曽根好忠 号曽丹
御抄云、先祖不詳。寛和比人也。任丹後掾作者部
類同之 袋草子云、曽丹は丹後掾也。而姓は号曽
丹後掾、其後号曽丹後、すゑにふりて号曽丹
也。此時好忠歎云、いつソタといはれんづらん云云。
由良のとを渡る舟人梶をたえ行衛もしらぬ恋のみち哉
新古今恋一、題しらず云云。序哥也。由良(ユラノ)渡(ト)紀伊
国也。哥心は御抄云、大海を渡る舟の梶なからんは、た
よりをうしなふべき事也。其舩のごとくわが恋路のたの
むたよりなく行衛もしらぬよし也。由良の渡とうち出る
よりたけたかく、いかめしき哥也。よく/\思慮すべし云云。
師説云、此哥は√わが恋は行衛もしらずはてもなしあふ
をかぎりとおもふばかりぞといへるうたの心ばへより出た
るなり。