1分で読める小さなお寺の法話集

子育て、人材育成に関する法話を実話と歴史から紐解いて書いております。

【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 有名人(芸能人)の自殺報道が出る度に、若者たちから様々な問い掛けが、拙僧のところへ。

2023-07-27 14:58:26 | 法話

 臨時法話 


この法話は、今年3月20日に投稿させて頂いたものです。中高生を子供に持つ親御さんから「自殺を事前に回避出来る、よい手段を何かお持ちですか、住職は」と度々問い合わせが。よってこの度、以前に投稿させて頂いた法話を今日、再度投稿を。



読者の女子高生が「3ヶ月程前、友人が自ら命を断ちました。その日(自殺日)の前日、みんなでカラオケに。あんなに楽しんでいたのに。葬式終了後の挨拶で、その友人(故人)のお母さんが『食事の用意が出来たので、娘の部屋へ呼びに。ドアをノックしたと同時に、ドン、という音が。マンションの自室から投身を。あの音は恐らく、一生耳から離れる事は。家族葬にせず、あなた達お友達を葬儀に招いたのは、あるお坊様(拙僧の事)の法話を読んだからです。その法話には、19歳で自殺された子供の親御さんに、ご住職(拙僧)が言われた言葉が書かれてありました。 ◦◦◦ 出来うるならば、最期がこうだったからといって、この子の生きた時間全てを、否定する様な送り方だけは、して下さいますな。この子もこの子なりに、19年間、懸命に生きて来られたんですから ◦◦◦ なる話が』と、住職の法話を紹介されておられました」と。


続けて、この女子高生が「住職、質問があるんですが、自殺は永久に地獄、って本当なんですか。私の周囲にはそんな事を言う人達が」と。対し、拙僧「江戸時代に近松門左衛門という人がいて『曽根崎心中』を発表。その読み物が、心中増加の原因となったかどうかは定かではないが、心中が多発を。阻止する為『自殺は、永久に地獄行き』と、当時のお坊様達が方便で。結果、自殺者が減少を。現在の風評は、その時の名残りかな。哀しく他界されて逝った人を、根拠なき憶測で、更に、死者を追い込む様な言葉を向けるは、あかんよな。人間の死は、病気も、事故も、災害死も、突然死も、勿論、自死も、拙僧は全て寿命と考えています。1000人近くの葬儀、それ以上の人の『生き死に』に立ち会ってきた結果『この世の役目が終わった人が、向こうの世界に逝くんだな』と、そう思える事例が多々あった。自死だけが『地獄堕ち』なんて、そりゃ、あまりにも可哀想過ぎるでしょ。が、本当に『全ての死は寿命』だとしても、自殺は、止められるもんなら、止めた方がいいよね」と。


更に拙僧、この女子高生に「ある檀家の爺様が拙僧に『時折、先に旅立った父や母、友人達、20代で他界した息子(交通事故)は、今頃何処で、何をしてるんだろうか、と思う事があるんだよな。住職よ、浄土は絶対にあるんだよな。向こうに逝ったら、また、みんなに会えるんだよな』と懇願する様に。対し、拙僧『死んだ事がないから、浄土があるかどうかは、はっきりとは言えんが。拙僧も、祖父母、父母には会いたいし、向こうでも家内と一緒に永久に暮らしていきたいから、そういう場所は必ずあるんだ、と信じたいよね』とその爺様に言ったんだよね」と、この女子高生に。「そうですよね。死んだら終わりは、あまりにも寂しい。その様な場所があると信じた方が、夢も希望もあって、いいですよね」と。


因みに、この様な自殺の話は、遺族の要望を受けて、投稿させてもらっています。遺族が投稿を要望される意図は「こんな悲しい思いをするは、私達だけで沢山。子供達のほんの僅かな異変をも、気付いてあげて下さい」と世間に、が、本意のようで。


わが寺にも、自殺をした若者が、何人かおります。その内、数人が19歳という年齢。この19歳という年齢での自殺は、世間的にも多いそうですね。つまり、就職であれ、進学であれ、社会に出て1年目というが、何か意味があるんでしょうね。わが寺に限っての事ですが、自殺の原因は、仕事関係、友人関係、いじめ、などではなく、大半が親子の不仲(家庭環境)にて。年間に何人かですが「死にたい」と、お寺へ相談にやって来る若者(檀家の子供以外にも、拙僧の法話を読んだ方も)がいます。が、相談にやって来る若者は、死なないかな。『生きたい』という気持ちが、どこかにあるから、お寺へ相談に。死ぬ事(自殺)を決定(決意)している人は、他人に邪魔をされたくないから、決行するその日まで、誰にも気付かれない様に行動を。


