1分で読める小さなお寺の法話集

子育て、人材育成に関する法話を実話と歴史から紐解いて書いております。

【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 いよいよ、令和5年の船出となりましたね。今年こそは、どこもかしこも、納まってくれると有り難いですね。人類は分相応に生きるを基本に。

2022-12-31 14:11:10 | 法話
【 明けまして、おめでとうございます。本年も拙い法話ですが、お許し頂けますれば、どうか、お付き合いの程、宜しくお願い申し上げます。正月三ヶ日は、お盆三ヶ日と同義(先祖さんの帰郷)にて、元日はそれに因んだお話をば 、一席 】

年始(今日、1月1日の早朝6時頃)に訪れた檀家若者(男性20代)が「昨今、前世って、あるのか、ないのか、の話題が時折出てきますが、住職はこれを聞かれた時、どの様に答えてるんですか」と。「まずは『知らんがな、前世にも還った事ないし、あの世にも逝った事がないから』と。が、それでは余りにも無責任な回答なんで『じゃ、自然の理屈から、考えてみることにしようかね』とお話を。

続けて、この若者に「オギャーと生まれた時が、全くの『0』から始まるとするならば、皆、生まれた時点は平等で、環境が同じでなければ『この差はいったい何なのよ』と当然、文句を言いたくなりますわな。平和な国、戦争の国。五体満足、五体不満足。優しい親、虐待する親。裕福家庭、貧困家庭と、生まれた途端に『はい、これが、あなたがこれから背負っていく荷物』と目の前に身に覚えのない、地獄、極楽が」と。

更に、若者に「思えば、自分の人生を振り返ってみた時、してきた事、やってきた事、の結果(答え)が今、ここにあるだけ。病気、災害、については『そうかな』と疑問に思う事もあるが。まあ、大半は、この理(ことわり)が目を閉じるまで続くかな。それを考えると『前世でやってきた事の答えが、オギャーと生まれた目の前にある』と考える方が自然なのかな。と、なれば『この世でやった事の精算場所(地獄、極楽)もある』と考える方が、これまた、自然なのかな、と。これが、嘘か誠か、なんて事は、人間は前世にも後世にも行けないのでわかりませんが、この方便を子供達に話すと、見事に生活態度に変化が出てきますもんね。勿論、拙僧の檀家の子供達に限っての事、ですがね」と。

更に、この若者に拙僧「檀家の子供達に『閻魔って、ほんとにいるの』と度々聞かれるが、対し『いたら、どうするや。死んだ後、もし本当に閻魔がいたら。その時はもう、間に合わんぞ。死んだ後、本当に閻魔がいても慌てない様に、この世におる内に、親や祖父母、友達や色んな人に対し、親切にしてたらどうや。嘘をつかず、誤魔化しなどせず、正直に、懸命に、生きていったらどうや。されば、死んだ後、もし、閻魔がいたとしても、堂々と会えるだろ』と。この言葉は結構に影響が大きい。子供だけでなく、閻魔など信じない大人にも。これも一種の危機管理能力の育成かな」と。

最後に、この若者に「この閻魔の話を15年程前、年忌法要に参拝していた中学生の男の子に話した事が。その子供は中学2年の3学期まで、学校でシンナーやるは、先生に注意されると暴れ回るは、と。ところが、この地獄極楽の話を聞いた後、徐々に生活態度が改善を。中2まで全く勉強してないので、その時点では当然、行く高校などないと言われていたが、1年間、懸命に勉強し、私立の進学校に。その後は、東京の有名大学へ。就職が決まった時、1人でお寺にやって来て『住職。あの日の、あのたった1日のご縁がなかったら、私は恐らく、とんでもない人間に。今考えてもゾッとします。お礼が遅れましたが、有難うございました』と御礼報謝に」「そっか。そうなんだよな。前世に、地獄、極楽、か。あるとか、ないとか、そんな事にとらわれる話じゃないんだよね。この話、方便としては、最高に面白い話ですよね。今年の計が決まりました」と。


