じゅんなおひと

スポーツジャーナリストもどき

夏の甲子園での大阪桐蔭

2021-08-24 14:18:38 | 大阪桐蔭

※守備

ポテンヒットゾーンにフライが上がった時の内外野の連携が今一つに見えたとはいえ、鍛え上げられた守備は贔屓目抜きに他校を圧倒するものがありましたが勝負所で出たエラーは致命傷でした。後チームとしての投手陣が万全の状態で臨めなかったのも痛かったです。7日で500球の新ルールにもろに影響が出てしまいました。ですがエースの松浦投手は夏になり打者を圧倒する雰囲気を身につけてましたし竹中投手はレベルの高い同校の同級生の投手陣に割って入りエース番号を争うまでに進化を遂げたことは、最後はこういう結果になったとはいえ大健闘だったと思います。この学年で最も成長を遂げた選手かもしれません。近江戦は制球等全体的にやや大雑把な投球になったことが喰らいつかれた要因に見えました。丁寧さを身につけるか勢いで抑えられるだけの力強さを身につけるかすれば、もっともっといい投手になると思います。2年生の川原投手は最後はやや荷が重いように感じましたが2点勝ち越された後崩れてしまいそうなところを踏ん張り、ゲームを壊さなかったことは、この場面で投げるに値する投手だったことを示したかと思います。全国クラスの高校でやるにはフィールディングがどうかと中学時代に観て感じたりもしましたが、それが全くの杞憂であったことは、この試合でも証明されたかと思われます。最上級生になる秋以降、きっとこの日の試合が肥やしになると思います。


※攻撃

分厚い筋肉を身に備えたゴムまりのような体つきをした選手たちがいくら強く振っても軸が全くぶれずに強烈な打球を次から次へと放つ様は、守備同様贔屓目抜きに他校を圧倒するものがありました。それでいて強く引っ張っても最後手首をしっかり残す事が出来ているから打球が切れそうで切れない。柔らかさもあるとくれば相手投手はたまったもんじゃなかったと思います。近江戦で3回以降抑え込まれたのは変化球主体に切り替えた相手捕手のリードをまずは褒めるべきかもしれません。特に速球派の岩佐投手の変化球主体は頭になかったかもしれません。この日は相手の好守に阻まれる不運もありましたし最終回野間選手の痛烈なライナーが投手のグローブにすっぽり収まったのを見て球運も逃げていったかなと思いました。雰囲気満点の代打の切り札小谷選手の打撃を特に近江戦では見たかったですが、展開的に出し所がなかったように思います。


※投手起用について

近江戦で松浦投手をリリーフでも使わなかった事が取り沙汰されてますが私はこれで良かったと思ってます。勝てば次の相手盛岡大付はとても打線がパワフルで投手が制球良いもんだからバックは打球が飛ぶコースが読みやすくただでさえ高い守備力にいっそう拍車がかかってるとあってはここは頭から松浦投手でいかないといけない。その次の準々決勝の相手は近江戦の段階ではまだ分からないも抽選ルールからすると奈良の智弁学園になる可能性があった。もしそうなれば3回戦準々決勝は頭から松浦投手でいかねばならず、その上近江戦でも松浦投手を稼働させると仮に準決勝まで勝ち進んだとしても準決勝決勝の戦いで投手起用に難しい制約がかかる中での試合を強いられるため、近江戦では何が何でも松浦投手を起用せずして勝つ必要があったかと思われます。この日の試合の場合、もし9回逆転していれば裏の守りで最後1イニングを松浦投手に託していたかも知れません。そういう意味でも近江戦は難しい試合でしたが、全国制覇しようと思えば、こういう状況下の試合を勝つ力がないといけなかったということかと思われます。


大阪桐蔭310000000 4

近江 00111012× 6

※上記ランニングスコアは6回までのそれは今期に限らず大阪桐蔭の試合で近畿や府大会も含めてよく見るランニングスコアです。序盤にラッシュ→中盤0が続きその間に詰められる→だが結局終盤突き放して勝利。特に大輪の花を咲かせる世代は上記のような勝ち方が多い印象があります。この試合でもそれを期待した、というか今期の大阪桐蔭もそうした力強さがありましたのでそうなるものと思いながら見ており正直詰められてもさしたるドキドキもなかったのですが8回に逆転されて初めて負けを意識しました。あくまで私が思うにではありますが今季の大阪桐蔭は潜在的な力は史上最強。粘り強さだって夏の府大会準決勝の関大北陽戦等で証明済み。なのに大輪の花を咲かせた過去の世代と同様に迫ってくる相手を突き放せず逆転負けを喫した要因は私には分かる由もありません。コロナ禍の影響の有無も含めてわかりません。分からない中で敢えて言えば相手を、特に中学時代は投手や遊撃手として観たことのある島滝捕手の好リードを褒め称えるべきかと思います。後相手の好守の数々も。まさかこの世代が甲子園で一度も校歌を流すことなく終えることになるとは、入学してきたときは想像もできませんでした。力があるだけでなく感じるものがあっても勝てない。そういう時もあるということだと思います。プロ志望届を出す予定?の松浦投手だけでなく池田選手もプロでは時間がかかることを認識すれば高卒即プロ向きだと思いますし関戸投手、前田選手もその世界でやる力がある選手だと思います。もちろん他の選手も含めて、この世代の楽しみはまだまだ先へと続くということかと思われます。秋からの新チームも誰が投手陣の軸になるのか、完投換算で投げても強い球を投げられる投手が何人出てくるか、松尾選手は秋以降も捕手でいくのか、一年生は?等々楽しみが尽きません。