この様な話を投稿すると「自殺を防止するよい方法は、何かないのですか」という問い掛けがやってきます。なかなか難しい課題ですが、その質問者達に「子供は幼い頃から『これは何、あれは何』と疑問を、親にぶつけてきます。最初の頃は丁寧に答えてあげていた親も、それが長く(時の流れ)なってくると、面倒臭くなってきて、適当な対応をするように。子供の疑問、抱える問題は、年齢を重ねる内に、切実な問題に変わってきているのに、親は「そんな事、後でいいでしょ。今は、忙しいの」といい加減にあしらう様に。それが続くと、子供は親に頼る事をやめ、親に不信感を持つように。相談相手を失った子供は、解決されてない不安(問題)が次々と心に溜まり、最後は悲しい結末に。拙僧の経験(相談を受けた)では、このパターンが、最も多いような気がします。


お寺に縁(ゆかり)が深い子供達(幼い頃からお寺に慣れ親しんでいる)なら、家族、友人、先生の中に、話す相手がいなくても『お寺に行けば、話を聞いてくれる住職がいる』と足を運んできます。わが寺には、そんな子供達が何人もいます。お寺に限らず、話を聞いてくれる人、話が出来る場所、が周囲にいるか(あるか)、いないか(ないか)では、最悪の状況を回避するに、大きな違いが出てくるでしょうね。


因みに、新型コロナ感染拡大後の小中高生の自殺者が、2020年には、499人(小14人、中146人)。2021年には、473人(小11人、中148人)。2022年には、過去最高の514人(小17人、中143人)と。自分の事だけで精一杯だった(大人達、親達)ここ数年、子供達は周囲に自分の思いを話せる相手が、いなかったんですかね。人間関係が希薄になってきた昨今、これは大きな社会問題ですわな。


因みに、相談を受けてきた中で拙僧、1つ大変気になった事があります。親の勝手な思い込みで、子供のSOS を見逃している親が、何人もいたという事です。「私の子供はおとなしくて、反抗など全くしないんですよ。偉いでしょ」と自慢げに。それに対し、拙僧「いやいや、子供はわがままで、反抗するもの。成長段階では必ずあるものです。それをしないという事は、親に気を遣って生活をしていると何故、気付かないんですか。大変な事になる前に、考えましょうや」と。その言葉に対し親は『何の話』という表情で、ポカン、と。


次回の通常投稿法話は、7月30日です。





【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 石川五右衛門さんが「浜の真砂が尽きるとも、世に盗人の種は尽きまじ」と。いじめも虐待も、人間が存在する以上は、絶えることは。

2023-07-23 08:14:08 | 法話

【7月25日投稿分】


檀家の男性が「神戸で6歳の男の子が、虐待されて殺された事件ですが、凶器で激しく殴られた打撲痕が10箇所以上もあったとか。警察に複数の鉄パイプが部屋内から押収されたんだってね。加害者は、母親とその弟と双子の妹だってよ。産みの母親と、叔父と叔母だよ。押し入れに断続的に押し込め、虐待し続けていたと。この様な話を聞く度に、この事件と同じとまでは言わないが、虐待されて育った子供時代の、私の事が脳裏を過ります。子供は生まれる時に、何の選択権もなく『これがあなたの親』と有無も言わさず、押し付けられる。生まれた途端に、いきなり目の前に地獄、極楽が。私も子供の頃は『何でこんな親の元に』と、定を恨んだ事もありましたが『そんな事を言っても仕方がない。親は親、子供は子供』と社会に出てからは、自分の人生だけに心を向ける様に努めました」と。