わが寺の境内から見た、令和5年の初日の出。




拙僧は毎年、大晦日の納めの日の入りに、西の空に両手を合わせ「あなたが1年間、昇ってくれたお陰で、命を長らえる事が出来ました」と御礼報謝を。全ては「有難うございます」から始まりますもんね。

2022-12-30 17:01:48 | 法話
【 今日は、平成4年の大晦日。今年も色々ありましたが『今ここに、命があるに、何不足』ですね。本年も1年間、拙い法話にお付き合い頂きまして、有難うございました。あの手この手と例題を使って、様々な趣旨の分野に適合する様にと、試行錯誤して文章を作り、投稿させて頂きましたが、理解してもらうに至らなかった事も。来年はそこ(力不足)を課題に。それでは皆さま、どうか、良いお年をお迎え下さいませ 】  

読者男性から「住職と同じ様に、今年から大晦日は、納めの日の入りに手を合わせ『あなたが昇ってくれたお陰で、命を保つ事が出来ました』と、頭を下げて、御礼報謝を。明日は初詣に家族と一緒に参詣を。折角ですので、何か、神社にまつわる面白い話はないでしょうか」と。「そうですね。神社入り口に立つ鳥居ですが、鳥居、って『お通り(鳥居)下さい』の意味だと知ってましたか」「へえ、知らなかった」と。「他に鳥居と言えば、やっぱ、山岡鉄舟さんの話が頭に浮かぶかな。鉄舟さんの弟子が『神仏のバチって、本当にあるのですか』と。『どういう事だ』『半年前から、鳥居に小便を掛け続けておりますが、一向にバチが当たる気配がありません』と。すると鉄舟さん、弟子を睨みつけ『もうお前には、バチは当たっとる』『えっ、どんな』『そんな事をしても、恥ずかしいと思わない心が、既にバチが当たっとる証拠だ』と。『バチ』ってね、自分から勝手に当たりに行って、勝手に転げとるだけ。神や仏や先祖が、当てとる訳ではないですよ。人は、自分の行いの恥ずかしさを隠す為に、何かの『せい』にする。その場だけは気持ちが楽になるからね。が、何の解決にもならない。目に見えない物(神、仏、先祖など)は、責任転嫁するには、都合がいいでしょ」「そうですね。1年を振り返ってみると、私も随分、責任転嫁してきた様な気がします。来年は、そこを考え直します」と。

【子供に教わった事】
人間の勝手な基準といえば、常にこの話が脳裏に。数年前の話。保育園の先生が「住職、園内でね、蜘蛛の巣に捕まっていた蝶々を『可哀想』と助けたら、園児から『蜘蛛が可哀想じゃないか。蜘蛛もご飯がいるのに』と怒られました。思わず『はっ』と。私は気づかないうちに『蝶々は、可愛い、愛おしい』と『蜘蛛は、醜い、怖い』と勝手な基準を。『園児達にも同じ基準で対応してたのでは』と少しゾッとしました」と。

今1つ話を。檀家の爺様が「住職よ、曾孫(男子小学生)を連れて、神社へ参詣に。そこに煙草の吸殻が落ちていて、思わずムカっときて『不届者が。常識を知らんのか」と怒りの大声を出すと『カラスが咥えてきて、落としたのかもよ』と曾孫に言われ『はっ』と。『そうだよな。見てもないのに、人がやったと決め付けちゃいかんよな』と。すると、曾孫が拾ってゴミ箱へ。ちっちゃいのに教わるとはな、住職」と。


投稿写真は、何年か前の、大晦日の納めの日の入り。


【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 頭の高いという人間に、力のある者は少ない。弱い犬ほどよく吠える。本当に強い人間は、弱い人を黙って支える。

