【11月5日投稿分】
今年(令和6年)も早いもので、あと2ヶ月程になりましたね。11月、12月は毎年、お寺も拙僧も、方々への御礼報謝の時期となります。一昨日の11月3日は、わが寺におらっしゃいます鬼子母神さんの法要が行われました。この神さんは実在した女性と言われておりまして、本当の名前は『訶梨帝母(かりていぼ)』と言って、なんと、数百人の子供がいたとの事。その子供達を育てる(お乳など、栄養を得る為)為に、他の子供を食らっていたと。まあ、でも、こりゃ、どう考えたって、嘘(方便)ですわな。恐らく、恐らくですよ、いつの時代でも母親というは、我が子を守る為には、他人の子を蹴散らしてまでも。それが度を超したんでしょうな。お釈迦さんに呼び出され、しこたま怒られて改心を。改心した後は、お釈迦さんを守護する為に、鬼子母神という神に。
さて、その『鬼子母神』ですが『鬼』という字には『田』の上に『丶(点)』を付けない『鬼』を書きます。つまり、改心して鬼の角がとれた、という事の様で。鬼子母神さんには2種類あって、わが寺の鬼子母神さんは、如来型(天女型)でお優しいお顔をされておられますが、日蓮宗の鬼子母神さんは『法華経の守護神』の役目を担っておられるという事から、厳しいお顔をされている鬼神型にて。鬼の形相となると、そっち系を好きな人達が勝手に祟る対象物にして、怖い存在にしてしまいますが、懸命に誰かを、何かを守護しようとすれば、そりゃ、あんなお顔になりますわな。人間の迷い、煩悩を取り除いて、懸命に救おうとされている不動明王のお顔が、ああ(忿怒の形相、ふんぬのぎょうそう)である様に。あの怖い、厳しいお顔を見た時に私達は『人間も一生懸命になれば、自ずとあんな顔になるはず。あんな顔になるまで、お前さんは懸命に、何かに打ち込んだ事があるか』と自分に問い掛けた事がありまっしょうかな。まあ、如来型であろうと、鬼神型であろうと、どちらにしても鬼子母神さんは『病気平癒、子授け、子育て』にご利益があるとの事。
わが寺も、鬼子母神さんがお座りになられて随分になりますが『子授けや、子供が真っ直ぐ育つ様に』と多くの人達が願掛けに参拝して来られました。中でも、最も思い出深い出来事といえば、檀家の50代母親が「住職(拙僧)、もう7年も、娘の子授け祈願をしてるのに、一向に授からん」と憎々しい顔で文句を。その母親に拙僧「お母さんよ、あなたが子供を産むんですか」と問うと「何を言ってんの。娘に決まってるでしょうが」と不服顔で。「なら、なんで、本人が足を運んで来ないの。自分の願いを人に預けて、自分はのほほんとして。娘さんですが、本当に子供が欲しいの。神仏だから、いつでも門を開いて、待っていてくれはりますが、これが、頼む相手が人間だったら『なんという真剣味のない奴や』と、こうなりまっせ。人を頼ってばかりいる人間を、人はいつまでも助けてはくれん。本当に子供が欲しいのなら、自らが足を運んでくる様に言っといてちょうだい。来る気があるなら、娘さん1人でなく、ご主人も一緒に、と。『赤子世話🟰母親』と、とんでもない勘違いをしておる主人が、世の中には偶にいますからね」と拙僧、その檀家の母親に。
母親の話に耳を傾けたか、次の日に娘さん夫婦が、鬼子母神さんのところへ参拝に。その後は、3日に1度は夫婦で必ずお寺に足を。すると、半年後、めでたく懐妊を。娘さん夫婦が「住職さん、すごいですね、8年も授からなかったのに。こんのものですか」と。対し拙僧「知らんがな、偶然かもしれんよ。まあ、言うなれば、鬼子母神さんに願った事で、君達夫婦の心の中に、特に娘さん、あなたの心に『これで力を貸してもらえるかもしてない』という期待感が免疫を向上させ、子供が授かり易い体質に変わっていった、というが本当のところだと思うよ。信仰とはそういうもの(後押し)だよ。ただ、君達夫婦は偶然とは思わない方がいいかもね。命というものの意味を、ここで真剣に考える事で、今後、老いていく親への対応も、自ずと深いものになるから」と拙僧。この娘さん夫婦ですが、授かれたは、この子1人だけにて。所謂『間に合ったな』というところですかね。『縁に出会って、縁に気づかず。縁に気付いて、縁を活かせず』という言葉がありますが、縁に出会った後、その縁に気付いて、その縁を活かすは、本人次第ですもんな。
さて、次の話は余談ですか、50年以上前に、2組のご夫婦が子授け祈願を。1組目のご夫婦は医師から「ご主人には子種がない」と、はっきり宣告を。そのご夫婦に拙僧の父が「何万年も昔から1つの命を、バトンタッチの様に繋いでくれたお陰で今日、私達はこの世に生を。本当に子供が授かりたいなら、納骨堂に眠るご先祖さんに日参(毎日参拝)して願いなさい」と。それから10年以上も毎日納骨堂へ。すると、男の子を2人も。2組目のご夫婦は、拙僧の父から「人はその土地を縁にして生まれてくるもの。近くの氏神(八幡さん)さんに日参(毎日参詣)して『あなたの子供を私達に育てさせて下さい』と願ってきなさい」と。すると3年後から、次々に3人、男の子が誕生を。この2組のご夫婦も恐らく「懸命に願えば、力を貸していただけるだろう」の期待感が免疫を向上させ、子供が授かり易い体質に変わっていったが、本当のところだろうと思います。当然の事ながら、神頼みだけではないですよ、医療の方もしっかりと受けられての結果です。しかし、簡単に10年、3年と言いますが、毎日参拝ですからね、余程に子供が欲しかったんでしょうね。この2組の夫婦の男の子達は今、皆々、50歳を超えておりますが、ほんの半年程前に話の流れから拙僧、この事(子授けの経緯)を口にすると皆々、その事を知らなかった様で「親のそんな思いを受けて、私達は生まれてきたのか」と、言葉をなくしておりましたね。