更に、この檀家男性が「虐待されて育った子供が、親になってわが子を虐待するは、統計上から見ても、少なからずと。子供の頃は『こんな親には、絶対にならんぞ』と親を否定していたにも関わらず、知らず知らずにそれが身に付いていて、いつしか親と同じ様な事(虐待)をわが子にする様になると。住職が度々法話の中で『親が作った家庭環境で、その親が育てる。親と同じ様な人間になる確率が高いは、当然の流れ』と。何か、わかる様な気がします。『自分も1歩間違えたら』と感じる事が偶にあります。私は常にその事を心に言い聞かせながら、子育てをしております、虐待に限らず、知人達を見ても、お金にルーズな親の元で育った子供は、やはりお金にルーズが多いですもんね。当に『躾(しつけ)は、する物ものではない。躾は、見せるもの』ですよね。良い事も、悪い事も」と。


対し、拙僧「そうだよね。自分は自分、人(他者)は人、だもんね。『常識じゃ、考えられん』と嘆いたって、一定数こんな人間(虐待する親)は、必ず存在しております。問題の根本は教育ですが、法律で厳しく規制していくしかないですよね。人の命の話ですもんな。英国人に嫁いで25年以上、ロンドンに住んでいる妻の妹が言っておりましたが、英国では、3歳以上の子供と親が、一緒に風呂に入っていると、性的虐待を疑われ、近所から通報され、警察が有無も言わさず、家の中に乗り込んでくると。妻の妹も1度、子供と一緒に風呂に入っていて、近所から通報され、警察が乗り込んできたと。が、母親が日本人だとわかると、日本の習慣を理解されている様で、引き上げて行かれると。子供に対する虐待に関しても、国が速攻介入し、親から子供を引き離し、施設に保護すると。妻の妹が言うには『子供は、神の子』という考え方から『あなたは親として相応しくない』という徹底した考えの元で、国家は動いているのではないか、との見解を」と。


この檀家男性が「英国の様に、ドカドカと家の中に、乗り込んで来るが良いとは言いませんが、この度の神戸の様な残忍な事件が頻繁に起こっている以上、日本もある程度は、その様な権限を、警察に与えるも必要なのではないか、と思うんですよね。恐らくニュースになっているは、氷山の一角ではなかろうかと。無抵抗の幼児、無抵抗のご老人、の命の存続の問題にて、政治家さんには真剣にこの問題を討論して頂きたいものですね。死んだ(殺された)後で議論するでなく、死なないで(殺されないで)済む方策を、考える方が先ではないかと、そう思うんですけどね」と。


更に、この檀家男性が「住職の法話の受け売りですが、釈尊が2500年前に『人間、生まれを問うな、育ちを問え』と、教育の大事さを世間に説かれたでしょ。教育、教養なきが故に、様々な問題が引き起こされていると。当に、世の安定、安穏は教育ですよね。それと法律に関しては、紀元前1700年頃、古代バビロニア帝国の初代国王、ハンムラビ王が『目には目を、歯には歯を』の法典を。無法者を取り締まる為に。この法律は『やられたら、やっちまえ』と復讐を煽っている様に勘違いされてますが、実は『同じ程度の復習をするにとどめなさい』と制限(抑止の意図)を施しているもの。という事は、されただけは、して返してよい、と。虐待されて、無惨に殺された無抵抗の幼児、ご老人の報道がある度に『その人にした(虐待)様に、まったく同じ事をして返してやれ。されば、虐待しながら、捕まったら今度は、俺がこんな目に遭わされるのか』と、少しは考える様になるんじゃないかと」と。


続けて、この男性が「この私の考え方が、正しいとは思いませんよ。思いませんが、何の罪もない人が殺されていく姿を見ると、何かしら阻止する方策を見つけないとですね。日本は、事件が起こらないと、警察は動きませんもんね。こんな意見を言うと『虐待されて育ったが為に、そんな人間になった可哀想な人もいるんだぞ』とか『育児ノイローゼで、そんな行為に至った、可哀想な人もいるんだぞ』と反論してくる人達が必ず出てきます。確かに、加害者にも可哀想な境遇の人はおられるでしょうが、何の罪もなく殺された人の事を思いますとね。被害者(命を奪われた人)よりも加害者(命を奪った人、生きている人)の方が、人権を盾に擁護される世の中って、どう考えてもおかしいと思いませんか。殺された人はもう死んでいるので、人権を考える必要がないって事なのかな。それじゃ、あまりに、被害者とその家族が可哀想ですよね」と。


