じゅんなおひと

スポーツジャーナリストもどき

大阪桐蔭女子、追手門学院、大阪学芸、大商学園

2021-06-15 16:11:00 | 高校サッカー

✳️守備

大阪桐蔭:準決勝の追手門学院戦では一点リードの後半は常に攻め込まれた中よく無失点で逃げ切ったと思います。前半相手の攻撃を全て単発に封じてたことが、後半の守るスタミナの余力につながったかも知れません。最終ラインとGKの連携も守備に関しては良かったと思います。敢えて言えば、相手の自陣でのポゼッションに対し、前からとることが出来ていれば、スコアメイク出来たかも知れません。攻撃につながる守備、プレスをかいくぐられた時の対応という点では課題が残ったかと思われます。それが後半の苦戦の要因にも見えました。完全に崩されて見えた場面も後半は多々ありましたがGKのファインセーブも数度あり、最後までよく集中切らさず守ったと思います。決勝の大阪学芸戦の前半の1失点はキャプテンのCBが怪我で不在で数的振りの最中に喫したもの。ゴール前へのクロスのこぼれを相手に詰められてズドンといかれてのものでしたが、もしこの主将がピッチにいれば跳ね返してくれたかもしれません。後半の2失点目の内2点目は自陣ゴール前での守備時間が長くなり耐えきれなかった。3点目は2点ビハインドで4バックから3バックにしてFWを増やしたことにより両サイドにスペースが出来てしまったところを相手に左右に大きく揺さぶられて2点目同様CKから失点。結果論になってしまいますがDFの枚数を減らすのならCB1、SB2、ではなくCB2、ボランチを一人CBに下げる、の方が強いDFを3人そろえることが出来たかも知れません。追撃モードに入るべく下げられたCB徳本選手3は強そうなプレーを見せていただけに余計にそう感じました。他FW尾野選手9、右MF橋本選手7の守備の強さが光りました。

追手門学院:特に前半は攻め込まれた中、敗れたとはいえよく1失点で凌いだと思います。相手がさほどポゼッションにこだわってこなかった事も要因かも知れません。

大阪学芸:準決勝の大商学園戦では後半相手の前線からのプレスの継続に耐え切れず失点。決勝でも時にそれにささられるも準決勝の時のように継続してそれを浴び続けることがなかったため無失点で封じる。大会通して1失点以内に封じてますからチームとしての守備力は高いと思います。近畿、全国でもそれが発揮できれば、悲願の優勝も見えてくるかと思われます。

大商学園:前半は相手の後方からのポゼッションに対し全体的に前目のポジショニングはとるもボールを奪いにはいかずゾーンを形成という中途半端な守備姿勢により相手はつなげるわ裏は狙えるわになってしまい失点。後半は単にポジション前目なだけでなくしっかり獲りにいくことができたことでリズムを掴み相手にプレッシャーを与え続け同点に追いつく。大会通して1失点以内に抑え続けてますので守備力はこちらも高いと思いますが、相手の後方からのつなぎに対してとりにいくならいく。いかないのなら引いてブロックを形成とはっきりさせるという点ではやや課題も残ったかと思われます。

 

✳️攻撃

大阪桐蔭:準決勝の追手門学院戦で唯一の得点となった先制点はCKからによるもの。ゴールキックは全てパントキック。つなぐという点がまだまだに見えたことが、特に前半は攻め込みながら一点に終わった要因であり、後半はシュート0に終わるほど攻撃回数そのものが減ってしまった要因にも見えました。決勝の大阪学芸戦でもゴール前に迫り時に相手に怖さを与える攻撃も出来ていたものの決定的な場面を作るまでには至らず。キーパーと前線に走り込む二列目の選手やSB等最終ラインとの連携精度とキーパーの判断力が上がってくれば、現時点と違い長短自在の繋ぎが出来るようになるかと思われます。キーパーのキック力は十分なだけに、キーパーからのつなぎ等ボール保持率が上がってくるかどうかが、今後の浮沈のカギかと思われます。

追手門学院:割りとポゼッションの意識が高い攻撃が目立つも前半はなかなか前に運べず。後半はサイドからプレスをかいくぐりゴール前まで持ち込んで攻め込む時間帯が多くなる。つなぎの意識ながらシュートの決断力もよく、無得点ながら特に後半の攻撃には見るべきものがありました。前半からこうした攻撃が出来ていれば相手の集中も持たず、勝敗も変わったかも知れません。