2022-12-29 16:56:10 | 法話
【 夫婦は家庭の要にて。夫婦がお互いを尊敬し合い、助け合い、労り合って生きる姿を見て育った子供は、やはり違う。躾(しつけ)は、するものじゃない。躾は、見せるもの 】

檀家男性が「住職。さだまさしさんの『関白宣言』に『俺の所へ家を捨てて来るのだから、帰る場所はないと思え』の歌詞があるでしょ。が、結婚して僅か1年後には、家内から『もし、浮気などしようもんなら、帰って来る場所は、ないと思えよ』と、釘を刺されました。20歳前後になる子供達に、その事の愚痴を言うと『何が、軒を貸して母屋とられる(母さんに)、だよ。自業自得だよ。する(浮気)とわかっていたから、母さんに釘を刺されていたんでしょ、結婚して僅か1年目に、父さんは。捨てられんかっただけでも、有難いと思わにゃ』と言われましてね。確かに、魔が刺したんだよな、家庭が安穏だから」と。「安穏だから、浮気をしたの。そりゃ、奥さんに対する甘え以外、何者でもないわな。あかんわ」と拙僧。

この檀家男性に「あなたの子供達は、しっかりしてそうだね」と。「私の子供にしては、ですね。住職の子供さん達は、どうですか」「そこそこかな」「どの様な教育を」「浮気の話、はぐらかそうとしとるな」「いや、そうでは」「完全放任主義、責任は全て自分、が基本でしたね。今年の春、結婚した拙僧の娘は来春、母親に。子供達を育てたと同じ様に、孫にも一切、口は出さない様にするかな。親じゃなく、孫の方から相談に来た時だけ、答えてあげようと思ってます。子供は親が育てるもの、ですもんね」「そっか。それにしても、住職のご夫婦は仲がいいですよね」と。「先日、対面に座って、食事の用意をしている家内を見ていると、頭に白いものが増えたな、と。20歳でお寺に嫁いできて、3人の子を育てながら、お寺の裏方仕事に、離婚で母親なき拙僧を育ててくれた祖父母の世話を、最後まで。その後、父の癌闘病、父再婚相手(義母)の癌闘病の世話を。今は家内の父母をお寺に同居させて、家内が世話を。最近、家内は『よいしょ』と声を出して、立ち上がる事が多くなってきましたね。晩年は自分の為に、時間を使ってほしいですね」と。

【余談】結婚後、態度が急変した檀家男性に、拙僧「奥さんが、赤ちゃんの世話をしている時に『シャンプーが空、トイレットペーパーがない、風呂が沸いとらん』と、文句ばっかり言ってるそうだな。全部、自分で出来る事じゃないか。文句言いは、自分以外の誰かが動くもんだと、勝手に決めとる。人を当てにするから、文句が出るんだ」「嫁さんから愚痴を聞いたんですか」「聞いたから、注意してるんだよ。子供も奥さんも、君の所有物じゃなかぞ。頭の高い人間に、力のある者などおらん。力がないから威張って威嚇してくるんだ。弱い犬ほどよく吠えると言うだろ。本当に力のある人間は、黙々と弱い人を支えとる。君が幼い頃から、ずっとこの事は話してきたはずだが」「すいません。考え直します」と。







【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 檀家の中学生が「人間が地球上で生活をしてもいいと、許されている領域って、どこまでなんだろう。どう思う、住職」と。

2022-12-28 21:31:54 | 法話
【 石川五右衛門が辞世で「浜の真砂は尽きるとも、世に盗人の種は付きまじ」と。1人の人間の誕生と共に、1つの新たな欲もまた、この世に誕生を。政治は、人間の欲を相手の仕事にて。シーソーの様に、どちらかが上がれば、どちらかが下がる、そのバランスをとるが、政治の仕事かな。大変な仕事であるに、間違いはないよね 】

