新古今和歌集の部屋

美濃の家づと 二の巻 秋歌上10




            定家朝臣

さむしろやまつよの秋の風ふけて月をかたしく宇治の橋姫

二三の句、詞めでたし。 本哥√さむしろに衣かたしき

云々。 こゝの哥も思ひやりたるさまなれば、らむなどいふ


詞なくてはいかゞ。又月のあへしらひの詞も、あらまほし。

又さむしろやとうち出たるも、いせのうみや、難波江やなど

いへるとは、やうかはりて、よろしくも聞えず。或人の云。√さむし

ろにまつ夜の月をかたしきて更行影やうぢの橋姫などぞ

     あらまし。

五十首哥奉けるに野径月 摂政

行末は空もひとつのむさし野に草のはらより出る月かげ

上句、行末に山なき故に、雲と野つゞきて見ゆるなり。

 さて京にては、月は山より出て、山にいるをのみ見なれ

たれば、草の原より出るは、いとめづらしきなり。

雨後月         宮内卿


月を猶まつらん物かむらさめのはれゆく雲の末のさと人

二の句、まちやすらんの意なり。 さて村雨のはれゆくといふ

所に、こゝにては、はや月を見る心そなはれり。

題しらず        通具卿

秋の夜はやどかる月も露ながら袖に吹こす荻のうは風

めでたし。 三四の句、月を見るに、荻に風のふけば、いよ

いよあはれをそへて、たちまち袖になみだのこぼるゝ、其涙

にも、同じく月のやどるを、荻のうへより、露とゝもに吹こし

たるやうにいひなせるなり。実に荻の露を、袖にふきこし

たるにはあらず。


            源家長

秋の月しのに宿かる影たけてをざゝが原に露ふけにけり

しのには、しげくにて、さゝのしのをかねたり。 影たけてと、

露にふけにけりと、かさなりてくだ/"\し。

和哥所哥合に田家月   慈圓大僧正

鴈のくるふし見の小田に夢さめてねぬよの庵に月を見る哉

二の句四の句に°もじ重りていかゞ。 小田に夢さめてもいかゞ。

            俊成卿女

稲葉ふく風にまかせてすむ庵は月ぞまことにもりあからしける

稲葉は、風の絶間なく吹渡る故に、それにまかせおきて、


守る人は、夜もねぶりなどして、おこたりがちなれば、守る

といふ名のみなるを、まことにおこたりなく、もりあか

す物は、月にこそあれといへる也。月のすき間をもるを、守る

ことにかねていふは常也。 さきには、風にまかせてとは、風の吹

あらすにまかせおきて、つくろひもせぬ意にて、さやうの庵は、

月影の、まことにもり明すといへるにて、まことにとは、田の庵

に月のもるといふは、つねのことぐさなるが、これはまこと

にといふ意ならん、と思ひしかど、さては稲葉ふくといふ

に、かなひがたし。

コメント一覧

jikan314
そうです。
点を面にする前に止める。と私も思っています。
どさんこ倶楽部」「齊藤英二」
コメントありがとう
http://blog.goo.jp/nanmosa-eizi
北海道は広いです。
「北見」では食品品評会「札幌」ではライブクラブ
で多くの感染者が・・!!
昨日、首相の会見で記者が北海道知事が国より早く
勝手に対策をしたので感染が広がったと批判したが
後付けで批判をしていた。
頑張ります北海道「どさんこ魂」で!!
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「美濃の家づと」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事