【3月10日投稿分】
数日前にもまた、知人の奥様(60歳)が「住職さん、もう我慢出来ない。同じ部屋で同じ空気を吸ってると思っただけで、耐えられない。夫(60歳)が定年と同時に、協議離婚します」とお寺に来て拙僧に。この話を持ってきたは、これで何度目かな。
対し拙僧、この奥様に「どうしようもなく、感情が抑えられないと言うのなら、仕方がないですので、止めはしませんけど。まあ、こんな話が以前にありましたので、聞くだけでも聞いてみてください。嘗て、檀家の80代母親が、あなたと同じ思いのわが娘(50代)に対し『離婚してスッキリするんなら、私は止めはしないが。旦那の定年後に財産を分け合って離婚するなら、退職金やら、共有財産やら、等分されてお金は入ってくるが。お前の旦那なら等分しても2000万円以上は、恐らく旦那の手元に残るやろ。その旦那が死んだ時、その遺産が残る事になるが、離婚をしてたらお前には1円も入ってこない。お前のその『固い決意』とやらに、2000万円もの価値があるんかい。私の周囲を見渡した時、特にお金に関しては、老後は旦那の方は何とかやっていけてるが、奥さんの方は皆、お金に苦労してる人が多い。年金にしても、お前の旦那は高給取りだから、離婚せずにいたら、旦那が死んでも3分の2という年金が入ってくる事になるが、お前のその『固い決意』とやらに、その年金を捨てるほどの価値があるのか。パートで手に出来る金額じゃないぞ。お金、お金と連呼すれば、いやらしく聞こえるかもしれんが、特に老後においては、お金というは非常に大事。嘗て、徳川家康公が、太閤(秀吉公)とは長生きが勝負と決めておった、と言われたとか、言われなかったとか。お前も根性入れて、離婚なんて馬鹿な事を考えず、長生きで勝負せいよ。30年以上も我慢して旦那を支えてきたのに、ここでケツを割って、その財産を全て棒に振る気かい。旦那の事を、あれば便利な家財道具の1つ、と思えばよかろうもん。それでわが心と折り合いを付けて、もう少し辛抱してみたらどうだ』と、この80代母親は、わが娘に言ったんだって」と。
この話を黙って聞いていた、この離婚相談に来られた知人の奥様が「家の中にある家財道具の1つと思え、ですか。そう考えたら、少しは我慢が出来そうな気もしますね。しかし、この話の80代のお母様(婆様)ですが、凄い人ですね」と。「うん、凄い御仁だよ。まあ、あなたも、もう少し考えてみなっせ。ここまで長年我慢してきたんだから、これまでの我慢を無駄にしなさんな。あるご夫婦なんぞは、70歳を超えて奥様の方が『もう辛抱ならん』と離婚したんだけど、その奥様が『なんか、昔の勢い(偉そうな態度)がなくなって、夫が可哀想で、哀れで』と、相変わらず文句を言いながらも最期を迎えるまで、ご主人の世話(介護含む)をされましたばい。拙僧から見たら、あなたもその様に旦那の世話をしていきそうなタイプと思いますが。この80代の母親が述べた遺産相続の話ですが、制度の理解はともかくとして『わが娘に離婚をさせたくない』の一心で、この様な話を方便を交えて、わが娘に」と拙僧、離婚相談に来られた知人の奥様に、この様なお話を。
さて、付け加え話ですが、この檀家の母親(80代)ですが、度々拙僧に「住職さん、年金の事なんだけどさ、夫は満額貰えて、奥さんはその額の3分の2というは、どう考えても納得がいかんのだよね。夫が長年に渡って会社に貢献が出来てきたも、夫の働きで会社が利益を上げて国にお金(税金)が入ったも、その夫が気持ちよく、元気に働ける様に家庭を守ってきた、奥さんの働き(支え)があっての事でしょ。住職が法話で『専業主婦が交通事故で入院を。加害者に、1日9800円×入院日数を支払え、と、どこぞの地裁が言いおった』と。つまり、専業主婦の月給は、約30万円相当という事でしょ。この金額が高いか、低いかは、人それぞれ、その見解は違うだろうけど」と。
更に、この80代母親が「考えてみなされ、旦那が会社で日中働いている間、奥さんも日中、家事、育児を懸命にやっとる。旦那は家に帰ってきたら、ゆったりと出来ようが、奥さんの方といえば、そこから旦那の世話という残業が始まる。そう考えたら国は、3分の2(夫死後、奥さんに入る年金額)なんてせっこい事を言わずに、奥さんにも夫と同様に、夫死後には満額の年金を支払えよ、と思う。夫が死んだ後、せいぜい支給するは10年前後でしょ。満額が支払われるとなれば、これを放棄するは、実に勿体無い話だから、離婚も減少するかもしれんし、離婚減少(両親揃い踏み)の中で子供が育てられるケースが増えれば、結婚に対する印象が変わり、結婚する子供も増えるかもしれないし、そうなれば少子化の問題、財政の問題(子供が国にもたらす利益)にも、好影響をもたらす事になるやもしれん。そう思わんね、住職」と。対し「まあ、そうだね」と返事を濁すと「わかっとるよ、1人、1人が各々個別の事情(夫婦関係)を抱えとるぐらい。昨今は、自分はこうだ、自分はこうだ、と自分の事情が正解(模範)と言わんばかりに、他の見解に文句を言ってくる人がいるからね」と。まあ、しかし、女性は現実的ですね。特に、婆様は。
【付録】
拙僧はこれまでに法話の本を3冊、世に出して頂きました。そのご縁がきっかけとなり、テレビ(約半年、週1回)、ラジオ、新聞、雑誌などや、教育委員会、学校、幼稚園、病院、老人ホーム、町内会老人の集い、倫理法人会、他宗寺院、葬儀斎場、社員研修などへの講演(北九州在住の拙僧が、遠方では九州南部、関西、関東、北陸、東北まで)にも呼んで頂き、方々で法話交流を。あらゆる話とまでは言えませんが、様々なジャンルである程度(仏教仏事系の他にも、癒し系、漫談系、人生系、目から鱗系、子育て系など)の話が出来ると思いますので、何かのお役に立ちそうでしたら、時間調整の許す限り、集いの大小問わず(参加者数人でも)足を運ばせて頂きますので、お気軽に、facebook、X、Instagram のメール(コメント欄)で、お声を掛けてくださいませ。勿論、この様なお話でいいなら、でございますが。拙僧も今年で62歳。これより先の残された時間を、1人でも多くの人のお役に立てれば、との思いです。『今、自分に出来る事を、今やる』ですね。
約10年間でSNSに投稿した3000話の長短法話を下記で読む事が出来ます。
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拙僧が持つグループ「出会うは運命、出会ってからは努力、最後は感謝」
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【追伸】尚「法話が長い」と不快感を示されておられる方々には、大変心苦しく申し訳ないので、拙僧の法話が目に入らない様に『ブロック』をさせてもらっております。楽しみにされている方々もおられますので、ご理解頂きまして、それでどうか、ご容赦くださいませ。
投稿の添付写真は、拙僧がテレビ番組(撮影はお寺で)に出た時のものです。
次回の投稿法話は、3月15日になります。