この檀家男性ですが、言いたい放題の事を言っている様に、聞こえている読者もおられるでしょうが、それは、それは、親からひどい虐待を受けてきた人でして。この男性は自らで心の闇を克服し、今では親のお墓参り、親の年忌法要も、滞りなく勤めております。ただ、ただ『虐待をしない、させない、の世界を作りたい』を常に。「私は自力で立ち直せましたが、そんな人ばかりでは。虐待されてきた人間にしかわからんものがありますよ、住職」と、時折溢すように言葉を。


石川五右衛門さんが辞世で「浜の真砂が尽きるとも、世に盗人の種は尽きまじ」の言葉を、後世に残されましたよね。いじめも虐待も、人間が存在し続ける以上は、絶える事はないでしょうね。『人よりも優位に立ちたい』という意識は、大なり小なり誰しもが、必ず持っているもの。なれば、決め事(法律)で抑えていくしか。人の命(幸せ)の問題ですもんね。綺麗事で片付けられる問題では。


【教育とA I 】

この檀家男性が「住職、その教育についてですが、少し話はズレますが、実はA I の事です。先日、番組『そこまで言って委員会』で、旅客機のボーイング737MAX の墜落事故の話が。A I とパイロットが喧嘩した結果、A I の判断が優先させられて、2018年にインドネシア、2019年にエチオピア、と相次いで2機が墜落。合計346人が死亡されたと。センサーの異常(誤作動)とA I が信じた事で起こった事故だと。こんな時、人間がA I を止める事が出来ないのだと。なんか、怖くないですか。特に、原発なんかを全面的にA I に任せる様な事になったら」と。


対し、拙僧「そうだね。A I が普及したら、人間の職業が失われるなんて事が言われているが、意外にそうでもないかもですよ。所詮機械だから、誤作動(異常)は起こすし、最終判断はやはり、人間がしなくちゃ。いつでも軌道修正が出来る状態にしておく事が大事だよね。『知識は学問から。が、その知識を活かす知恵は、経験から』だもんね。A I は、これからどんどん進歩していくだろうが、今のところは、やはり、人間が最終判断をした方が。2018年にノーベル生理学•医学賞を受賞された本庶佑先生が『教科書に書いてある事を信じない』と言われましたよね。経験なき知識は、いかに豊富な知識を持とうと、ただの『物知りさん』に過ぎんですもんな。人間の古典的な対応が、まだまだ、必要ではないかと」と。


次回の投稿法話は、7月30日になります。





【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 昨今、戒名を付ける意味や、この戒名はどんな意味か、と問うてくる若者が増えてきましたね。それでは、とこの度、過去の法話から。

2023-07-23 07:03:48 | 法話
【この法話は、今年の2月15日に投稿させてもらった話です。ここ最近、度々方々から、戒名を付ける意味、この戒名はどういう意味、を問われる事が。7月施餓鬼盆、8月盂蘭盆、9月秋のお彼岸、と供養月が続くからでしょうかね。特に、若い人からの問い掛けが多いですね。そこで、再度その理由の1つを書いた以前の法話を 】

今日、2月15日(恐らくこの日)は、釈尊入滅の日。所謂、涅槃会。投稿写真は、わが寺の『釈迦涅槃像(青銅造、長さ5メートル)

檀家男性が「SNS の中の知人のチェックをしてると、他界された人達の名前が何人か。名前まで消去するは、寂しい感じがして。住職はその様な人達をどうされてますか」と。「そのまま消去せずに残してるよ。名前を見たら、その人達を思い出す事が出来るし、もしかしたら、向こう(浄土)から、メールや電話が来るかもしれないし」「んっ、えっ、メールが、ですか」「ロマンだよ。ロマン。拙僧にとっては、お墓や仏壇も、同じ意味合いなんだよな。その前に座ったら、故人を思い出す事が出来るでしょ。その場所に霊魂が『宿っている、宿っていない』などは、そう大きな問題ではないかな」と。

この檀家男性が「ところで住職。戒名(送り名)って、必要なんですかね」と。「例えば、拙僧の俗名は、山本博文でして、『山本博文位』では、どんな人生を歩んだ人か、さっぱりわからんでしょ。わが寺には、江戸時代後期から過去帳に戒名が残っている檀家が。これは、何を意味するかといえば、誰1人として代々の子孫が、親を粗末に扱わなかった、という証拠なんですよね。拙僧の山本家は、明治初期からの戒名しか、過去帳に残ってない。恐らくその頃に、親不孝者がいた、という事なのかな。戒名に使われている漢字を見ると、この人は、武士だったのか、百姓、漁師、車引き、坊主だったのか、とか、いつ頃、どの様に他界されたのか、までわかる事が。向こうには浄土があり『名無しの権平』で逝かせる訳にはいかないので、住職は戒名を授けている、が建前だが、そんな想像上の事よりも、私達の家のルーツを知る為の資料としては、これ程に参考になる物はないですよね。昨今は拙僧、遺族の人達に「故人(生き様)を漢字1文字で表すとしたら、どの漢字を当てはめますか」と伺う事が。その漢字を戒名の中に入れる事が」と。

