読者女子高生が「3ヶ月程前、友人が自ら命を断ちました。その日(自殺日)の前日、みんなでカラオケに。あんなに楽しんでいたのに。葬式の時、その友人のお母さんが『食事の用意が出来たので、娘の部屋へ呼びに。ドアをノックしたと同時に、ドン、という音が。マンションの自室から投身を。あの音は恐らく、一生耳から離れる事は。家族葬にせず、あなた達お友達を葬儀に招いたのは、あるお坊様(拙僧の事)の法話を読んだからです。その法話には、19歳で自殺された子供の親御さんにご住職(拙僧)が言われた言葉が書かれてありました。 ◦◦◦ 出来うるならば、最期がこうだったからといって、この子の生きた時間全てを否定する様な送り方はして下さいますな。この子もこの子なりに、19年間、懸命に生きて来られたんですから ◦◦◦ なる話が』と言っておられました。住職、質問があるんですが、自殺は永久に地獄って本当なんですか。私の周囲にはそんな事を言う人達が」と。「江戸時代に近松門左衛門という人がいて『曽根崎心中』を発表。で、心中が多発を。阻止する為『自殺は地獄行き』と当時のお坊様達が方便で。結果、自殺者が減少を。現在の風評は、その時の名残り。哀しく他界されて逝った人を、根拠なき憶測で、更に、死者を追い込む様な言葉を向けるは、あかんよな。人間の死は、病気も、事故も、災害死も、突然死も、勿論、自死も、拙僧は全て寿命と考える。1000人近くの葬儀、それ以上の人の『生き死に』に立ち会ってきた結果『この世の役目が終わった人が、向こうの世界に逝くんだな』と、そう思える事が多々あった。自死だけが地獄堕ちなんて、そりゃ、あかんやろ。が、寿命とはいえ、止められるもんなら、止めた方がいいに決まっちょる」と。
更に拙僧、この女子高生に「ある檀家の爺様が拙僧に『時折、先に旅立った父や母、友人達、20代で他界した息子(交通事故)は、今頃何処で何をしてるんだろうか、と思う事がある。住職よ、浄土は絶対にあるよな。向こうに逝ったら、また、みんなに会えるよな』と。対し、拙僧『死んだ事がないから、浄土があるかどうかは、はっきりとは言えんが、拙僧も祖父母、父母には会いたいし、向こうでも家内と一緒に居たいから、そういう場所は必ずあるんだ、と信じたいよね』とその爺様に言ったんだよね」と、この女子高生に。「そうですよね。死んだら終わりは、あまりにも悲しい。そんな場所があると思う方が、いいですよね」と。
因みに、この様な自殺の話は、遺族の要望を受けて、投稿させてもらっています。遺族が投稿を要望される意図は「こんな悲しい思いをするは、私達だけで沢山。子供達のほんの僅かな異変をも、気付いてあげて下さい」と世間に、が、本意のようで。
わが寺にも、自殺をした若者が何人かいます。その内、数人が19歳という年齢。加えて、自殺の原因は、仕事関係、友人関係、いじめ、などではなく、わが寺に限っての事ですが、大半が親子の不仲(家庭環境)にて。年間に何人かですが「死にたい」と、お寺へ相談にやって来る若者(檀家の子供以外にも、拙僧の法話を読んだ方も)がいます。が、相談にやって来る若者は死なない。生きたい、という気持ちがどこかにあるから。死ぬ事(自殺)を決定している人は、他人に邪魔をされたくないから、決行するその日まで、誰にも気付かれない様に行動を。この様な話を投稿すると「自殺を防止する方法はないのですか」という問い掛けが。なかなか難しい課題ですが、その質問者達に「子供は幼い頃から『これは何、あれは何』と疑問を親にぶつけてきます。最初の頃は丁寧に答えてあげていた親も、それが長くなってくると、面倒臭くなってきて、適当な対応に。子供の疑問、抱える問題は、年齢を重ねる内に、切実な問題に変わってきているのに、親は「そんな事、後でいいでしょ。今は、忙しいの」とあしらう様に。それが続くと、子供は親に頼る事をやめ、親に不信感を持つように。相談相手を失った子供は、解決されてない不安が心に溜まり、最後は悲しい結末に。拙僧の経験(相談を受けた)では、このパターンが多いような気がします。
お寺に縁(ゆかり)が深い子供達(幼い頃からお寺に慣れ親しんでいる)なら、家族、友人、先生の中に話す相手がいなくても、お寺に行けば、話を聞いてくれる住職がいる、と。わが寺には、そんな子供達が何人もいます。お寺に限らず、話を聞いてくれる人、場所が、周囲にいるか(あるか)、いないかでは、最悪の状況を回避するに、大きな違いが。
因みに、新型コロナ感染拡大後の小中高生の自殺者が、2020年には、499人(小14人、中146人)。2021年には、473人(小11人、中148人)。2022年には、過去最高の514人(小17人、中143人)と。自分の事だけで精一杯だったここ数年、周囲に自分の思いを話せる相手がいなかったんですかね。人間関係が希薄になってきた昨今、これは大きな社会問題ですよね。
次回の投稿法話は、3月25日です。