひあき風ぞふく
惠慶法師
わぎもこがたびねの衣うすきほと
よきてふかなむよはのやまかぜ
後冷泉院の御時うへのをのこども
旅の哥よみ侍りけるに 左近中將隆綱
歌:さ夜ふけて葦のすゑ越す浦風にあはれうちそふ波の音かな
読み:さよふけてあしのすえこすうらかぜにあわれうちそうなみのおとかな 隠
作者:ひご平安後期の女流歌人。藤原定成の娘、藤原実宗の妻。白河天皇皇女に仕えた。
歌:旅寝してあかつきがたの鹿のねに稻葉おしなみ秋風ぞ吹く
読み:たびねしてあかつきがたのしかのねにいなばおしなみあきかぜぞふく 隠
作者:源経信みなもとのつねのぶ1016~1097帥大納言、桂大納言、源都督と称された。詩、歌、管弦に優れた。
意味:旅寝した暁方には、鹿の音に混じって稲葉を靡かせて秋風が吹く音が聞こえる
歌:わぎも子が旅寝の衣薄きほどよきて吹かなむ夜半の山かぜ
読み:わぎもこがたびねのころもうすきほどよきてふかなむよわのやまかぜ 隠
作者:えぎょう平安中期の僧えけいとも中古三十六歌仙の一人。播磨講師とも。河原院に出入りしていた。
備考:八代抄
作者:源隆綱みなもとのたかつな1043~1074隆国の子。正三位參議中将。
平成27年8月7日 壱點九貮