【10月15日投稿分】
知人の30歳男性は、所謂、オタク、という訳ではないのですが、理科系大、理科系大学院卒のバリバリ理系人間でして、様々な分野で豊富な知識がある事から、どうしても蘊蓄が先に口を突いて出る為、老若男女問わず、この男性の人となりを熟知してない人から敬遠される傾向が多々ありまして。よって拙僧、ほんと、偶にですが、この男性の心を傷付けない様に注意をする事がありまして。そういう一風変わった性格以外は、本当に誠実で、真面目で、申し分ないのですが、拙僧も含め、ご両親も、ご兄弟も「この子(男性)は、女性とのお付き合いも、結婚も、恐らく難しいだろうな」と、半分諦めの境地に。
ところが、ところが、ですたい、ダメ元で拙僧が「果報は、寝て待ってても来ないよ。自分で牡丹餅作って、棚に上げておかにゃ、落ちてくる事もなかぞ。結婚したくない、結婚に興味ない、というのなら仕方ないが、そうじゃないのなら、婚活に申し込んで、自らで道を開かにゃ」と、この知人30歳男性に。すると、何と、何と、自ら婚活に申し込んでこの度、お付き合い出来る女性をゲット。周囲は皆、おったまげてしまって。
お付き合いが始まって1ヶ月後、この男性が拙僧に「話がある」とお寺へ。「住職、彼女さんからプレゼントで財布を頂いたので、お返しをしなきゃ、と思ったのですが、何を返したらいいのか、見当もつかないので『若い女性達が好むお店』でググって、早速そのお店に。女性店員さんに相談すると『頂いたお財布から考えて、1万円前後のネックレスが妥当ではないですか』と進言されたので、それを購入して彼女に。手渡した次のデートの時、彼女がそのネックレスを。気付いていたのですが、会話が弾んだ事で、口に出す事を忘れてしまって。その次のデートの時、彼女の首には、もうそのネックレスは。『この前のデートの時、あのネックレスを付けてきてくれてたね』と言うと、彼女が小さなため息を付いて『別にいいけどね』と返されまして。やっぱ、まずかったですかね、住職」と。
対し拙僧「君は基本、口数が少ないもんな。その事が悪いという訳ではないが『阿吽の呼吸』とか『つうかあの仲』なんて言葉が、この国にはあるだろ。だが、人間は言葉を口に出さないと、気持ちは伝わらんのよ。折角、口を持ってるんだから、使わにゃ。君は蘊蓄を話す時には、よく口が回るのにな。ところで、その蘊蓄だが、彼女にやたらめったらにやってないだろうな」と問うと「一応、私も気を付けてますよ。でも、偶にやる事が」「その時の彼女さんの反応は、どうよ」「それが、ニコニコしながら、聞いてくれてるんですよね。だから、一緒にいて居心地が。ただ、結婚後は、どうなのかな、という思いはあります。住職、少しでいいですから、結婚生活の具体的な参考例があれば、教えてもらえますか」と。対しこの男性に「夫婦関係、親子関係に限らず、基本、人間関係は『割り切れないものを無理矢理割り切って、わが心と折り合いを付ける事』かな。長年の間、これをお互いがやっていくうち、知らず知らずに『似た者夫婦』という境地に。じゃ、掻い摘んで、将来、君の参考になるやもしれない話をしてあげようかね」と拙僧。
《例題 1》
この男性に「結婚10年を超えたご夫婦がいて、浮気が原因で家庭内孤立のご主人が拙僧に『確かに、浮気をした私に非が。だけど、疲れて家に帰っても、お帰り、の言葉もなく、風呂も夕食の用意も。偶に夕食が用意されていたとしても、即席物かスーパーの惣菜。掃除もせず、家の中は汚れっぱなし。昼間は度々友人とランチへ。お金遣いも荒い。実家に入り浸り(それを諫めない親)で、私の親の家には全く顔を。そこに、心癒される女性が。救われたんですよね、心が』と。が、流石にご主人の言い分だけでは、と思い、奥様の方の言い分も長い時間を掛けて聞いてみたが、この夫婦のケースに限っては、ご主人の方が気の毒だったかな。『人がそう動くからには、そう動くだけの理由が、必ずある』が基本だよ。だから、一方的に相手を批判せず、何故この人は、そういう行動をとったのかな、と深く考えてみる必要がある。喧嘩は両成敗だもんね。6対4、7対3、8対2、9対1、の割合はあっても、全面的に相手が悪いなんて事はない。これが、この話の教訓だよ」と。
続けてこの男性に「結婚相手の相談を若者達に受ける事が結構にある。その時には拙僧『結婚相手を決める時には、女性なら彼氏の父親を、男性なら彼女の母親を、じっくり見てから結婚を決めなはれ。親が作った家庭環境の中で、その親が育ててるんだから、親に似た人間が出来上がってる確率が高いは、当然の事にて。また、結婚してもいいかな、と思える男性が出来た時には、必ずその男性の家には足を運びなさい。その男性の父親が母親を、どの様に扱っているかをじっくりと確かめて来なさい。結婚後(将来)のあなたの姿(状況)が、その男性の母親を通して見て取れるかもよ』と、その様に助言をしてる。この話には当然の事ながら、例外(親を反面教師として成長)も沢山あるけどね」「そんなに親に似る確率は高いですか」とその男性が返してきたので「悪いところも、良いところもね。長年の間、数多の親子を眺めてきて、子供の頃は親の諸行を批判していたのに、親の歳になってみると、親と同じ事をしている子供は結構に多いかな。人間は見てきたもの、聞いてきたものが、知らず知らずに身に付いているからね。そうならん(家庭不和、夫婦不和)為の教訓が沢山、この話の中には入っているから、じっくりと読み取ってごらん」と。