更に、この檀家に拙僧「時折『家のルーツを知りたい』と若い人達が『過去帳を見せて下さい』とお寺に来られる事が。先祖の職業、その他様々を戒名から知る事で『本当に存在してたんだ』と、グッと先祖が身近なものに。拙僧は坊主の仕事で、何が最も好きかと言えば、戒名を付けてあげる事。その人(故人)の人生を熟考し、100年後の子孫にまで、先祖の生き様が想像出来る様な戒名付け(授戒)を。所謂『虎は死して皮を留め、人は死して名を残す』ですよね。戒名は、生き様を子孫に伝える役目も担ってるんだよね」と。

更に、この檀家男性が「ところで、戒名料って、高額過ぎると思いませんか、住職」と。「拙僧のお寺は、戒名は無料。全て『〇〇院〇〇〇〇居士(大姉、不生位)と授けているよ。お寺によれば、100万円、50万円は、ザラに。『こんな高額なら、戒名など貰わんでいい』と言う人達が増加しても仕方がない事だよね。ただ、戒名料が高額になったは、お寺側から出てきた話ではないんだよな。戒名の『院号、居士、大姉』は、昔は、お寺に貢献(お布施、米、野菜などの奉納、境内掃除、法要の奉仕など)された人達だけが貰えたもの。貢献されてない人達は、幾らお金を積んでも与えられなかった。ところがこの国は、経済繁栄(昭和の時代)と共に成金さん達が。その人達の子孫が『私の父は、社会的地位も財産もある人間。その人の戒名が、〇〇〇〇、の4文字では、葬儀の時に恥を』と、お寺側に申し立てを。昔は、戒名を見たら、欲得なしにお寺に貢献された人(人徳者)かどうかが、一目瞭然の時代。そこでお寺側が『そこまで、院号、を望むなら、お寺に貢献して、院号、の戒名を頂いた他家の檀家から文句が出ない様に、それなりの戒名料を払いなさい』が高額戒名料の始まり。つまり、在家の見栄っ張りから始まったもの。それを後々坊主が逆手を取って、お金儲けに走り出し、現在の様な高額戒名料に。それぞれのお寺さんの事情もあるでしょうが、まあ、そろそろ見直された方がいいかな。政界(憲法を含む)も、財界も、教育界も含め、そろそろ様々、見直す時期に来ている様に思えますな」と。

【余談】
檀家90代爺様が拙僧に「戒名は生きてる内に貰うが、本当なんだろ。戒名くれや」と。横にいた婆様が「住職。遠慮せず、名付けて下さいませ」と。「じゃ、『天寿院好色一代居士位』ってえのは、どうだい」と。爺様絶句、婆様爆笑。すると爺様「婆さん。今すぐにわしと別れて、またすぐにわしと結婚してくれ。やり直す。そげな戒名貰ったら、100年先の子孫にまで『この先祖、よっぽど、色ボケだったんだね』と笑い者に。どうにかならんか、住職。じゃ、今日から死ぬまでの爺様を見て、戒名を付けようかね。『天寿院伴侶一途居士位(生涯、奥様一筋の人生)』と付けられる様な晩年にせにゃよ」「任せとけ」と爺様が。

【追伸】因みに、高野山奥之院には、織田信長公の供養塔が。発見されたは、約50年前、1970年にて。見つけられた手立ては、戒名から。本能寺にある供養塔の戒名『総見院殿大相国一品泰巖尊儀』を参考に、高野山で『総見院泰巖大居士』の供養塔が発見されて。戒名は、その家のルーツを知る資料に。

次回の通常投稿法話は、7月25日になります。




【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 正直者が馬鹿をみる、という言葉がありますが、いやいや、最後に土俵の上に立っているは、やはり、正直者かな。