この2組のご夫婦の他にも、懸命に不妊治療を為し、子授け祈願をされたご夫婦は何組もおられました。いや、今現在もおられます。が、その中には残念にも、授かる事が出来なかったご夫婦も。なれど、その様なご夫婦の大半は「あれだけ懸命に治療も、ご祈願も。恐らく私達夫婦には、子供の縁が薄かったんでしょうね」と、それなりにその結果に対し納得を。どんな事でも、後々に後悔している人達を見ると、その当時に動いてない人達が多いかな。「もし、あの時、動いていたなら」という、悔やみの言葉をよく聞きます。
子供は授かり物にて、よって、親の所有物と考えたらあかん。所有物と考えるから、自分の夢を押し付け、歯車が狂う事に。七五三にお宮さんへ参詣に行くは「あなたから預けられた子供を、この歳までこの様に育てました」と、神さんに披露しに行く行事にて。そして、神さんへの披露の最後が成人式。この時、成人した子供を見て神さんが「この親に預けて、正解だったのかな」と思われん様にせんといかんですな。新生児の誕生と同時に、新しい親もまた、同じく誕生を。両者共(赤子、親)に、ピッカピカの1年生にて。親は懸命に赤子を育てておりますが、赤子も懸命に親を育ててくれております。後から生まれてくる、自分の弟や妹の為に。ど素人から、育てるプロになってもらおうと。考えたら、育ててもらった経験しかない者が、育てるんですからね、そりゃ、戸惑うし、大変だわ。
これは余談ですが、鬼子母神さんの法要後のお接待の時間に、ご老人達との会話の中で『終活』の話が出てまいりまして、みんな「ああしておかにゃ、こうしておかにゃ」と各々の考えを和気藹々と。その中で1人の爺様が「終活なんぞ、そんなのはせんでよかばい。子供に迷惑が掛かりそうなものだけ、片付けときゃ、それでよか。この世から消えてなくなる者が、そんな仕分けをしてどうなる。いらんこったい。わしらが仕分けをしたのを、子供達がまた、仕分けよるわい。子供らが自分達にとって、必要な物は残し、不要な物は捨てよるがな。わしらは、死ぬまで生きとかにゃならんから、今まで使ってきた物を大事に使って、最期は仕分けする費用を子供らに残して『ほな、さいなら』で終わりったい」と。そんな考えも、あり、かな。
【付録】
拙僧はこれまでに、約10年間でSNSに3000話の長短法話、また、法話の本を3冊、世に出させて頂きました。そのご縁がきっかけとなり、テレビ(約半年、週1回)、ラジオ、新聞、雑誌などや、教育委員会、学校、幼稚園、病院、老人ホーム、デイサービス、町内会老人の集い、倫理法人会、他宗寺院、葬儀斎場、社員研修などへの講演(北九州在住の拙僧が、遠方では九州南部、関西、関東、北陸、東北まで。尚、檀家は千葉県にも)にも呼んで頂き、方々で法話交流を。あらゆる話とまでは言えませんが、様々なジャンルである程度(仏教仏事系の他にも、癒し系、漫談系、人生系、目から鱗系、子育て系など)の話が出来ると思いますので、何かのお役に立ちそうでしたら、時間調整の許す限り、集いの大小問わず(参加者数人でも)足を運ばせて頂きますので、お気軽に、facebook、X、Instagram のメール(コメント欄)で、お声を掛けてくださいませ。勿論、この様なお話でいいなら、でございますが。拙僧も今年で62歳です。父親の他界年齢を基準にすれば、あと僅かに10年。これより先の残された時間は、1人でも多くの人のお役に立てれば、との思いです。『今、自分に出来る事を、今やる』ですね。
下記で拙僧の過去の法話を読む事が出来ます。興味がございましたら、是非。
金剛寺ブログ :https://blog.goo.ne.jp/junko-0808
金剛寺ツイッター :https://twitter.com/kongouji093
金剛寺フェイスブック:https://www.facebook.com/天徳山-金剛寺-1543297575974719/
拙僧が持つグループ「出会うは運命、出会ってからは努力、最後は感謝」
金剛寺インスタグラム:https://www.instagram.com/tentokuzan_kongouji/?
【追伸】尚「法話が長い」と不快感を示されておられる方々には、大変心苦しく申し訳ないので、拙僧の法話が目に入らない様に『ブロック』をさせてもらっております。楽しみにされている方々もおられますので、ご理解頂きまして、それでどうか、ご容赦くださいませ。
次回の投稿法話は、11月10日になります。添付の写真は、わが寺の鬼子母神さんの御礼報謝の法要(11月3日)。その前にお立ちは、聖徳太子の稚児さんです。参拝者さん達へのご接待は、カレーライス。鬼子母神さんがインドのご出身という事からその様に。はい、その通りです、単なるこじつけです。カレーライスは特に、子供達が喜んでくれますので。2杯も、3杯も、食べて帰られる子供さん達も。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます