
小学生のとき、初めて南アフリカのアパルトヘイトについて習った。この国では白人と黒人は使うレストランも、トイレも、バスも別。日本人は「名誉白人」で、白人側の施設を使える。名誉に黒人も白人もないと思うけど、当時最強の人種差別国として、悪名を轟かせていた。国連やスポーツ界はアパルトヘイトに対する制裁を加えていた。ラクビーのナショナルチーム、スプリングボックスの国際試合の禁止もそのひとつだ。
ラクビーの世界で、伝説になっていたこのチーム。国際試合には出てこないけど、世界最強と思われていた。ラクビーが国技で、層が厚く、試合に出てこないだけに、伝説化していたのだ。
ところが、アパルトヘイトが廃止され、マンデラが大統領になり、スプリングボックスがイングランドやオーストラリアと試合をすると、大敗。実は、対外試合をしないこのチームは井の中の蛙状態だったのだ。
マンデラは白人と黒人の対立を緩和し、一体感を高めるために目をつけたのが、国の恥とまで酷評を受けるスプリングボックス。1年後に南アフリカでラクビーのワールドカップがおこなわれるのだ。そこでキャプテンのフランソワ・ピエールを茶会に招待。一番に問います。「君の仕事はなんだ?」思わず「貿易会社に勤めています・・」などとピント外れの答えを口にするキャプテン。そもそも、なぜ大統領に呼び出されたのかも分かっていないのだ。さらにマンデラは続けます。「君のリーダーとしての哲学を聞かせて欲しい・・」「君なら不可能を可能にするために自分をどう駆り立てる?」
口には出しませんが、ワールドカップ優勝を彼に託す大統領。白人主体で、アパルトヘイトが崩壊した混乱のなかにあるチームをリードするフランソワ・ピエール 。難しい舵取りを迫られるリーダー。そしてその結果は。
この物語は、実話が元になっています。1995年のワールドカップがクライマックスです。少し視点を変えて、現在のマンデラ(91歳)や、 フランソワ・ピエール を追うのも面白いです。マンデラは卓越したリーダーとして歴史を残すでしょう。南アフリカはアフリカNo1の新興国になりつつあります。しかし、後継者を育てるのは失敗したといわれています。フランソワ・ピエール は時々来日してるみたい。このあたりを検索してみると、この映画がさらに面白くなります。
All the world in union, the world as one gathering together, one mind, one heart,Every creed, every colour, once joined never apart. World in union