1分で読める小さなお寺の法話集

子育て、人材育成に関する法話を実話と歴史から紐解いて書いております。

【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 福岡世界水泳大会で、ハイダイビングに出場された荒田恭平選手は、練習場所に東尋坊を選ばれたと。詳細は、この投稿の本文で。

2023-09-04 07:04:31 | 法話

【9月5日投稿分】


読者高校生男子が「住職ね、僕の両親ですが、胡散臭い僧侶に『あなたが苦しいのは、先祖の祟り』と脅され、そこに行く度に高額供養料、祈願料を。何度お祓いに行っても、全く進展がないのに『おかしい』と気付かない親の方もどうかしてるよ。だいたい僕の親は、何でもが人に責任を転嫁する人達で『俺がこうなったは、あいつのせい、こいつのせい』と。いやいや、あなた達のせいだよ。原因が自分達にあると、本当はわかってるくせに、認めないんだよな。何かのせいにすれば、その場だけは楽になるからね。だけど、何の解決にもならないよ。先祖のせいなんかじゃないよ、自分達の生活態度に問題があるんだよ」と。


続けて、この高校生が「お笑いの竹山さんがラジオで『人間が地球に現れて数万年に。悪人が悪霊になったと仮定しても、とんでもない数になってるはず。そう考えると、この世に出てくる悪霊の数が、少な過ぎだろ』とキレてた。この見解ですが、非常に納得なんだけど、住職、そう思わん」「だよね。拝み屋さんの数しか、出てきてないもんな。拙僧の周囲には、悪霊さんだが、未だ嘗て、1度も出てきた事がないんだよな」と。


更に、拙僧「悪霊を信じてる人達なら当然、閻魔も地獄も信じてるはずだよね。悪霊になる様な人(故人)なら当然、その地獄とやらで閻魔と接見し、怒られてるはずだわな。その人(悪霊さん)がまた、性懲りも無く人間界に足を運んで悪さしてるを、閻魔は『おう、おう、やれ、やれ』と、見て見ぬ振りして好き勝手にさせてるのかな。もしそうなら、閻魔の存在価値なんてないやん。という事はくさ、悪霊さんなんていない、という事だよ。『あなたの先祖が、あなた達(子孫)を祟っとる』と拝み屋さんに言われ、それを信じるという事は、先祖に祟られる様な事を、何かしでかしたから、身に覚えがあるから、信じるのかな。何が哀しゅうして、我が子孫を祟る様な先祖がおろうかいや。先祖を愚弄するも大概にせにゃ。あの世でご先祖達が『私がいったい何をしたというんだ』と頭抱えてまっせ」と。


対し、読者高校生が「だよね。失礼だよね」と。返して、拙僧「中には『自分の先祖ではない悪霊が、襲ってくる事もあるんじゃないか』と返してくる拝み屋さんもいそうだが。昨今は人間の世界でも『誰でもいいから、やっちまえ』が、ちらほらと出てきてはいるが、その昨今でも、襲う理由は『遺恨(うらみ)』が根本にて、自分と何の関係もない人間を襲うは、滅多にはない事。悪霊が本当にいたとしたら、の話だが、その世界でもそうじゃないのかな。全く縁もゆかりもない人を、悪霊さんが祟る理由がないわな」と。


続けて、この高校生に拙僧「だけどさ、ここのところ、昔と比べて随分と夏の風物詩である、幽霊関連のテレビ番組が減ってきたよね。日本人も大概気付いてきたのかもしれないね、先祖を愚弄する様な事は、失礼な事であるという事が。それか、その手の番組に飽きてきたか、だね。テレビ局側も、視聴率の取れない番組は、作らないもんな。今年の4月、第210回の国会で罰則(懲役、罰金)を含む法律『不当寄附勧誘防止法』が成立し、施行される事に。『悪霊、先祖が祟っとる。除いて欲しくば、金を出せ』を出来なくさせる為に。やっと、やっと、信仰界にメスが入ったよね。この手の相談だが、今日までに拙僧、どれ程に受けてきただろうか。この法律で少しは、被害に遭う人が減るかもしれないね。今から1100年前、室町時代に一休宗純さんが『欲を捨てよ、という側から、拾うてまわる寺の坊主』と言ったとか、言わなかったとか。まあ、でも、一休さんなら言いそうだけど。その時代から坊主は、そうだったんだろうね。石川五右衛門さんの『浜の真砂は尽きるとも、世に盗人の種は尽きまじ』も同じ意味合いかな」と、この高校生に。


