新古今和歌集の部屋

雑歌上 氷の道 筆者不明コレクション

新古今和歌集 巻第十六 雑歌上

百首歌奉りしに

土御門内大臣

朝ごとにみぎはの氷ふみわけて君につかふる道ぞかしこき

最勝四天王院障子にあぶくま川かきたる所

家隆朝臣

君が代にあふくま川の埋木も氷のしたに春を待ちけり

元輔が昔すみ侍ける家のかたはらに清

少納言住けるころ雪いみじくふりてへだての

かきもたふれて侍ければ申つかはしける

赤染衞門

跡もなく雪ふる里はあれにけりいづれ昔の垣根なる覧

御なやみをもくならせ給て雪の朝に



読み:あさごとにみぎわのこおりふみわけてきみにつかうるみちぞかしこき 隠

意味:

作者:源通親み毎朝、汀の氷を踏み分けて、君に仕え申し上げる道を通っているが、畏れ多くもったいないことだ

作者:なもとのみちちか1149~1202雅通の子。養女在子を後鳥羽天皇に入内させ、土御門天皇となり、後鳥羽院政の中権力を握る。

備考:本歌 峰の雪汀の氷踏み分けて君にぞ惑ふ道は惑はず(源氏物語 浮舟) 戦々恐々深淵に臨むが如く、薄氷を踏むが如し(詩経 小雅)

定家十体、新古今注、十代抄書


読み:きみがよにあぶくまがわのうもれぎもこおりのしたにはるをまちけり 隠

意味:我が君の御代に会って、阿武隈川の埋もれ木も氷の下で春を待っております

作者:ふじわらのいえたか1158~1237壬生二品とも呼ばれ、かりゅうとも読む。新古今和歌集の選者。

備考:最勝四天王院障子歌。あぶくまと逢ふの掛詞。

歌枕名寄、美濃の家づと、新古今注、十代抄書


読み:あともなくゆきふるさとはあれにけりいずれむかしのかきねなるらむ 隠

意味:人の訪れた様子も無い雪が降る昔住まれていた所は荒れていらっしゃるでしょう。どれが昔お父上の時代からあった垣根なのでしょうか。

作者:あかぞめえもん平安中期女流歌人赤染時用の娘実父は母の前夫平兼盛とも。大江匡衡の妻藤原道長の娘倫子とその子上東門に仕えた。

備考:降る里と古里の掛詞

平成27年8月7日 壱

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