
■■■■■■■■■■■砂上の楼閣■■■■■■■■■■■
●慌ただしい中、令和2年の前半が終り告げようとしている。
私どもは戦後75年間に、バブルの崩壊やリーマンショックや,311
の東北大震災などを体験してきた。しかし武漢ウィールスの恐怖に世界
同時に襲われるという事態は、未だかってなかった事と言っていい。
去る2月のクルーズ船ダイヤモンド・プリンセスに始まり、ほぼ4ヶ月
を経過して、ようやく終息に向かいつつあるというが、その残した爪痕
は、余りにも大きい。
■「夢か、幻か」
●これは令和2年冒頭に予測された日本のインバウンド計画(訪日外国
観光客受け入れのロードマップ)の全容である。7月のオリンピック開
幕を控え、4000万人の外国人観光客が日本を訪れる事になっていた。
●本来なら、いましがたは東京も大阪も京都も遠来の外国人で賑わって
いるはず。ところがである。武漢コロナの襲来で4月の来日外国人数
は僅か3915人、昨年対比99,9%減という絶望的な記録である。
好事魔多し。爾来、鎖国同然の状況が続いている。
因みに2017年以降の外人観光客消費額は、優に年間4兆円を超し
ていた。
●政府は インバウンドを輸出産業のエースと位置図け、来る2030年
には、年間6000万人の外人観光客を招き、世界の観光国ランキング
のベスト5入りを目指す意気込みだった。現在日本は、タイや英国に次
いで第11位にランクされている。
(4年前に来日を果たしたJTIRO提携先、チェンマイ国際財団スタッフの皆さん)
■「日本観光の足跡」
●日本が大きく観光立国に舵を切ったのは、第2次安部政権の2013
年の事だった、タイやマレーシアなどアセアン主要国の査証発給要件を
緩和して、ビザの取得を免除したことに始まる。
2012年に600万人だった訪日外国観光客が、6年後の2018年
には3000万人を突破した。そのインバウンドの効用は、旅行産業や
運輸はもとより宿泊業界、飲食、物販など様々な産業へ波及した。
今や年間8兆円を超す外人観光客消費は、日本の地域経済にも多大の効果
をもたらしている。特に、私どもが注目したのは、訪日外国人の日本の歴
史や伝統を見据える、旺盛な探求心だった。
なかでも「城」「温泉」「歴史遺産」「神社お寺」「景勝地」「自然の
景勝地」「スキー場」から歴史や神話、伝統文化を求めての体験コース
が人気をさらった。特に東北とか山陰とか鹿児島の離島とか、当の日本
人でさえ知らない伝説の地を探訪したり、事前の知識習得ができている
人が多い事と、リピーターの多い事に驚く。
■「素晴らしき日本の実証」
●実は去る3年ばかり前、親しい外国の友人が日本を訪れ、関西を3日
ばかり案内したことがある。彼の一番のリクエストは、かの有名な一休
和尚(禅師)の禅寺へ行きたいという。
早速、京都郊外の宇治に近い田辺市の一休寺へ案内した。由緒ある石庭
を前に寺の縁側に座して動かない。30分ばかり座禅の境地である。
その後、寺の中を散策しながら一休さんが、室町時代臨済宗の僧で、大
変 著名な詩人であった事、後小松天皇の嫡子で、母親は 藤原一族の名門
の出である事を教えられた。海外から来た外国人に 日本伝説の人物につ
いて教わるとは、まさに灯台元暮らしの心境だった。
聞いてみるとインタネットの検索サイトで異国情報を詳しく探るという。
●日本観光のリピーターの核になる外国の人たちは、総じて日本を深く
知りたいという人、どちらかと言うとマニアの人たちが多い。
また、その人たちの心をとらえて離さないのが、日本の伝統文化という事
らしい。それらの人たちの努力と知恵によって、日本の国の素晴らしい真
実が、広く海外に伝わり広まっていく事を期待し、心から感謝したい。
●古くから大きなプロジェクトには、大きなリスクが付き物と言われて久
しい。そのリスクをヘッジしたり、そのリスクを防御することによって、
そのプロジェクトの質が高まり、その評価が定着するという。
今回の武漢コロナショックは、世界的なもので世界の国々全てが、等しく
そのリスクを被ったわけだが、その戦いの結果は、今後それぞれの国の経
済を大きく左右すると言っていい。
アフターコロナを目指して逞しくスタートを切った「日本観光」に、大い
なる期待を寄せたいと思う。
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