さて、次の様な話(相談)も年に1、2回、拙僧のところへやって来ます。先日も、ある拝み屋さんから「この家は不動明王を祀っておろうが。その為に家の中に入れんと、お前の先祖達が玄関先で怒り狂っとるぞ」と言われ、高額お祓い料を支払い続けている、という婆様が拙僧の寺へ相談に来られました。その婆様に「拙僧のお寺に来る時、その怒り狂ってる先祖達が、待ち構えている玄関を出てきた訳ですが、何かされたね、その先祖達に」「いや、何もされなかった」「そうね。じゃ、この話は終わりだね」と。


【余談】

これは、今年の8月下旬の話です。拙僧の知人が「住職、仕事で福井に行くなら、東尋坊には寄るの」と。「寄れたらいいね」「自殺の名所なんでしょ。霊に祟られるんじゃないですか」と。「あのね、何で、いつも、いつも、そういう発想になるかな。悲しく亡くなって逝かれた人に、更に、追い打ちを掛ける様な、心無い言葉を投げ掛けるは、失礼にも化け物扱いするは、やめや、と言ってるでしょ。福岡世界水泳で27Mのハイダイビング競技があったが、日本の参加選手はただ1人で、日本人では初参加だったらしいよ。その参加選手が練習場所がなくて、東尋坊で高飛び込みの練習を。もし、霊がそこにいたとしてもくさ、応援してくれてるよ」と。対し、この知人が「自殺された人達が、応援するんですか」と。「あのね、霊がそこにいたと仮定の話だよ。辛い思いして命を絶たれた人達が『自分と同じ目に合わせてやる』なんて考えるもんか、目の前で懸命に頑張ってる人に対して。『怪我をしない様に』と、見守ってくれてるくさ。それと、様々方々から文句が出てきそうだから、付け加えておくが、東尋坊を練習場所として選ばれたも、国内に27m(ビル9階相当、着水時速87キロ)の飛び込み台と、それを受け止められる水深のプールがない、が理由だったとの事らしいよ。それに、当然、許可も取られてるくさ、自殺名所の東尋坊だよ」と。因みに、荒田恭平さん(当年27歳)の福岡世界大会の成績は、20位だったそうです。日本人初の挑戦だから、ご本人もこれからですね。


因みに、2004年4月から、東尋坊での自殺防止のパトロールを目的に、有志団体(元警察官など)が NPO 法人(詳細はググって下さい)を立ち上げたとの事。初期の10年間の平均自殺者数は、年に約25人だったそうですが、現在は、半分以下の10人程度にまで減少してきたとの事。事前に自殺防止が出来たは、18年間で745人と。この話(東尋坊関連)は、X(元Twitter)のみに投稿した法話ですが、当人の荒田恭平さんから、投稿後即「取り上げて頂いて有難うございます。東尋坊の印象も変えられるかな、と思って」と、ご丁寧な返信メールを頂き、びっくり致しました。偶然でしょうが、読まれたんでしょうね。『東尋坊は、飛び込みの練習が出来る場所ですよ』と世間に知れ渡ったら、随分と印象(自殺の名所)が変わるは、確かでしょうね。


【追伸】

読者が「住職は、脅し信仰に関する相談は、どの系統が多いですか」と。対し、拙僧「ポピュラーなのは、やはり『信仰を止めたら、何年以内に死ぬぞ、病気になるぞ』の脅しかな。人間の死亡率は、100%なんだよな。拡大解釈すれば、そりゃ、いつかは当たるわな。が、釈尊も達磨も各祖師も、脅して導いたなんて話、聞いた事ないよね」と。


次回の投稿法話は、9月10日になります。





【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 産んで、育ててもらった親を、最後の最後に、ゴミ処理扱い。そんな光景を見て育った子供達が、どう育っていくかは。