大阪学芸:かつての縦に速い個人技とパワーサッカーからここ数年はすっかりポゼッションサッカーに移行。準決勝の大商学園戦では前半相手が前かかりなポジショニングながらプレスをさほどかけてこなかったためつなぎも裏を狙うもいけたせいもあり先制点を上げる。後半は相手の激しいハイプレスにさらされ苦戦。決勝の大阪桐蔭戦では準決勝の時よりアーリークロス等を駆使した長短自在のパスワークで準決勝の後半のような継続してハイプレスのプレッシャーにさらされることを回避。2試合通して見られたサイドでの攻防に持ち込みマイボールのスローインを獲得し現実的なポゼッションサッカーでボール支配を継続していく様等は、2008年度の男子の大阪桐蔭が初めて冬の全国に出場した時のそれを思い出させました。特に決勝戦では最終ラインの選手たちが動きながら横パスを展開していたため相手をずらすことも幾度となく出来ていたと思います。ただつなぎにこだわるサッカーのためシュートを打ちに行く場面でもドリブルで仕掛けたりパスを選択したりで結局シュートまで至らずボールを奪われる場面も目立ったことは、ポゼッションサッカーのチームらしく課題として残ったかと思われます。後半ヘッドで2得点のFW中村選手9の高さと強さはもちろん光りましたがもう一人の小柄なFW小川選手10のボールを失わない、強さありきの足元の巧みさも光るものがありました。

大商学園:ここ数年はキーパーからのつなぎが印象的でしたが今季は準決勝を見る限り縦に速くといった感じが目立つ。相手との兼ね合いでそうなったのかもしれません。後半は自陣から回してくる相手にハイプレスが功を奏し同点ゴールを決めましたが、今後得点力を上げていくには、ここ数年のようにボール支配率を上げていくことが必要になってくるかと思われます。

 

✳️大阪桐蔭

準決勝では新人戦覇者との競り合いを制すも決勝では前半は互角で後半開始から10分過ぎまで続いたチャンスの時間帯を逃すと以降はズルズルと相手ペースになりそのまま寄り切られ横綱相撲を喰らった格好に。ですがスコアほどの力の差はひいき目抜きに感じず久々冬の全国を決めた昨年並みの強さは少なくとも誇っているかと思われます。見る限りベースのシステムは4-1-4-1に見える。今後はボール支配率を上げるべく、つなぎのサッカーにこだわれば、学芸戦の2失点目と3失点目は回避できるかと思われます。

 

✳️追手門学院

敗れはしましたが特に後半は互角以上の戦いをしており、学芸に勝って新人戦を制した実績は伊達でなしを照明。なかなか屈強そうな選手も目立ちました。

 

✳️大阪学芸

新人戦では追手門学院にPK負けでしたので春季大阪大会の決勝でも大阪桐蔭と五分の勝負になるかと思いましたが結果は3-0で快勝。強い1年生が複数入りチーム力が増したかと推察して見てましたが実際は?これが本物なら近畿はおろか全国でも優勝を期待できるかと思われますし、内容的にも感じるものがあるサッカーを見せてくれたように思います。

 

✳️大商学園

準決勝敗退でインターハイ出場は逃すも力的には昨年全国ベスト4に劣らぬものはあるかと思われます。要は学芸同様全国制覇を狙える力はあるのではと思われます。学芸戦でゴールキックがほとんどだったか全てだったかパントキックばかりだったように思いますのでまだまだチームの成熟度が低いのかなとも感じました。今後ここ数年のようにキーパーからしっかりつなげていけるようになれば、冬の全国選手権では予選、全国含めてインターハイのそれとは違った結果も大いに期待できるかと思われます。

 

✳️現状の大阪の高校女子サッカーはインターハイの最終結果を素直に見ればここ数年同様学芸、大商の2強を大阪桐蔭、追手門学院が追う図式と見れますが、決勝戦の内容にスコアほどの差は感じなかったことから、今期の大阪の高校女子サッカーは大阪桐蔭、追手門学院も含めた4強の時代に入ったかとも思われ、だとすれば冬の全国選手権の出場2枠の争いは、過去に例を見ない激戦になることが予想されるかと思われます。