檀家の中学生男子が「どうして、国と国は、仲良く出来ないんだろ。国民レベルでは、皆、仲が良さそうなのに。国と国の喧嘩というより、どう見たって、トップ(主席)同士の喧嘩(欲の張り合い)でしょ。それに民衆が巻き込まれて(洗脳も含)、尊い命を。住職が時々法話で『自分の物でないから、死んで逝く時、伴侶も、子供も、家も、土地も、お金も、何もかんも、この世に置いていかにゃならん』と。その国のトップも、いつかは死んで逝くのに、何をそんなに執着してんだろ。実績かな、名誉かな、と。

この中学生に「某田舎町で拙僧、地鎮祭の最中、すぐ近くの家で爺様同士が鍬を振り上げ、大喧嘩がおっ始まった。どうも、農具(鎌)がほんの少し、片方の爺様の土地に入って置かれていたが、喧嘩の原因と」「えっ、そんぐらいの事で」と、この中学生が。「恐らく、積年の恨みが、爺様同士であるんだろうな。隣同士は利害関係が直だから、些細な事で揉める事が多い。国家間もやはり、隣国同士は難しいかな」と。

この中学生が「住職さ、僕、偶に思うんだけど『人間が地球で生活する事を許されている領域って、どこまでなんだろか』と。自力で呼吸が可能な範囲と考えるなら、歩いて登頂出来る8848メートルのエベレストまでかな、とか。下は(海底)は、素潜りが出来る深さまでかな、とか。なんにせよ、人(部外者)が踏み込んではいけない領域って、あるはずだよね。親子や夫婦の間でも、踏み込んではいけない領域がある様に。どうしてもその領域に用事があるなら、そこで生きている生物には、迷惑を掛けちゃいけないよね」「そうだよな。地球は人類だけの物と言わんばかりに、高飛車に構え、圧倒的に多い他生物(地球の生物の7割は昆虫)の存在を無視。好き放題してきたツケが今、大自然からの報復(地震、台風、ウイルス、など)という形で、欲深い人類に鉄槌を、かな。これだけ方々の藪(やぶ)を突きまくりゃ、そりゃ、あっちこっちから、蛇も出てくるわな。分相応に生きるという事を、もう大概、学んでもいい様な気がするが、人類は」と。




【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 キラキラネームが全て、親の軽々な遊び心で付けた名前、ばかりではないでしょうからね。名前は一生背負うものだから、際立ったのは。

2022-12-27 17:14:20 | 法話
読者高校生が「ヤフーニュースで、当年21歳の男性が、17歳の時に自分で手続きを取り、18歳で審査が通り、キラキラネームを改名したという話が。法律では15歳以上であれば、親の同意なしに、費用は3000円程で改名する事が出来ると。改名の理由が納得出来るものであれば、との事ですが。その男性の改名希望の理由は『ちゃんと教育を受けてなさそう』とか『親が馬鹿そう』とかの偏見を受けそうだから、と。が、親はそんな親ではない、と。だが『将来において、就職や結婚の時、嫌な思いをしそうな気がして』と。その男性のキラキラネームは、母親が付けたとの事ですが『改名した』と息子(この男性)から告げられた時に『何で』と、母親に大泣きされたとの事。恐らく、この母親は、ミーハーな気持ちで、名前を付けられた訳じゃないんでしょうが」と。

続けて、この読者高校生が「この男性の気持ち、わかるんだよな。実は、僕もキラキラネームなんだ。本心を言えば、恥ずかしい以外に何もない。いちいち読み方を教えないと、誰もまともに読んではくれない。読めない人達は、僕に気を遣って、苗字で呼ぶ事が多い。ただ、この男性と違うところは、僕の両親共が完全なミーハーで、やる事なす事が全て軽々しい。『15歳以上なら、親の同意なしに改名可能』の情報は、僕にとっては大きな助け舟に。しっかりと考えて、どうするかを決めたいと思います。ところで、住職のところには、この様な(改名)相談はあるんですか」「あるよ」と。