2023-09-03 03:22:20 | 法話

 この法話は、昨年7月1日に投稿したものです。お墓(遺骨の今後)についての相談は度々ありますが、その1例を過去の法話から、ここでご紹介を。それにしても、親の遺体を「要らん」と言って、病院に受け取りに行かなかったり。親の臨終を知らせてこられた福祉の人に「骨にして持って来い」と指示したり。葬儀をせずに、病院から直接火葬場に遺体を持って行き、遺骨をそこに捨て置いてきたり。ご丁寧に埋葬許可証を抜いて(住所が書いてあるから)、野原や電車の中、家庭用生ゴミ置き場に遺骨を捨てたりと。そんな様子を見て育った子供達が、命の尊さをどうやって知る事が。嘗て、ある中学生が「なんだ、人間って、死んだらゴミ捨てか」と言った言葉は、今でも耳から離れませんね。非常に残念ではありますが、上記の話(看護師協会の講演を受けた時、看護師さんに聞かされた話も含む)は全て、拙僧の目や耳に入ってきた実話です。今月の秋の彼岸月も兼ねて 】

 


SNS の法話読者や檀家さんの中には「今度、生まれ変わったら」と、今生を諦めたかの様に、来世に希望を委ねる人が、少なからずおられます。その様な人達に対し拙僧「生まれ変われるかもわからないし、生まれ変われるとしても、どのくらい先かもわからないし、死ぬまでは、この世に生きておられるのだから、来世などと言わず、今、生まれ変わったらどうですかい」と。明日からする、来年からする、今度する、後でする、という人に限って動いた試しは、ないですもんな。動く人間は、今すぐ動く、まず動く、ですもんね。


さて、拙僧の知人女性は3姉妹の末っ子で、上2人は結婚して子供も。が、この末っ子女性は、先祖代々のお墓が気になり、結婚に踏み切れずにいるという。そこで拙僧「菩提寺のご住職に頼んで、墓終いをしてもらったらどうね。遺骨を納骨堂に入れてもらって、永代供養をしてもらったらどうだい」と。対し、この女性が「お墓の中には、10体以上も骨壷があって、菩提寺の納骨堂に入れてもらえるでしょうか」と。「わが寺にもあるが、納骨堂所有のお寺には、永代堂(合祀墓)を持っているところもある。それを聞いてごらん。それと、墓石屋さんには昨今、粉砕器というものが置いてあり、遺骨を粉にすれば、10体の遺骨も、1つか、2つの壺にまとめられるよ」と。


更に、その女性に「以前、君と同じ荷(お墓)を背負ってた女性が、その荷(お墓)を降ろせた事で、頑なに結婚を拒否していた心が動き、49歳で結婚、運良く51歳で子供を授かった、という事例が。こういう話をすると『そんな成功例を出されても』という人達が出てくるが、そういう成功例もあるという事だよ。何でもがそうだが、自分が諦めた時点で『もしかしたらの宝』も失う事になる」「そうですね、考えてみます」と、この女性が。


考え方を変えてみます、ではこんな話も。ある読者女性が「住職が度々事例を出して『人間、ジタバタしたって、死ぬ時は、死ぬ。死にとうても、死ねん。人間は必ず、寿命にて』と。私は自殺未遂を2回も。息絶える寸前、考えられないタイミングで第三者の助けが。『寿命が来なけりゃ、死ねないのなら、死ぬ事よりも、生きる事に目を向けよう』と、住職の法話を読んでいて、考え方を改めました」という手紙が拙僧に。


ジタバタついでに、話をコロっと変えますが、中国が日本からの魚介類全面輸入停止について、先日、専門家が「別に慌てる事はない。年間約1700億円の損失というが、日本人が1ヶ月に1回、回転寿司で1皿(150円以上)多く食べれば、補える額にて」と。まあ、それでも、中国人であれ、日本人であれ、心配する人は一定数は存在するでしょうから、政府はそれなりの説明をしていく事は大事でしょうね。漁師さん達にとっては、死活問題であるに、間違いはないでしょうから。


次回の投稿法話は、9月5日になります。