
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」、その書き出しは誰でも知ってる有名小説ですが実際に読んだ人は少ないのでは。僕もそんな一人でした。
ノーベル文学賞受賞者の著書は好んで読むことにしている僕ですが、川端康成先生はなぜが手を出してなかった。なぜかと言っておきながら、理由があります。幼少期からその存在は知っているけど、逗子で不幸な亡くなり方をしているので、どうしても明るい気持ちで著作を手に取れなかったのです。
昭和10年代を舞台にした、越後湯沢の温泉付きの芸者さんと東京から来たスケベ親父のやり取りが描かれていたのですが、僕としては衝撃の書でした。芸者さんとは、時代劇の中や、昭和の時代も料亭でペンペケ(三味線)をやっている人というイメージだけあって実際にリアルにみたことはない。しかし、その実態やシステムがそれとなく書かれているけど、これって現代で言うと人身売買や売買春問題なのだなあと知りました。そしてこれが昭和の時代まで存在していたのでは・・。そして僕は感じるのです、この仕組み、形を変えて令和の時代でも生き残っているのでは。そうだとしたら、大きな社会問題です。
身請けとか年季とかがどのようなお金の流れがあるのか知り、また十代前半で売られる娘たちを思うと切ない・・。
食えないと自立もできない そうすると物も言えない 誇り高く生きていけない
安宅和人