2023-07-18 09:14:11 | 法話

 7月20日投稿分 


毎月1日に、安全祈願に伺う会社が数社ある。どの会社も、伺い始めてもうかれこれ、30年以上になるかな。拙僧が祈願中、社員は全員、拙僧の後方に整列。祈願文の中に社長の申し入れで「社員一同、身体健全、無病息災、家庭円満、の文言を。事業繁栄の文言は必要ない。社員が安泰なら、会社は自ずと繁栄するから」と。社員から「社長がお坊様を呼んでるは、私達の為だったんですね」と拙僧に。大半の社員が社長さんに感謝を。


毎月伺う企業の中の1社に、現社長が30代(専務)の頃、会社存続が危機的状況に。拙僧の法話の『犬も歩かにゃ、棒にも当たらん』の言葉が後押しとなり、全く縁のない大企業に乗り込み、玄関先で『仕事下さい』と大声で。その時、偶々そこに居合わせた重役が「ちょっと待っときなさい」と。30分後「この仕事(4億円)が出来るか」と差し出した。それが縁で定年後に、数多の引き抜きがあったこの重役さんが『この若いの(現社長)を育てる』と、他社の半分の給料しか出せないこの会社を出向先に選んだ。その重役さんが数年前、この会社を退いた後、コロナ、ロシア問題で、造船関係の仕事がストップを。熊本工場の仕事が殆んど皆無に。ここでまた、会社存続の危機が。


これは数年前の話ですが、この熊本工場に向かっていたある日の事、拙僧の息子(次男、東京理科大卒、同大学院卒)が「父さん。熊本に大規模な半導体の仕事が決定しそうだよ。何かしらの話が、この会社にも来るんじゃないの」とその当時、拙僧に。その息子の予想がこの度、偶然にも的中した。


7月1日に安全祈願に伺った時、コロナ、ロシアで、造船関連の仕事が殆ど皆無となり、熊本工場を閉鎖しようかどうか、2年近く迷ってた現社長(現在52歳)が「住職、実は、半導体関連の会社が20社以上、この1万5千坪の土地と倉庫を、貸してくれ、売ってくれ、との申し入れが」「何に使うって」「1万坪は、工場に。残りの5千坪は、社宅を建てるって。これだけ整備された土地が、どこにもないと」「売ったら、どうなるの」「現在ある借金が全て返済出来て、少しは残るかな」「それは助かりますよね。でも、残ったお金は、泡銭(なくなるお金)だね」「そこなんですよ。残ったお金は、数ヶ月分の社員給料分くらいです。土地、倉庫を貸した方が、将来に繋がるんじゃないかな、と悩んでるんですよね」「他に選択肢は」「共同で半導体関連の仕事をしないか、の誘いもあります。住職なら、どれを選択しますか」と。「ど素人の拙僧に、そんな大事な選択を聞かれてもね。拙僧に出来る事といえば、せいぜい、あなたの先祖に『あなた(社長の先祖)が、これは子孫の為になる、と思う方向に導いてやって下さい』と願う事ぐらいだよ。判断(決定)は、長であるあなた(社長)の仕事ですよ」「わかりました。じっくり考えてみます」と。


続けて拙僧「ただ、この度のこの半導体関連の仕事をあなた(現社長)は、棚から牡丹餅みたいに、突然巡って来たみたいに言ってますが、それはちょっと違うよ。基本、人間は『今の自分を苦しめているも、助けているも、過去の自分の行い。将来の自分を苦しめるも、助けるも、これからの自分の行い』だよ。わが父(拙僧の)は、拙僧が幼い頃より『自分の為だけに努力している人間は、自分が努力しただけしか実りはない。見返りなど求めず、人の為に働いてごらん。いざ、という時には必ず何処からか、助け船がやって来るから』と。あなた(現社長)の生き様は、当に、これでしょ。社員は大事にするし、会社関係者も大事にしてきたし、地元住民にもそれなりに心を尽くして来られたし。この新たな仕事の到来は、あなたが自らで、導き入れたんだと思いますよ」と。


