源氏物語 浮舟
1 はじめに
源氏物語には、「あやし」が多数使用されて、様々な意味に訳されており、それらについて調べてみる。
2 源氏物語「あやし」の使用
「怪し」、「奇し」、「賎し」と表記される「あやし」の使用を、新日本古典文学体系(以下「新体系」と言う。) 源氏物語索引から、あやし(形容詞未然)、あやしから(未然)、あやしく、あやしう、あやしかり(連用)、あやし(終止)、あやしき、あやしかる(連体)、あやしけれ(已然)、あやしがり、あやしがる(形容動詞)、あやしげに、あやしさ(名詞)、あやしぶ(動詞)で、合計513語有る。(表1参照)
※20語以上黄色、無し青でマーキングした。
この内、最も多い単語は、あやしき住まゐなどの「あやしき」が、165語では有るが、「あやしく」とそのウ音便化した「あやしう」が、121語、99語で、合わせると220語となる。
帖毎にみると、浮舟46語、手習45語、蜻蛉、夕顔が30語、東屋28語、総角26語、若菜上23語、若菜下と宿木が20語、若紫と夕霧が16語と続くが、宇治十帖が多い傾向に有る。なお、花散里、関屋、鈴虫には、「あやし」は無い。
上下に分けられた長い若菜と他の帖を同列に扱って、頻度を議論する事は出来ないので、新体系のページ数で割って、出現頻度を見てみると、手習0.70、浮舟0.68、夕顔、東屋0.64と出現率が高い。手習は、逆数から、1.4頁に1回出て来る事となる。
頁数の多い若菜上(98ページ)、下(99ページ)は、出現率は、0.23、0.20と平均の0.27より低くなっている。
花散里は、5ページしか無いので、出現率は0だが、同じ5ページの絵合、4ページの篝火は、0.40、0.50の出現率となっている。
参考文献
源氏物語索引(新日本古典文学体系 岩波書店)
源氏物語1~5(同上)