《例題 2》
この知人男性に「ある雑誌でこんな話が目に入ってきた。ある小学生の男の子が作文で『祖父母の注意を全く聞こうとしないお父さんが、親の言う事を聞け、と僕に言う。人を誹謗中傷するな、人には優しくしろ、と言うお父さんが、お母さんを聞く耳痛い言葉で怒鳴りつけ、思いやりもなく罵る。ご飯を食べる時は行儀良くしろ、と言うお父さんが、食卓に肘をついて、立膝ついてご飯を食べている。テレビを見ながら、お前はこんな大人にはなるなよ、と僕に言うお父さん。お父さん、あなたはそんな大人をいつ卒業するんですか』と。また、ある雑誌にはこんな話が掲載されていた。夏休みの課題(工作)で小学生男子が、ダンボールを使って、何やらテーブルの様な物を作っていた。この子の両親が『何を作ってるの』と尋ねたら『お父さんとお母さんが歳をとった時、廊下でご飯を食べる為のテーブルだよ』と。この言葉に両親は、思わず絶句した。君のご察しの通りだよ。その時、この夫婦は、汚いからと老いた父親に対し、その様な仕打ちをしてたそうだ」と。
続けて拙僧「この話(例題2)は、拙僧が中学生の時代、つまり平均寿命がまだ60歳代の約50年程前に目にしたもの。当時の60歳代は、現在の60代と違い、当に『ザ、老人』だった時代ですもんね」と。対し、この知人男性が「50年も前の話だと、現在とでは親子関係にもかなりの違いがあるんじゃないですか」「人間は、朝起きて、飯食って、大小便して、昼間働き、夕刻に帰宅したら、風呂に入って、飯と酒を食らって、寝る。原始時代から殆ど変わってない。変わってきたは、使う道具だけ。親子関係、夫婦関係に限らず、人間関係は然程変わってないと思うよ。人間は自分の欲を基軸に生きてるからね。この話にも、教訓がわんさか入ってる。じっくり読み取りなっせ」と、この知人男性に。
最後に拙僧、この30代知人男性に「世界地図を見ると、イギリスの上に、アイスランドという国があってね。その国のピースウォールには、嘗てのベルリンの壁の様な物がある。その壁(北アイルランドとベルファストの街を分断する壁)がある近郊住民が『この壁があるから平和が保たれ、安心して生活が出来ている』と。過去の歴史(北アイルランド紛争、詳細はググって下さい)を今も尚、子孫達が背負っているとの事。人間関係というは、難しいもの。如何に親しき間でも、それなりに踏み越えてはいけない壁、踏み込んではいけない領域、というものがある。押し付け合うより、分かち合うが円満の秘訣かな」「親しき中にも礼儀あり、という事ですかね」「御意」と拙僧。
【付録】
拙僧はこれまでに法話の本を3冊、世に出して頂きました。そのご縁がきっかけとなり、テレビ(約半年、週1回)、ラジオ、新聞、雑誌などや、教育委員会、学校、幼稚園、病院、老人ホーム、デイサービス、町内会老人の集い、倫理法人会、他宗寺院、葬儀斎場、社員研修などへの講演(北九州在住の拙僧が、遠方では九州南部、関西、関東、北陸、東北まで)にも呼んで頂き、方々で法話交流を。あらゆる話とまでは言えませんが、様々なジャンルである程度(仏教仏事系の他にも、癒し系、漫談系、人生系、目から鱗系、子育て系など)の話が出来ると思いますので、何かのお役に立ちそうでしたら、時間調整の許す限り、集いの大小問わず(参加者数人でも)足を運ばせて頂きますので、お気軽に、facebook、X、Instagram のメール(コメント欄)で、お声を掛けてくださいませ。勿論、この様なお話でいいなら、でございますが。拙僧も今年で62歳。これより先の残された時間を、1人でも多くの人のお役に立てれば、との思いです。『今、自分に出来る事を、今やる』ですね。
約10年間でSNSに投稿した3000話の長短法話を下記で読む事が出来ます。
金剛寺ブログ :https://blog.goo.ne.jp/junko-0808
金剛寺ツイッター :https://twitter.com/kongouji093
金剛寺フェイスブック:https://www.facebook.com/天徳山-金剛寺-1543297575974719/
拙僧が持つグループ「出会うは運命、出会ってからは努力、最後は感謝」
金剛寺インスタグラム:https://www.instagram.com/tentokuzan_kongouji/?
【追伸】尚「法話が長い」と不快感を示されておられる方々には、大変心苦しく申し訳ないので、拙僧の法話が目に入らない様に『ブロック』をさせてもらっております。楽しみにされている方々もおられますので、ご理解頂きまして、それでどうか、ご容赦くださいませ。
次回の投稿法話は10月20日になります。添付写真は、法話中の北アイルランドの壁。
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