じゅんなおひと

スポーツジャーナリストもどき

興国 大阪桐蔭 阪南大高 近大付属

2021-06-13 08:45:43 | 高校サッカー

✳️守備

興国:1失点ですからよく守ったと思います。ただ前半は相手へのあたりが甘く、それがしっかり寄せてるにも関わらず自陣深くに入り込まれたり、ついには失点してしまったりになっていたかと思われます。相手にキーパーからのつなぎを意識したサッカーをされてたら前半もう1,2点いかれてたかも知れません。後半はしっかり相手にあたれていたと思います。

大阪桐蔭:興国戦では試合を通して全体のポジショニング、選手同士の距離感、ブロックを形成するところとボールを捕りにいくところの抜き差し加減、試合前だけでなく試合中でもキーマンを見つければ、その選手がボールを持てばリスクを背負ってでも複数で捕りにいく判断力等々がよく、これだけ良いところがあればそりゃ無失点で抑えられると思いながら視てました。阪南大高戦も前半は無失点に抑えるも興国と違いアーリークロス等ロングパスを通してくるわあたりの強さありきの足元などの巧さを誇る選手を揃える相手の激しくバリエーション豊富で縦に速い攻撃に前半から的が絞りきれず後半は前日と全く同じメンバーだったこともあり運動量が落ちた選手がいたところを逃してもらえず後半10分前後に立て続けに2失点し逆転負け。そうした選手をもっと瞬時に見極め交代カードを早く切るという点では課題が残ったかと思われます。

阪南大高:大阪桐蔭相手に喫した先制ゴールは相手のシュートが一手遅れて見えたにも関わらず2度に渡り寄せが甘くなったところを突かれて見えました。それ以外は相手にしっかりあたる事が出来ていたと思います。終盤疲労からか相手にスペース与えてしまう場面もありましたが、そういうときでもゴール前ではしっかりブロックが作れていたと思います。

近大付属:強敵相手に2失点。特にゴール前などここぞの場面でボールへの寄せの鋭さで一歩遅れをとって見えました。

 

✳️攻撃

興国:今期もポゼッションサッカーを展開。昨年同様キーパーからのつなぎに徹底的にこだわる。ただ最終ラインのボール回しが立ったままでのそれになってしまい、これでは相手をずらすことが出来ずいつまでも縦にパスが通せず膠着してしまう。後半は後ろのつなぎの人数を増やして見えたぶん縦にもパスが通るようになりましたが、そこに多くを費やして見えたぶん、後がなかなか続かなく見えました。最終ラインがもっと動きながらパス回しする必要があるかと思われます。

大阪桐蔭:昨年同様今期もそれまでのつなぎよりもボール奪取からのカウンターが攻撃の主に見える。興国戦では前半は相手があたりがやや甘かったこともありキーパーからのつなぎも志向。しっかりつないで敵陣に入り込めてましたのでもう少しそこにこだわれば、スコアメイクしての勝利もあったかも知れません。相手を見た上での攻撃の組み立てという意味では、課題が残ったかも知れません。阪南大高戦での室選手MF8の先制ミドルは最初にスペースもらえた場面で打てずにダメかと思われましたがさらにスペースを与えてもらえたところを逃さずカーブをかけて決める。スペース与えてもらえたといっても一瞬のことであり相手が近くにいるなかで精度の高いシュートを右隅に決めたのは見事でした。以降も前半はチャンスもありましたが後半は一時相手の迫力にさらされ自軍も運動量が落ちほとんどチャンスらしいチャンスを作れずそうなっても決定的などこまでいけず逆転負け。強豪との試合が続いたラスト3試合はいずれも一点以内に抑えられる。得点力を上げるにはやはりボール支配率を高めることとボールを支配して攻撃を組み立てて得点を奪う力も必要かと思われます。そういう力を身に付けないと、阪南大高戦のように一点では難しい試合を制することは難しいかと思われます。

阪南大高:大阪桐蔭戦前半はパスの出しどころに苦慮するも後半相手の運動量が落ちたところを逃さず畳み掛けて2得点で逆転勝ち。勝負どころを逃さぬ集中力と例え連戦で体力的にきつくてもそうした場面では労を厭わぬ運動量を誇っていた点などが光りました。

近大付属:終了間際の一点に終わりましたがなかなかスピード感鋭さはありました。序盤のチャンスをものに出来ていれば違った展開もあったかも知れません。基本的には縦に速くに見えました。