更に拙僧、この社長に「世界には、100年以上続いてる企業が約80000社あるとか。その中の約40%の33000社が、日本にあるとの事。200年以上続いている企業となると、日本は1340社で、世界にある200年企業の65%に当たると。日本には本来、終身雇用制度などないと。ただ、社長と社員の信頼関係が、自然と終身雇用の形になっているだけだと。ところが昨今、東京商工リサーチ調べでは、2022年に倒産した企業の平均寿命は、23、3年と。厚生労働省の発表によると、就職後、3年以内の離職率は、高卒で約4割、大卒で約3割と。仕事がしっかりと身につく前に離職を。人材が育ってない事も、会社倒産の原因なのかな、と思えない事もないですよね。嘗て巨人軍が、お金の力に物を言わせて、他球団の主力を引き抜き続けたのと同じ様に、企業界も育てるという一手間を嫌って、経験者ばかりを。これじゃ、新たな人材は育たないよね。だけど、あなた達親子(会長と現社長)は、こつこつと人材育成を。


対し、この社長が「昨今の会社存続が短命なのは、礼節の問題もあるのかな、と思う。例えば、他社に祝い金を送るとするでしょ。が、お礼の連絡がこない会社が、結構に多いんですよね。別に、お礼を求めてる訳じゃないけど、自分らは先代社長(父親)から『礼儀だけは怠るな』と厳しく指導されていたので、なんか、信じられなくてね」と。「拙僧の周囲でも礼節を軽んじる人達が、昨今、目立つ様になってきたかな。大変お世話になった人のお通夜、葬式にも行かない、という若者達の声を、頻繁に聞く様になったよね。彼らに『何故、会葬に行かないの。お世話になった人でしょ』と問うと『だって、もうこの人(故人)からは、何もしてもらえないから』と、耳を疑う答えが返ってきた」と。対し、社長が「そりゃ、たまげた。私の周囲ではまだ、そんな話は聞かないな。が、その内、浸透して来そうだね。日本は将来、どんな国になっていくのかな」と。


更に、この社長が「ところで住職。住職の話には時に、とんでもない危な目な話がありますが、SNS の中では投稿されてない様ですが」と。「投稿すれば、間違いなく大炎上するでしょうね。だけど、そんな話(炎上するだろう話)の方が、間違いなく面白いし、教訓にもなるんだよね。人間は罪深く、泥臭い生き物でしょ。叩いて埃の出ない人間など、1人もいませんよ。綺麗事で固めて、何の参考になるのやら」「その様な話は、封印してるの」「活字にすれば、延々と残るから、延々と誹謗中傷がやってくるでしょ。鬱陶しいですよね。だから、活字に残らない講演会とか、お寺での法要とか、相談に来られた人に、例え話として使うとか。そんな時に話すかな。みんな、文句も言わず、無駄口も叩かず、興味津々で聞いてますよね。SNS の中でも、読み手が自分の胸の中だけで、感情を納めてくれるのなら、バンバン法話に書きますけどね。そんな泥臭く、面白く、教訓になる話を聞けないは、勿体無いというか、損をしてるというか。世の中には、そんな炎上するだろう面白い話を持っておられる方が、恐らく山ほどおられるのではないかと」「じゃ、住職の『炎上するだろう話』を聞きたければ、講演会か、お寺に行く事だね」「御意」と。






【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 人間は、1度死んだら、2度と再び、生き返ることはない。命を守る為の手立て(防衛)を講ずるに、何の不足、不満があるんかいな。

2023-07-16 09:41:47 | 法話
【この法話は、昨年の12月に投稿したものです。再投稿の希望が多い法話を、定期的に再度投稿を。臨時法話 】

外国在住の読者女性から「今年の法話で最もスッキリしたは、人気食堂店の老大将が常連客から『せめて定休日を決めてくれよ。先日来たら、開いてないんだもん』と。それに対し『開いとる時に来いや。なんでわしが、お前ら客に合わせにゃならんのや』と老大将が一蹴したと。この言葉には、しびれました。思わず『ごもっとも』と、読みながら声が出ました」と。

この女性が「夫の最初の赴任先が英国で、ロンドンの人達は電車が遅れるは日常の事。のんびり待たれている横で、遅れているを騒いで文句言ってるは、日本人観光客が多いですかね。日本は時間通りに電車が来て当たり前。宅急便が時間通りに来て当たり前。宅急便に関しては、日本の私の友人が『留守にしてても、また届けに来るよ』と言って、出掛けようとした時には、さすがに『自分が時間を指定したんでしょ。届けに来られるまで待ちなさい』と注意をしました。この友人ではないですが、宅急便の配達が遅れたと、土下座をさせて謝らせたという話も聞いています。してもらって当たり前が『当たり前』になったら、感謝の心はなくなり、不平不満しか出てきません。与えて貰い過ぎですよね、日本は。主人の仕事で外国を転々と回ってると、日本がどれだけ恵まれているかが、よくわかります。こんな話ばかりしてると、日本の悪口ばかり言ってる様に聞こえるでしょうね。この国の将来が心配になるんです」と。