 

✳️興国:1年生ながら10番を背負う宮原選手MFはそれだけのことはありボールを持てば簡単には渡さないテクニックを見せる。柔らかいボールタッチは魅力ですが、今後強さも感じる選手になるかどうかが、個人としての飛躍の鍵かと思われます。この日はワントップの永長選手11のプレーが特に前半光る。ドリブルでの突破力、3,4人に囲まれてもポスト直撃の強烈なシュートを放つシュート力と決断力、そのいずれもが強さありきの巧さのため、今後も相手にとって驚異となるかと思われます。先に挙げた序盤のポスト直撃が入っていれば、勝敗も変わったかも知れません。後キーパーの岩瀬選手1は長身なだけでなく太さ分厚さも感じ見るからに屈強で、Jにいった昨年のGKに勝るとも劣らないものを感じました。インターハイこそ逃しましたが今期も大阪のトップを走る学校のひとつであることに変わりはなく、チームとしてのサッカーが見た目だけでなく本当の意味で成熟してくれば、2年ぶりの冬の全国も十分あるかと思われます。

 

✳️大阪桐蔭

興国戦では主力をベンチ待機も含めて複数欠く中での勝利は選手層の分厚さを感じさせるものがあったかと思われます。代わって出て見えた選手がしっかりと働けてみえ、チームとしても主力の不在をチームとしてのサッカーでカバーしての勝利に見えました。阪南大高戦では連戦の中運動量が落ちて逆転負け。連戦を乗り切るための運動量が落ちた選手の見極め見切りを早くし交代選手を素早く準備するといったことや、欠けていた主力がインターハイ本戦で帰ってきて彼らの個の力とチームとして連戦にも耐えうる守備が融合すれば、6年ぶりのインターハイでも大きな結果を期待できるかと思われます。

 

✳️阪南大高

大会通して全試合失点1以内に抑えた要因は攻撃は最大の防御そのままに畳み掛けて守備時間そのものが少なかった事が大きいかと思われます。分厚い体をした見るからに強そうな体格をした選手を揃えて激しくあたって相手を圧倒する同校ならではの強さというものは昨年同様感じませんが、それでもここぞの場面で畳み掛け、それが過ぎたら一転ゲームを落ち着かせるといった抜き差し加減巧みなゲームメイクは健在で、名実ともに大阪のトップをいく学校であることに変わりはなく、全国でも十分狙える学校であると思います。敢えて指摘するとすれば、決勝でインアウトになってしまった選手が出たこととスコア以上に自分達のペースで試合を進めることが出来てたとはいえ1点差でロスタイムも含め10分近くは時間が残っていることが分かっていながら3点目を狙いにいかず時間を稼ごうとしてしかも稼げなかった点が挙げられるかと思われます。インアウトが発生すればそのぶん運動量の多い選手を一人フルで使わないといけなくなりますし1点差での時間稼ぎはリスクが大きく試合を決めつけるにはまだ早いと思われ、力があるのですから得点にさらに貪欲になれば、いよいよもって全国制覇も見えてくるかと思われます。鈴木選手FW9の複数の相手に寄せて詰められた中でも突破や恐さを与える精度の高いシュートを放てる強さありきの巧さ速さにはJ注目のストライカーであること伊達でなしを感じましたし1年のMF宮崎選手13の一年生とは思えぬ巧さと相手との接点の攻防での粘り強さにも感じるものがありましたし、そうしたプレーが出来る選手が他にも何人かいて、個々の力の強さ高さも感じられました。

 

※近大付属

冬の選手権予選を勝ち抜くには各選手が今より強くなる必要があるように見えました。例えば自陣深くに蹴りこまれた側がボールを持ったが相手に詰められてるといった状況で近大付属は横に蹴り出して自陣深くで相手ボールのスローインにせざるを得なかったのに対し阪南大高は前方に大きくクリアすることができており、そうした個の強さの差がそのままスコアや試合展開に出てたように見えました。チームとしてのサッカーはなかなかしっかりして見えただけに、一対一等接点の攻防で優勝候補相手にも負けない強さを各選手が身につければ、現在のジャイキリ候補の筆頭格から優勝候補へとランクを上げることが出来るかと思われます。今後u18一部で独走するくらいの強さを発揮できるかどうかかと思われます。