この外国在住読者女性が「住職ね、テロ問題が頻繁に起こってた頃だけど、日本の友人から『外国は、危険でしょ』と心配して連絡が。対し『音楽会場の後方から突然、マシンガンがぶっ放される。街中で無差別の爆弾テロが起こる。ところが、私の知人達(その国の人)に限っては、それを気にしてないのよね。気にしてたら、生活が出来ないから。皆、その場に居合わせた事を不運に思うしかない、という感じかな。だけど、日本でも他国で類のない、サリン、が使われたじゃないの。テロは他人事じゃないわよ』と日本の友人達に」と。対し、拙僧「貴女のその見解は、英国男性に嫁ぎ、20年以上、ロンドンで生活をしている拙僧妻の妹も、常に同じ事を言ってますよね。日本は常日頃が平和だから、サリンの様な事が起こっても、時間が経てば、すっかり忘れてしまうんでしょうね。あのサリン事件を、色あせずに覚えておられるは、今でも後遺症で苦しんでおられる人達と、そのご家族、ご親族だけじゃないのかな」と。

【余談】

人は切羽詰まった時には『苦しい時の神頼み』で、かなりの遠方であろうと、有名な神社仏閣に赴き、ご祈願を。が、叶った途端に『あそこは、遠いから』とお礼参りに行こうともしない。神にでも、人にでも、願ったら、頼んだら、その願いが叶おうと、叶うまいと、お礼を言うは、当たり前の事にて。苦しい時には、苦言にも素直に耳を傾けるが、乗り越えた途端、苦言が鬱陶しいものに変わる。こんな人は、同じ過ちを何度も繰り返す。結構おりますばい、拙僧周囲にもこんな人達が、ばさらに。失敗を、苦しみを、辛さを、覚えているうちは、同じ過ちを繰り返さないが、忘れた途端にまた、同じ過ちを。人間は忘れる生き物だが、それを忘れない為の工夫を施しておく事が大事かな。

拙僧の妻と長男(息子)は、出産の時、両者共に命の危険が。その時、命を落としていたら、その日が2人の命日に。その先の長女(娘)、次男(息子)にも、当然の事ながら、会えてはいない。拙僧も当時、26歳。恐らく再婚して、全く別の家族に。言うなれば、その日が拙僧家族の起源にて。その2月22日には、33年経った今でも毎年、神仏、先祖には、御礼報謝のお経を。拙僧の書斎には『2月22』と記した紙を壁に。忘れない為に。


【次の話は昨今の話】

読者20代女性が「住職、私の 婆ちゃんが危うく、電話できた『オレオレ詐欺』に騙されるところだった。他人事だと思ってたが、とうとう身近に。側に私がいたから、難を逃れる事が出来たが、お年寄りは引っ掛かるよね、巧みだもん。何か引っ掛からない方法がないかな、住職」と。「昨今、A I の問題が、既に起こってるってね。人間を観察して学習し、その人になりきり、犯罪を犯してると。特に、有名人が出汁に使われて。人間観察で唯一、A I が真似を出来ないのは、お笑い、だってね。あの『間の取り方』は、無理なんだって。拙僧の法話読者から『住職は、お笑いが好きなんだってな。あんな低俗なもの見てるのか』と偶に言われる事があるが、低俗って、そりゃないよね。様々法話の参考になるんだよね。人を笑わせるって、技術がいるんだよ。人を怒らせるは、簡単だけど」と。

続けて拙僧「話を戻しますが、オレオレ詐欺を回避出来る方法ですが、家族を装っての詐欺なら、古に習って『山、川』とか『月、波』とか。それじゃ、簡単過ぎると思うなら、例えば、拙僧の父の命日が、平成15年7月8日である事より『1、5』その後に『7、8』と掛け合いを。つまり、家族で合言葉を決めておけば、いいのかな」「その手、頂きます」とこの女性が。

次の法話は、7月20日に投稿させて頂きます。